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【ヒーリング物語 】葉っぱの舟と仲間たち

葉っぱの舟と仲間たち

小川に、
小さな葉っぱの舟が、
流れています。

そこに、
カマキリが声をかけました。
「葉っぱさん、どこに行くの?」

葉っぱの舟は答えます。
「どこに?
どこにってなに?
わたしはただ、流れいているの。
どこかに行くことをしなくてはいけないの?」

葉っぱの舟は、
カマキリの質問が、理解できませんでした。

カマキリは言いました。
「では、私が一緒にどこかに行くよ!」

そして、カマキリは、
小さな葉っぱの舟の上に乗りました。

カマキリは、
どこかに行くことに、
とてもワクワクしていました。

それに、葉っぱの舟に、
流れる目的を教えてあげることは、
自分の使命のように思えて、
嬉しかったのです。

しかし、カマキリにとって、
葉っぱの舟の乗り心地と、
この川の流れる速度は、
恐怖でした。

少し流れていると、
今度は2匹のアリが、声をかけてきました。
「カマキリさん、どこへいくの?」

カマキリは答えます。
「私は、この葉っぱの舟さんが、
どこへ行くのかを知るために、
どこかへいくのだよ」と。

カマキリはこのとき、
「どこかへ行く」ということが、
葉っぱの舟だけのための、
目的ではなくなっていることに気づきました。

アリの兄弟は、声を揃えて
「乗せて!」と言いました。

実はこのとき、
アリたちには、
カマキリに食べられるかもしれないという
恐怖がありました。

しかし、それよりも、
カマキリさんと、
葉っぱの舟さんと、
話してみたい気持ちの方が、
おおきかったのです。

葉っぱの舟は、
カマキリと、アリを2匹乗せて、
川を流れることにが、流れを始める前から、
すでに、
決められていたことのように感じました。

葉っぱの舟は、この後、
何が起こるのかを予想してみます。

さらに、どこかに行く仲間が増えて、
楽しいく川を流れていきたい
と、思う自分を見つけました。

「どこかに行く」ということを、
知りたいと思う目標が、
「仲間と楽しい時間を過ごしたい」
という目標に変わっています。

最初はただ、流れていただけのに。

カマキリが突然言いました。
「今だって不安だよ!」

誰に聞かれたわけではなく、
ただ突然、言いたかったのです。

しかし、カマキリのこの言葉で、
葉っぱの舟の上の空気が、
変わりました。

「ごめん、僕たちもずっと不安!」
アリは、とても大きな勇気を出して、
みんなに、今の気持ちを打ち明けました。

葉っぱの舟は、
感じようとしました。
3匹の不安の内容を。

葉っぱの舟は、ただ感じていました。

一人、心の中で感じていました。

しばらく無言のまま、
流れていきました。

カマキリは、
不安定な葉っぱの舟で、
どこかに行くことを怖く思っています。

アリは、
カマキリに食べられないか、
ずっと怖いです。

葉っぱの舟は、
3匹が不安を抱えて
自分に乗っていることが怖いです。

でも、みなどうすることもできません。

さらに流れて行くと、
ヒグマのお母さんが声をかけてきました。

「みなさん!どこへ行くの?
私も乗せて!
私の坊やがいなくなっちゃったの」

3匹と1枚は、
「坊や!?」
と、同時に心の中で叫びました。

その瞬間、
先ほどのまでの
恐怖や、不安が、皆の心から、
すーっと消えました。

そして、
葉っぱの舟は、
今まで出したこのない、
一番の声で言いました。
「さあ、お乗りなさい!」

カマキリも、
アリの、
葉っぱの船も、
何も不安ではありません。

最初のカマキリだったら、
これ以上、誰も乗ってほしくない。
と言ったはず。
舟が揺れて怖いから。

最初のアリたちだったら、
これ以上、誰も乗ってほしくない。
と言ったはず。
食べられそうで怖いから。

最初の葉っぱの舟だったら、
これ以上、誰も乗ってほしくない。
と言ったはず。
どこへ行くのか上手く説明できないから。

しかし、3匹と一枚は、
もう、最初の3匹と1枚ではありません。

坊やを探す目的のために、
川を流れる仲間たちなのです。

葉っぱの船は、
透き通る声で、ヒグマのお母さんに言いました。
「さあ、早く!みんなで坊やを探しに行こう!」

ヒグマのお母さんは、
仲間たちが待つ舟に、乗りました。

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