生まれてきてくれてありがとう
“報われた…”
不安と寝不足と悩みやイライラとかで
ぐちゃぐちゃな日々に幾度となく訪れる
“良かった…”
そんな訪れが今日も1つ。
目の前でいっぱいになった
ママさんに届くといいな。
私からの“大丈夫。”
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「結婚はいつするの?」
「子供欲しいなら早ければ早いほど…」
30歳を過ぎてから頻繁に言われるようになった職場のマダムたちの“結婚”についての質問が苦手だった。
ちょっと不思議な出会い方をした今の夫と結婚すると苦手な質問は「子供はいつかしら?」に変化した。
未だに少年の瞳を持った彼と旅行や趣味を楽しむのが大好きでお互い“子供”についての話は、あまりしなかった。
中々都合が合わず何年も延期を繰り返していた友人と、ようやく“3時間だけ”という条件のランチが叶った。久しぶりに会えた友人は私の知ってる彼女ではなくなんだか疲れたているようだった。彼女は会えなかった間に4児の母になっていた。
昔は、お喋りな私の話をウンウンと聞いてくれていた彼女がこの日はとてもお喋りで話が止まらない。そして何より楽しそうだ。唯一私から話したのは会ったら聞いてみたいと思っていた事だった。
「ねぇ…子供欲しい!って気持ちが湧かないの変かな?」
ちょっと真剣な私の顔を見て、彼女もまた同じ顔をした。そして両手を膝に置いて話し出した。
『私は結婚する前から欲しかったよ』
『そういう気持ちなら子供は持つべきしゃないよ』『本当に本当に大変なんだから』
そっか、そうなのか.......。
子供が欲しいと望むのが女性のあるべき姿で、私は何か欠けてる女性なのかもしれない。そんな風に思い悩んだ。
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結婚して初めての正月、実家に皆で集まると生まれたばかりの兄の子供にみんなが夢中だった。
「抱いてみる?」兄嫁さんが可愛い姪っ子を
私に近づけると、どうやって抱けば良いのか、力加減は?分からない事だらけでぎこち無く抱き上げた。
重い!そして暖かくて柔らかい…可愛い…。
私も夫も生後半年の赤ちゃんと触れ合うのは初めてで、わーん!と大きな声で泣く姪っ子に躊躇する私と心配そうに覗き込む夫。その姿を兄嫁さんがカメラで撮ってくれていて後日プリントしたものが新居に届いた。
“あ、子供…いいな。”
その時、突然湧いた感情に喜び、夫に伝えた。
夫は神妙な顔つきだった。今までの2人の過ごし方は出来なくなること命を産み育てるという重大な責任、何より腎臓の持病と精神疾患のある私の身を夫は凄く心配していた。
私の年齢的にも身体的にも最初で最後かもしれない。毎日のように2人で悩んで出した答えは“可能性のある間だけは授かる努力をしたい” ちょっぴり神様次第のような決断だった。
先ずは私の精神疾患と向き合う事からのスタートだった。双極性障害という躁と鬱が激しく繰り返す私は、その波を落ち着かせるために薬とカウンセリングで何年もかけてようやく安定を保てるようになっていた。その薬は妊娠中、授乳中は子供に悪影響をもたらす事から服用ができず少しづつ量を減らし断薬する必要があった。
薬をやめて症状が酷くなったら諦めよう。
そう誓い1年半かけて薬を完全に絶った。
さらに半年間 私の状態を観察した。薬を飲む前より安定してるかもしれない.......医師も私も驚いた。
2年かけてやっと本当のスタート。
腎臓内科、精神科の先生、産科の先生から
“妊娠しても大丈夫”というお墨付きを頂いて直ぐ幸運な事に私は娘を授かった。
妊娠中も躁鬱の波は訪れず悪阻も軽く出産は初産のはずなのに3時間であっという間に産まれてきた。
産まれた瞬間、私の中の母性が湧き出るのを感じて鳥肌が立った。お猿さんみたいな顔の娘を愛おしく、すっごく愛おしく感じた。
「すっごく可愛い…」
私より夫の方が先に声に出して言った。
そんなパパになった彼の姿も嬉しかった。
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その数時間後、早速 頭を悩ませる出来事が。おっぱいが上手に与えられない!
オムツ替えも着替えもお風呂も不安だらけ。
体重の増えが悪く1時間起きに泣く我が子を睡眠不足でフラフラと抱きながら“3時間だけ”の条件で会ってくれた友人の事を思い出していた。
子育てがこんなにも過酷であることを思い知った。1年半くらいまでの記憶がほとんど無い。
常に“死なせたくない”
“この子が居なくなってしまったら…”
取り憑かれてるようだった。
そんな気持ちで潰れそうだった。
毎晩続く夜泣き、暑い?寒い?お腹減った?
泣いてる理由が分からなくてアタフタする日々の中、
首が座った!笑った!寝返り打った!1人で座れる!ほふく前進したよ!拍手覚えた!声出して笑う!ハイハイ上手!立った!歩いた!!!
ママって呼んだ!!!!!
他の子より歩みが遅いだけで直ぐにポキッとなる、どうしようも無く弱い私のメンタルを娘の成長が支えてくれた。
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1児の母になりもう直ぐ3年。
自分でお着替えして片付けをして、
“痛い” “暑い” “寒い” “お腹空いた”と
自分の気持ちを言えるようになると
私の日々襲われた不安は減っていった。
昨日は私の誕生日。
保育園のお迎えをし自宅に帰る道中に
「今日はママの誕生日なのよ」と言うと
『えー?誕生日?すごーい』と嬉しそう。
夕食の後に自分で買ってきたケーキを出すと
『ピッピバースデイ ユーユー 』と
娘が空耳で覚えた歌を大きな声で歌ってくれた。
ロウソクの火を吹き消すと、
『素敵!ママおめでとう!』
と何度も言って拍手でお祝いしてくれた。
去年は誕生日が何かも分からなくて
お歌なんて歌えなかったのに.......
『ママは何歳のお指?』
「うーん。2つのお手手じゃ足りないお年よ」
『ええ!?すごーい!凄いね!』
くすくす笑うやり取りが嬉しかった。
生まれて初めて言ってもらった我が子からの“お誕生日おめでとう”が、何よりものプレゼント。嬉しくてたまらなかった。
子育て…本当に大変だけれど
産んだことの後悔はない。
あの日から私は真剣に悩み
素直に喜び、楽しめる
豊かな心を手に入れた。
“生まれてきてくれてありがとう”
私は特別な誕生日を過ごしたよ。
本当にありがとう。
これからも、いっぱい笑おうね。
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辛いこと、悔しいこと
不安なこと、苦しいこと
たくさんあるけど
嬉しい気持ち、楽しい気持ち、
幸せな気持ち、優しい気持ち、
そんな気持ちが訪れる事の方が
断然に多い。
そんな瞬間がある事を知っていたい。
“大丈夫”
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