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若さってやつ
「失われだしてからそのありがたみや価値に気付くもの」を挙げていったらおそらくベスト5には入るんじゃないかと思う、若さってやつは。
だけど、この世で一番若さの価値に気付いていないのって、今まさに若い人よりも「若いって良かったよな」とか「あの頃は若かった」とかしみじみ言ってる、あまり若くない人のほうなんじゃないか。
そういう人たちは若さを良いものだと語り、羨んでいるものだから、一見すると若さの価値を十分に理解しているように思える。
けれども、実は違う。
若い人が自分の若さの価値に気付きにくいのは、若さの真っただ中にいるからだろう。お風呂で浸かったお湯の温度に慣れてしまうと、それが熱いんだか温いんだかわからなくなっていくけれど、ちょうどそんな感じだ。若さはぬるま湯であり、熱湯なのである。
じゃあ、若さを羨む歳を取った人たちはどうなんだろう。彼ら・彼女らは「今まさに自分が若いこと」を自覚してるのかしら。
よく『今後の自分の人生の中で今日が一番若い日だ』なんて言われる。それはそうだ。明日の自分は今日より1日分歳を重ねている。なのに、若さが素晴らしいと語る人の中には、自分の今の若さを大切にしていないように見える人も少なくない。
30代は40代より元気だし、40代は50代より溌溂としているかも知れない。50代は60代に比べれば若造だ。70代だって、80代だって。
つまり、「あの頃は良かった」じゃなく「今こそが良い!」の心持ちで過ごすのが、若さのありがたみや価値を知るってことなんじゃないか。
未来の自分と比べて、今の自分の若さを実感する。
つまるところ、若さっていうのは未来志向なんだと思う。