祖先崇拝
生の意味を血脈に見出し、それを維持することが義務とされる信仰形態。日本では「イエ」制度などがあるが、祖先崇拝はそれより広い社会コミュニティで形成されうる。崇拝対象たる祖先は、祖先であるというだけでなく生きていたころの英雄的行為、共同体への貢献度の高さなどが基準となって選別される。ゆえに、無根拠な信仰のように見えて、この崇拝には社会規範の契機が存する。つまり「あの祖先のように」共同体に資する存在であれという規範意識と一つ組である。この規範意識の形成は社会の保守的維持に役立つ。
また、特に日本では輪廻・生まれ変わりの思想とも密接な関係をもつ。生まれ変わりは、全世界で見られる世界観であるが、日本では特に「人から人へ」の輪廻のみが定着した。しかも、生まれ変わりは祖先の英霊などが子供にうつるなどという肯定的な見方で用いられる。祖先崇拝の信仰と生まれ変わりはまた相補的に社会の価値・規範意識を形成しているといえよう。
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