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現代短歌『食器と食パンとペン』
小説ではありませんが、今晩はお気に入りの一冊について綴りたいと思います。
食器と食パンとペン わたしの好きな短歌
編者はイラストレーターの安福望さん。
1981年生まれ、兵庫県神戸市出身。大阪芸術大学卒業。イラストレーター。2003年、HB FILEコンペVol.13藤枝リュウジ特別賞受賞。書籍・雑誌などの装画を含め幅広く活躍中。(「食器と食パンとペン」より)
大学生の頃、初めて購入した現代短歌の歌集です。安福さんの可愛らしいイラストに惹かれ、新宿の紀伊國屋書店で衝動買いしたのでした。左ページに安福さんセレクトの短歌、右ページに短歌をモチーフにしたイラストが描かれています。
私は安福さんのイラストがほんとうに好きです。水彩風の淡いタッチと柔らかな色遣いで、眺めているだけで癒されます。いつか個展にお邪魔するのが夢です。
現代短歌は中学の国語で触れたのみ。知識も造詣もない私ですが、一首、宝物のように胸に残り、折に触れて思い出す歌があります。
林檎からうさぎを創り出すような
小さな魔法に生かされている
作者は松尾唯花さん。
社会人になり、この歌の意味するところを身に沁みて感じるようになりました。
お客さんに怒鳴られたり、職場の人間関係に悩んだり。なんで働かなきゃいけないんだろう、生きていたって楽しくない、と落ち込むことばかりです。
そんなとき、この短歌を思い出します。頑張って働くのは、苦しい日常の中にも「好き」と感じられるものがあるから。気の置けない友達とのお喋りだったり、楽しみにしているドラマの続きだったり、お気に入りのお店のケーキだったり。心を潤し、元気をくれる「小さな魔法」があるからこそ、生きていけると思うのです。自分にとっての小さな魔法を少しずつ見つけていけたら、と思います。
画像は「食器と食パンとペン」のTwitter(@shokupantopen)から。