見出し画像

5年半の食事会が生んだ、社内コミュニケーションと健康。

現在の社会にはなじみにくい特性を持った方々に向け、私たちは「ギルドケア」という支援活動をつづけています。「保護を与えるのではなく、機会を与える」姿勢を大切に、一人ひとりの状況に合わせて調整しながら支援しています。

ギルドケアについてはコチラの記事で紹介しています。

たとえば「境界域知能」の方など、今の社会に生きづらさを感じる方々の実態を私たち自身もさらに深く理解したい。また多くの方にもこの状況を知っていただきたい。そしていつか一緒に彼らの支援に取り組む仲間になっていただけたら。
そんな想いのもと、noteでの記事更新をつづけています。


食事会の開催も、5年半を越えました!

ギルドケアでの支援活動の一環として、隊員の方々向けに毎月食事会を開催しています。初期は少人数だった参加者も徐々に増え続け、今では多くのメンバーが参加するようになりました。おかげで、一度の食事会で使うお肉の量は一営業所あたり6kg超にもなり、毎回買い出しの際には、段ボールに山盛りの食材を運び込んでいます。

食事会の運営は各営業所の内勤メンバーで回しているのですが、もちろん普段通りの仕事をしながらの準備となります。大変ではあるのですが「次は芋づるのきんぴらをつくりたい!」「栄養表の張り出しもやろう!」などと想いを育てながら運営できているように思います。

今回は、この食事会についてちょっと振り返ってみたいと思います。

野菜の採れる手料理を食べてほしい

直接のきっかけとなったのは、隊員さんたちとの何気ない会話です。

「また今日もパンですか?」

「そう、いつもパンですね」

この偏食が成人病を引き起こす可能性が高まることを知り、会社で食事を提供することを思い立ちました。さらに数人に普段の食生活を聞いてみると、やはり極端な偏食が目立ちました。毎食コンビニで済ませていたり、野菜をほとんど採っていない人ばかりでした。日々働いてはいるのでお金がないわけではありません。それでも健康的な食事には興味がないため、そこまで気が回らない、という感じでした。

せめて月に一回でも野菜を採る機会を、手料理を口にする機会をつくれないか?と考え食事会をはじめることにしたのでした。

ちなみに食事会の開催にあたり、実はもう一つ目的がありました。それは、「皆でコミュニケーションを取る機会もつくりたい」というものです。
当時はどちらかと言えば個人行動が多く、隊員同士お話をしている姿もほぼ見たことがありませんでした。「仕事が終われば即解散」という雰囲気だったのが気になり、交流の機会になればという想いもありました。

食事会がもたらした変化

食事会をスタートさせたばかりの頃は、本当に数人程度しか集まりませんでした。ですが、毎月継続して開催するうちに段々と参加者も増えていきました。寮住まいのメンバーはほぼ参加していますし、皆よく食べるので参加する時間帯によってはおかずがなくなってしまうことも。仕事が終わってから参加するメンバーもいるので、彼らが確実に食べられるように別枠でお弁当も10名分ほど確保しています。回を重ねるうちにつくる食事量も増え、今では全事業所で80名が参加する会となっています。
 

さて、では当初の目的は達成できたのか?という点で振り返ってみたいと思います。
 

意外と受け入れられた野菜

てっきり野菜を食べることにみな抵抗があるのかと思っていたのですが、ふたを開けてみるとそんなことはありませんでした。

「お、久しぶりの野菜だ」
「せっかくだから今のうちに野菜食べておこう」

と、好意的に受け入れられていたのが意外でした。むしろ、予想よりも副菜のなくなるペースが早く、後から来た人の分が足りなくなってしまうときもあるほど。ただ自分でつくって食べようという気が起きないだけで、野菜を意識的に避けている、というのではないことがわかりました。野菜を採る機会づくりは見事に成功しました。

食事会を通じて交流も深まった

そして交流の機会としては?こちらも結果として大成功でした。食事会が直接の理由となったかどうかは測る方法がありませんが、食事会の開始以降明確にメンバー同士の交流が増えてきているのを感じます。食事会中も話が弾み、仲のいいグループなども生まれてきたようです。
以前はそれぞれが個別で自分だけのことを相談に来ていたのですが、最近では他のメンバーの様子を気遣い「あの人大丈夫かな?」と仲間同士の相談を寄せてくれるようにもなっています。

また、私たちとのコミュニケーションが増え「今度はチンジャオロースが食べたいな」とか「ごはんつくってくれて、ありがとうござました!」など、ちょっと嬉しい発言も生まれてきています。人との交流の機会を定期的に提供することで、自分が一人だけじゃないんだ、という安心感も伝えられた気もします。

会社の活動や支援制度にも好意的な反応が返ってくるようになり、食事会をはじめてみてよかったなと思えています。

食事会で実現させたアイデアたち


せっかく食事を提供するなら、参加するみんなも喜ぶものにしたい。と私たちもさまざまなアイデアを持ち寄りました。

懐かしい献立をつくろう

高年齢組のメンバーたちのために、彼らが小さいころに食べていたであろう献立を出すのはどうか、というアイデアが出ました。そこで私たちも祖母にレシピを聞き、破竹(はちく)をつかった献立や、サツマイモのツルのきんぴらなどを出したりもしました。「懐かしい!」と嬉しい反応も出ていました。

のどに詰まりにくい工夫を

せっかく楽しんでもらうための食事会。のどに詰まらせてしまったりしたら元も子もありません。そこで飲み込みにくいお団子などの食材は小さめに成形したり、豆腐を混ぜて噛み切りやすくしたりと、皆が安心して食べられるようにもしました。


季節感も楽しんでほしい

たとえばクリスマスにはチキンやケーキ。新年にはお雑煮。節分には恵方巻の代わりに食べやすいキンパやお汁粉を出しています。季節感や行事ごとを感じられるのも食事の醍醐味の一つ。せっかく皆で集まって食事をするなら一緒に楽しめるものにしようと毎回企画しています。

義務じゃなく、おいしいから食べてもらいたい

魚が苦手なメンバーがいました。理由を聞いてみたところ「骨が苦手」とのこと。できることなら魚もおいしく食べてもらいたい。そこで手分けして、徹底的に小骨を除いたサンマごはんやアジの南蛮漬けをつくり、無事おいしそうに食べてもらうことができました。


毎回、参加者のリクエストなども聞きながら献立を考えています。これまでの人気メニューは「ハンバーグ」「から揚げ」「カレー」「肉じゃが」「チンジャオロース」「かぼちゃコロッケ」…。

最初は不慣れだった大人数分の調理も、段々と慣れてきたように思います。次回の食事会の献立は何にするか、考えるのも楽しみです。
 
毎回の食事会の様子は、下記Instagramでも投稿していますので、ぜひご覧になってください。

Instagramのご紹介

私たちは定期的に懇親の場として食事会を開催しています。仕事の場では時間や役割を気にして、話しにくいことだってあります。だから気楽に、お互いが一人の生活者に戻って不安も希望も話し合える場をつくっているのです。下記Instagramでは、自社の畑で採れた野菜をつかい季節や行事を反映した献立や、食事会の様子などを発信中です。よろしければ、ぜひご覧ください。フォローもいただけると大変うれしいです!

InstagramのQR

今回もお読みいただき、ありがとうございました!


いいなと思ったら応援しよう!