かなは茶色のラブラドールレトリバーの女の子。 ちなみに一応血統書らしきものはついているのだが、そんなものはあてにはならず、今や立派な長方形のデブ犬に成長。 さらには、あまりにも無鉄砲かつ暴れん坊ぶりに母からは悪犬と呼ばれている。 そんな悪犬の年末の一コマ 昼頃、母から、任務が下る。 「大掃除をするのできっと邪魔しかしない、悪犬を連れて、夕方までどこかであそんで来い。」という指令だ。 私はほいほいとかなを
「もう我が家では犬は飼わない」 そう父は宣言した。 愛犬が病に苦しみ虹の橋を渡ってすぐのことだった。 一番、可愛がっていた父の言葉に私たち家族は 「あい、わかった」 と返事をし、もう犬を飼わない決意をしたのだった。 ところが数か月たったあたりから父の様子がおかしくなってきた。 もともと一日中、犬と一緒に遊びに行くかTVを見ているかのどちらかであ
ちぃは生後間もない黒色の女の子の猫 さびれた神社の社の下で、お母さんと、6匹の兄弟と楽しく暮らしていました。 ちぃは兄弟の中で一番、ちっちゃかったのでちぃと呼ばれていました。 みんなで遊んでいても一匹だけできなかったり遅れたり、兄弟の中ではできない子、扱いでした。 それでも、お母さんは優しかったし、いじめられたりはしなかったので毎日楽しく暮らしていていつまでもこんな日々が続くと思っていました。 ところがあ
クリスマスも押しせまった時分、仕事から帰宅すると自宅に見慣れぬ車が1台玄関に入ると見慣れぬ靴が大小2足。 奥のダイニングからはなにやらきゃっきゃと声が聞こえる。 いつも私が帰宅すると真っ先にお出迎えしてくれる、我が家のアイドル、黒いいんちきラブラドールレトリバー「はな」さんが迎えてくれない。 少し、不満を抱きつつダイニングに入るとそこには手入れされていないポメラニアンのような髪形をした人間が2人。
はなさんはわが家のアイドルのいんちきらぶらドールレトリバーの女の子。 なぜいんちきなのか? それは柴犬とゴールデンのミックスなのに、なんの遺伝子のいたずらか、真黒なラブラドールにしか見えない女の子で生まれてきたから。 尻尾だけがゴールデンの名残を残しているので、そのふさふさの尻尾を毎日母親が刈り込んでラブラドールへの偽装に余念がない。 はなさんは、とても賢いわんこででそして空気の読めるわんこ。 きっとそ
11月初旬の少し肌寒い日の午後だった。 スーパーの店長を務めている私はお昼のピーク時間帯を終え、事務所に戻ってきた。そこには女性事務員が一人いるだけだった。今は電話の応対をしているところだった。 クレームの電話でなければよいが…などと考えていると事務員が、ふいに私に声をかけてきた。 「店長、島田店の小坂店長から外線一番です」 小坂店長。 私が今までで一番お世話になった店長だ。約2年小坂さんの下で仕事をした。最初はただの売り場担当者だった私に目をかけてくれ、売場主任、
6月の雨の激しい夜だった 母からロンがちょっと調子が悪くてもう2日ほど起き上がれない、という電話が入った。 ロンは私が中学3年生の時に我が家にやってきた柴犬とポメラニアンのミックスケ犬だ。私が26歳になるので今は12歳。 もう立派な老犬だ ロンは家族みんなに愛された。特に私は溺愛し、24歳で結婚し家を出るまでまさに寝食を共にした。一緒のベッドで眠り、一緒におき、お散歩に行き、一緒にご飯を食べる。まさに家族のだれよりも長い時間を過ごしてきた。 私が家を出た後しばらくロンは