「ベストキッド」と「特異性の原則」と動作習得
はじめに
もう40年前の話ですが
アメリカで「ベストキッド」(原題 Karate Kid)という映画が公開されました。
アメリカ人のいじめられっ子の少年が、日本人の空手の先生ミヤギさんと出会い、その教えを通して肉体的だけでなく精神的にも強く成長していくという映画でした。
この映画で印象的なシーンがあります。
ミヤギさんが空手を習いたい少年に「では教えてあげよう」とやらせるのは「車のワックスがけ」
「右手でワックスを塗り、左手でワックスを拭き取る」
少年は空手を教えてくれず、ワックスがけをやらされて不満ですが、ミヤギさんは気にせずにそれだけを繰り返させる。
その交互に腕で円を描く動きが実は空手の防御の動きで、少年は知らないうちに相手の攻撃を避けること技を身につけていいた・・・
という流れなんですが。
この映画は実はジャッキー・チェン主演でリメイクされています。
この時は師匠のジャッキーが少年に「カンフーを教えて」と言われて
「ジャケットをハンガーにかけ、それを床に落とし、拾ってそれを着て、また脱いでハンガーにかける」
この動きを繰り返させます。
これもまた相手の攻撃を交わし、最後に両掌で突くという動きを習得できる反復練習になっているという設定でした。
「アジアの神秘」的な非合理的トレーニングが実は効果的で、しかも少年の忍耐力を試す修行的要素もあり。
これがアメリカ人が考えそうな「武道」の姿なのでしょう。
ではこんなトレーニングが本当に有効なのか?
ファンクショナル的に考えてみよう!というのが今回の記事のテーマです。
今回トレーニングの原則の一つ「特異性の原則」を通して考えたいと思います。
1.特異性の原則とは
特異性の原則とは「トレーニングが特定の目標や動作に合わせて行われるべきであるという原則」です。
つまり、トレーニングはその目的(スポーツであれば勝利)や運動動作、体力の要素に合致した形で行われた時、最も効果を発揮することができるという考え方に基づいて、トレーニング種目やプログラムが決定されるわけです。
2.ファンクショナルトレーニングと特異性の原則
ファンクショナルトレーニングは、特異性の原則を強調するトレーニングの一形態です。
ファンクショナルトレーニングのアプローチでは、日常生活やスポーツで必要な動作に焦点を当て、それに合わせたトレーニングを行います。
例えば、特定のスポーツの動作を改善するために、そのスポーツに関連する動作パターンを分析し、それを対象者に当てはめて、どの動きを改善するのか、なぜその改善点が生まれたのか具体的な問題点を見つけ出し、具体的にそれを改善できるようなトレーニングを提供します。
3.なぜ特異性が重要か
特異性の原則は、以下の理由から重要です。
A.直接的な成果
特定の目標や動作に特化したトレーニングは、その目標を達成しやすくします。
例えば、ゴルフ選手がゴルフのスイングに特化したトレーニングを行うことで、スイングの改善が期待できます。
B.怪我の予防
特異的なトレーニングは、特定のスポーツや動作に関連する筋肉や関節の強化を促進し、怪我の予防に役立ちます。
C.効率性
特異的なトレーニングは、限られた時間内で効果的な結果を得るのに役立ちます。無駄なトレーニングを排除し、効果的なプログラムを構築できます。
次回予告
この特異性の原則を理解した上で、最初に書いた「ベストキッド」のエピソードを分析すると、それが有効な技術習得のためのトレーニングだったのか??
きっとわかると思います。
次回のnoteではそれを理論的に深掘りしたいと思います。
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