「なぜか嫌われる人」が改善を目指すには

 SNSなどで時おり見かける相談、悩み事の類に「自分はどこへ行っても周りの人から嫌われるので困っている」といったものがある。嫌われ体質というやつだ。

 こうした投稿には他のユーザーからさまざまなアドバイスや助言が寄せられるが、率直に言うとそれらにあまり改善効果はないと思う。「ある人物が周りから嫌われやすい理由」なんていうのは千差万別だからだ。

 年齢、性別、外見、匂い、人種、国籍、信条、声音、声量、服装といった本人固有の要素が理由となることもあれば、周りに理由があることもある。特定の要素というより、偏見によって嫌悪がわくケース、誤解やすれ違いで嫌われるケースなどもある。

 このように「いかなる理由で、どの程度、具体的に誰から嫌われているのか」という情報が一切ない状態で、ネット回線越しに「嫌われる理由」の仮説をたくさん示されても、的中している可能性は低い。そうした状況で他人から言えるのは、誰にでも当てはまりそうで個別状況には対応していない一般論に過ぎないからだ。


 もし自分は誰からも嫌われる、嫌われやすいという自覚があり、かつそれを改善したいと望むなら、必要なのは個人向けのコンサルタント・パーソナルトレーナーの起用だと思う。
 自分のことを知らない不特定多数の相手に聞いても自分の状況にマッチした解答は得られないし、家族などの身近な相手に聞いても効果は薄い(一家全体に共通した「嫌われる理由」があって、家族も自覚できていないケースがあるため)。

 実際、法人の躍進や健全な在り方を示すコンサルタントや、個人の肉体の鍛錬をサポートするトレーナーがいるのであれば、個人の健全な精神の在り方やコミュニケーションの方法をトータルで支えるアドバイザーがいてもいいと思う。カウンセラーのように悩みを受け身で聞くのではなく、改善の実行まで含めてのサポートを行う職業だ。

 本人が自分では気づけず、他人から見たら改善点が明らかというケースは少なくないが、友人は気を遣って言えず、単なる知り合い程度の間柄ならわざわざ指摘するまでもないと思って言わない、みたいなこともある。
 本人が悩んで改善を望むなら、そこを的確に見抜いて伝えられる立場の相手に頼むのがベスト――というか、ほぼ唯一解じゃないだろうか。


 当人や当人の置かれた環境、関わりのある周囲の人々を知らなければ、その人物がなぜ嫌われているのかなんてわからない。
 判断に必要な情報を持ち合わせていない立場からの意見は参考にならないし、そもそも募るべきでもないと思う。



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