環境ではなく、自分でした
父親に税金を払わせていた頃のわたしは、ニートの走りだったかもしれない
いや、それを良しとするわけでなくね
うちはそれほど裕福でもなかったのに、わたしにはその切羽詰まった感が解らず…それはもちろん両親が感じさせないようにしていたからなのだろうけれど、つまりわたしは放蕩娘だったわけです
んーちょっと心に闇というか、甘えだけでは処理できない成長過程の機微というものがあったのでしょう
それはわたしだけの問題ではなく、身内で最初の子どもだったわたしが、両親にとっても手探りで、身内にとっては試作品のような、そんな存在だったのかなぁと…
わたしは都合よく解釈する(←わたしの人生の中にたびたび出てくる「都合よく解釈」)
ニートって、働かないでゲームやってるひとばかりじゃないよね? 引きこもりっていっても、ただの出不精で面倒くさがりってのもあるんじゃない?
その頃のわたしは「環境が変われば自分も変われる」って思っていて、環境の変化とは、単純に家ではないところに居を移すと都合よく解釈し、一念発起して親戚の叔母さんの家に出稼ぎに行くことにした(←ひとり暮らしじゃないところ)
出稼ぎなんていったって、叔母の家が商売をやっているわけでもなく、ただ単に実家よりちょっとばかり賑やかな土地に移りたかっただけ(≧◇≦)
叔母の家は、賑やかすぎず、でも賑やかなところにすぐ行けるところだった
わたしは長女で男兄弟もいないし、結婚してもず~っと家にいるもの(婿取り)と思っていた
当然、家を出たこともなく、家を出ようと思ったこともない「箱入り娘」だったので、思い付きで行動する実に危うい大人子どもだった
それでもなんとなく「給料が入ったらおねえちゃんの税金払わなきゃ」って言ってる父親がかわいそうになって、大好きな父親のために「しっかりしなきゃ」って、やっと思い立っての行動だった
3つ下の妹は、こんなのんきなわたしとは正反対で、高校を出てしっかりと就職して意気揚々と仕事をしていた…だから妹はわたしが大嫌いだった
その妹に「わたしだってやるときゃやるのよ」と、見せてやりたかったのかも知れない
環境が変わったら、自分も違う自分になれると思っていたわたしは、いざ引っ越してみて仕事探しを始めたら、全然違う自分じゃないことに気づいた
そりゃそうだ! 女優でもあるまいし、やる気もないのに突然仕事なんか探せるはずもなかった
でもそこはもう自分の家じゃないし、光熱費を入れなければいけない
やっとの思いで面接を受けケーキ屋さんとコンビニでバイトをすることになった
ケーキ屋さんにはメイド服のような制服があり、高校・短大と制服を着ていたわたしは、学校とは違った制服にちょっとウキウキした。しかも職場に行ってからロッカーに行き、制服に着替え、お店に出る
なんかドラマの中の主人公みた~い♬
女優じゃないけど、ちょっと変われた気がした
だって、それまでひとりで乗ったことのなかった電車で、しかも乗り継ぎまであって、満員電車を経験して、急に一人前になれた気がしたんですもの
でもね、ケーキ屋さん、やっぱり女の職場なのね…いろいろ面倒くさいことがあった。いじめじゃないけど、無視とか、機嫌悪くなる程度の陰湿なやつ
それでも、意外とわたし、仕事を覚えるのは早くて、数学は苦手だけど数字には強いみたいで、セール品の金額の計算も難なくこなし、仕事はとっても楽しかった
楽しかったけど、それとは裏腹に、生活は楽しいとは言えなかった
いくら親戚とはいえ、それまで生活環境の違う人間がひとり、一家族に乱入するのだから、お互いやりにくいことも、言いたいことも、どんどんたまっていくもので…
叔母さんの家にはわたしの従兄妹たちもいて、なにより気をつけていたことは、この従兄妹たちの機嫌を損ねないってことだった
さすがに叔母さんはね、大人だから陰湿なことはなかったけど、言いたいことはたくさんあったと思う。でも、言いたいことを好き放題言えちゃう若い従兄妹たちに機嫌損ねられたら一緒になんて住んでいたくなくなるし、結果いられなくなると思ったのね。だからとにかく、なにがあっても
「怒りをあらわにしない」と心に誓った
その甲斐あってわたしは、辛抱することを学んだ。少し大人になったと思う
そして、「環境が変わっても自分が変わらなければなにも変わらない」ということを学んだ
普通はね、もっと早くに気づくべきだし、こういうことはもしかしたら学生生活の中で学ぶものだったかもしれない。けれど学生時代のわたしの中に、これに気づくだけの苦労とか、努力とか、そういうものがなかったのね
あ、なんかこれ、またわたしの「ダメ人間ものがたり」になってない?
でもこのわずかな旅(おおきくなった)が、
「思い付きで行動する危うい大人子ども」から、「環境が変わっても自分が変わらなければなにも変わらない」自分を、打破するきっかけにはなったのです
お、「成長ものがたり」になった?