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【サンドボックス】『Core Keeper』感想

2022年3月にアーリーアクセスが開始されてから瞬く間に10万本のセールスを達成したことで話題となった俯瞰視点2Dサンドボックス、『Core Keeper』

今年8月の正式リリースを切っ掛けにライブラリで埃を被っていたこのこの作品をプレイしたので、感想を書いていこうと思う。

最初に一言で言うなら、とても遊びやすくカジュアルなサンドボックス。
より具体的に言うと「マインクラフトとテラリアを足して3で割ったようなゲーム」という印象であった。


【マインクラフトやテラリアとの比較】

サンドボックスというジャンルである限り、自然と比較対象になってしまうのが今まさに名前を挙げたマイクラテラリアの両作品ではないかと思う。

左:マイクラ 右:テラリア(画像はストアページから)

共に10年以上のアップデートが現在でも続いている言わずと知れた怪物中の怪物で、特に前者に至っては2023年時点で売り上げが3億本を突破している生きる伝説である。
インディーゲームの特異点代表のような2作品と比較されるのは当人にとっては堪ったものではないかもしれないが、『Core Keeper』について語る前に、ひとまずこれらの作品について軽く触れていこう。

【マイクラの魅力①】『あまりに広大な世界の探索』

マインクラフトの魅力と言えば、『あまりに広大な世界の探索』『高い自由度と分かりやすさが両立された建築要素』にあると思っている。

リリースからの長い年月と共にバイオーム(地形)の種類は増え続けおり、ゲーム中に存在するすべてのバイオームを目にするだけでも大変な労力になる。
さらに生成される地形のランダム性が強い
世界単位で見てもゲームを開始するたびに全然違う世界になるし、ひとつのバイオーム単位で見ても、同じ種類のバイオームであってもそれぞれ受ける印象が全然違ってきたりする。
攻略情報を見たとしても発見自体が困難なレアバイオームなどもあり、とにかく世界を探索、冒険するワクワクが凄まじい

自動生成される村だけ見ても様々な種類があり、同じ種類でも村ごとの特色もある。

【マイクラの魅力②】『高い自由度と分かりやすさが両立された建築要素』

3D空間を活かした建築、これが信じられないほど中毒性が強い

数年ぶりにマイクラを起動した俺「なんだこれ…」

平然とブロックが宙に浮く都合よく物理法則を無視した独特の世界観と洗練された操作性が相まって、とにかく直感的に色々な建築がしやすくなっている
ゲームクリア(エンダードラゴン討伐)が目的のプレイだとしても、ゲーム攻略には結びつかないはずの建築に自然と夢中になってしまう。
建築センスが死んでいる自分だったが、無限に豆腐ハウスを作り続けるだけでもあっという間に時間が過ぎていくほど楽しかった。

豆腐を恥じるな

そんな分かりやすく遊びやすい建築要素であるが、同時に3Dであるが故の果てしない奥深さも兼ね備えており、生涯をこの作品に費やしているような人も数多くいると思われる。

【テラリアの魅力①】キャラの強化や戦闘が楽しい


それではよく2D版マインクラフトなんて例えを聞くこちらのテラリアだが、実際にはむしろ共通点のほうが少ないかもしれない。
最大の違いは武器も防具もボスも僅か数種類程度、戦闘要素はあくまでゲームの一部という印象が強かったマイクラに対し、テラリアはとにかくバトル、バトル、バトル

防具も様々な効果を持ったものが多彩、武器に至ってはたぶん100種類くらいは軽く超えているだろうし、剣、魔法剣、銃、ヨーヨー、鉄球、杖、使い魔召喚武器などその挙動も幅広く、色んな武器を使うだけでも楽しい

光を放って攻撃する魔法剣。こういうのが使えるようになった瞬間が本当に楽しい。

その武力を向けることになる敵キャラも数多く、特にボスは1体1体が個性派揃い
それぞれが違った動きでプレイヤーを追い詰めてくる、激戦に次ぐ激戦となろう。

敵が全体的にキモいのは難点かも。

しかしアイテムや敵が非常に豊富な代わり、マイクラと比較するとバイオームの種類がかなり少ない
また、同じく反するように地形のランダム性も低く、新しくゲームを開始してもそこまで変わり映えの無い世界が生成される。
これも相まって、サンドボックスと言うよりは通常のアクションRPGをプレイしているような感覚が近いかもしれない。

【テラリアの魅力② 2Dグラフィックの視認性の良さ】

これは個人的な好みも入るが、横視点の2Dグラフィックだと画面全体や周囲の状況を確認しやすいのがありがたい
と言うよりテラリアはバイオームの探索でもボス戦でも画面の色んなところから敵が湧いてきたり飛んできたりする平穏とは程遠い世界なので、2Dだからこそこういうゲーム性にできたと言うべきかもしれない。

反面、2Dであることはマイクラと比較して建築の自由度を下げている要因にもなっている

これでも頑張って作った拠点。右上のガイコツはお客さん。

更に世界を構成する1マスがかなり小さいのでちょっとした建築をするのも結構大変で、マイクラは数百時間は建築を楽しんでいたが、テラリアは拠点の豆腐ハウスを作る程度だった。
あれ、どのみち俺ずっと豆腐しか作ってない…。

ボス戦のために戦いやすい地形を作ったりはする。
そこはサンドボックスならではか。

【Core Keeperの魅力とは?】

辛い記憶と共にそろそろ何の記事を書こうとしていたのか忘れかけてきたところで、Core Keeperの話に戻りたい。

総じて探索・建築のマイクラ、戦闘のテラリアという形で差別化&住み分けがされていると感じるこの2作品と比較して、俯瞰視点サンドボックスとして登場したCore Keeperはどのような作品になれたのか?
その感想が冒頭で述べた「マインクラフトとテラリアを足して3で割ったようなゲーム」だった。

【探索要素の比較】

バイオームの数などはたぶんテラリアと同程度だが、冒険心をくすぐる何か意味ありげな謎の施設やオブジェクトなどが割と多い

適当に掘り進めている時にこういうものが見つかった瞬間が一番楽しい

上手く秘密を解き明かせれば新しい武器や宝箱が手に入ったりもする。

ただ、未知のエリアの探索中の高揚感についてはやはりマイクラが圧倒的に質・量ともに強すぎる
もはや詳しく解説しようとする気すら起きないほどに格が違うというか、具体的にどんなバイオームがどれくらいあるのか書こうとしたらこのnoteの投稿が1週間遅れた上でタイトルを『マインクラフトのバイオーム紹介!あとCore Keeper感想』に変更せざるを得ないことになる。
俺はマイクラで初めて入ったピラミッドの中で地面を掘ったら爆弾が埋まっていて爆死した記憶をきっと死ぬまで忘れない。忘れられない……。

【建築要素の比較】

これもかなり楽しかった。

俯瞰視点なので画面上の好きなところに好きなブロックや装飾品を置くことができ、思い描いた建築を現実にしやすいので自然と取り組みたくなる。

それでもセンスの無い奴は3Dだろうが横視点2Dだろうが俯瞰視点2Dだろうが四角形の建築物しか作れないことを教えてくれる当記事の一貫性溢れるスクショの流れである。

ちなみにベルトコンベアなどの自動化の要素もあって、自分は使い道がまあり思い浮かばずフレーバー程度の要素かな~って思ってたんだけど一緒にマルチで遊んでた人がマイクラのトラップタワーみたいなのを作っていて凄いと思った(真剣な感想)。

一方で、この点ではマイクラの建築の完成度の高さがそのまま他のサンドボックスゲームにとっての壁の高さにもなっている
3D空間ならではの立体感と自由度、そしてそれをハードルに感じさせない敷居の低さが土台にありながらも、自動化を始めとして調べても試しても深淵の底すら見えない奥深さはまさに完成されている。
そもそもマイクラを比較対象とすることがフェアではないのかもしれない。

【戦闘要素の比較】

全体的にテラリアを目指したような感触であり、武器や防具などのアイテムやボスの数はマイクラよりは圧倒的に多い
武器のレパートリーも近接武器、魔法武器、使い魔召喚武器などがある。

魔法武器。どうしたって射程の長い武器が強い気がする。

ここで予想通りというか案の定立ちはだかるのがテラリアで、アイテムの種類、総数においてあちらの背中は遥か遠い先にある
特に影響が大きいのが(あくまでテラリアと比べての)武器の少なさで、挙動の幅が狭いので武器を変えてもあまり戦法が変わらなかったり、そもそも武器を変える機会が少なかったりする。
運が悪かったのかもしれないが自分は中盤のあたりずっと同じ武器を使っていて、戦闘の内容自体の新鮮味は若干薄かった。

このあたりテラリアでは具体的にどうだったかというと、武器の多さに加えてインフレ強めのゲームバランスが後押しし、使い慣れた武器を捨てて新しい武器種に乗り換えることも多かった。
Core Keeperではテラリアに比べるとインフレが緩やかで、それ自体は良くも悪くもだが、武器を乗り換える理由が少ない要因のひとつになっていたのかもしれない。

【Core Keeper独自の魅力】

まとめると、マイクラとテラリアの良いとこ取りが丁寧に出来ている一方、それぞれ得意としている要素にはまだまだ追いつけていない
しかしながらインディーゲーム界における伝説の超10年選手両名を相手取ってまともに比較対象となれている0歳児という時点で恐るべきポテンシャルを秘めていることに疑いの余地はなく、その結果として30000件のレビュー(うち9割以上から「好評」評価)が寄せられているのだろう。
現時点でも十分すぎるくらいの良作だが、それ以上に今後のアップデートが楽しみな作品でもある。

最後にCore Keeper独自の魅力について触れたい。
それは全体的にカジュアルであること!

①かまどや照明などに、燃料などのリソースは基本的に不要。

鍋さえあればキノコとキノコでキノコスープ。リアリティよりも快適さを重視。

電気も水の補給も必要とせずに畑を潤し続けるスプリンクラーはある意味で本作の象徴のような光景である。
一応電気がないと動かない設備もあるが、その供給源である発電機にガソリンなどのリソースは不要なので、やはり一度用意した設備を動かすために後から何かをする必要がない。
武器やツール類に耐久力の概念はあるものの、補修は容易。

②世界のあちこちにワープポイントがあり、拠点と自由に行き来できる。

世界の中心、およびあちこちに点在するワープポイント

さらに中盤以降はワープポイントを自作して好きなところに飛べるようになる
こういった要素はマイクラには存在せず、テラリアでも本当に最後の最後に解禁されるので、ゲーム性の違いとしても大きなポイントと言える。

③マイクラやテラリアに比べて、次の冒険の目的の導線がちゃんと引いてある。
何をしたらいいのか分からないということはあまり無く、あったとしても世界を探索していればすぐに自然と解決するようになっている。

本作はマルチプレイで色々楽をさせて貰ったことを考えても比較的短い時間でゲーム内の主な要素を大体堪能できたのだが、それはこれらの快適さに繋がるゲームバランスがあったからこそだろう。
もちろんあくまでマイクラやテラリアに比べてであり、単体の作品として見れば十分すぎるほどのボリュームはある

【総評】

マイクラとテラリアの楽しさをそれぞれ併せ持つ。
お互いの良い部分が上手くまとまっていて、カジュアルで直感的に遊べるゲーム性の後押しもあり、サンドボックスと聞いて想像するような楽しみは大体提供してくれる良いゲームである。
サンドボックスの入門に最適な作品として、今後も一定の評価を得続けていくのではないだろうか。
というわけでまとめると本作『Core Keeper』は、サンドボックスの類を触ったことの無い人には特にオススメできる良作だと思う。

同時に、マイクラとテラリアの何が凄かったのかを教えてくれるゲームでもある
十数年前から今なお生涯現役で走り続ける先輩たちの偉大さが身に染みるが、繰り返すようにCore Keeperもまだまだこれからのゲームのはず。
いつかこの3名が並び立つ日を期待したい。

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