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【本を読んで考える】私だったら、タイトルは「なぜ働いていると同棲中の彼女が抱けなくなるのか」にするけどね(笑)

話題の本。「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」。

よくあるツッコミは、「この本読んでみたいけど、仕事忙しいから読めないわ(笑)」らしい。

三宅香帆という著者の名前に私は見覚えがあった。
検索してみて思いだした。
ああ、天狼院書店のあの本の人か。

※なお、同書の50冊のタイトルリストに限っては、こちらのリンクから閲覧できる。

名著50のリストを見ながら、本が本当に好きな人なんだなあと思っていた。
だから、今回の本の冒頭で、「本が読めなかったから、会社をやめました」と書いてあった時は、「まじか…こんな本が好きな人が…大変だったんだろうな…」と思った。
ヨシタケシンスケもびっくりの「あんなに本が好きだったのに…もうこんな…」である。

さて、普段は忙しくて本が読めないけど、なんとか時間を作って本書を読み始めた人には残念なことだが、本書の8割以上をつまらなく感じたのではないだろうか。
なんせ本書の大部分は明治時代以降の労働観の変遷と、それに伴う読書をすることの意味の移り変わりを記している。
要旨を理解するだけなら、「はじめに」と「最終章」だけを読めば事足りる。

そしてお忙しい社会人の皆様のために、私が本書を一言でまとめると、「文化は労働に搾取され、人々は読書に生産性のものさしをあてた」というところだろうか。

好きな本を好き勝手に読むのではなく、仕事のため、資格取得のための本しか読めなくなってる、みなさぁ〜ん!あなたですよ!
本書の8割を捨てたみなさんに、警鐘が鳴らされているわけだ(笑)

とはいえ、私もflierなどの要約サイトを利用したりしているし、下記の本で指摘されているように、アニメや映画を倍速で見ることもある。
見たい、知りたいとそそのかされるコンテンツの量に、無職にもかかわらず、なぜだろう、時間が追い付いていない…。

こういったコンテンツに興味ない人でも、「セックス」についてはどうだろう。
最近、同棲している彼女を抱く気になれないのは、仕事に疲れていることだけでなく、その行為に生産性がないと感じているからではないだろうか。
入籍後、彼女の排卵日周辺で、子作りという生産活動に直結する行為だけしておけばいいと思っていないだろうか。

気持ちいいからって理由だけでするセックスを忘れてないか。
彼女との関係を悪くしないために、たまには抱いてやるかなんて気持ちで彼女を抱いていないか。
ぎりぎりレスにならない程度にって思ってるお前、それはすでにレスなんじゃないか。

本書は労働に文化が搾取されていると言っているが、最近は人間の欲求までもが生産性のものさしではじかれて、ないがしろになっていないだろうか。
そんなことを思ったりした。

なお、私は、こんな風に、読書感想文をつらつらとnoteにあげているわけだが、別に「本は読むべき!本を読んでいる人間はカッコいい!偉い!」などとは1ミリも思っていない。
生産性のために本を読むことが大切だとか言ってるなら、まあ勝手に読めばと思うし、最近の世の中には、本以外にも面白いコンテンツがたくさんあるし、YouTubeやスマホゲーもおもろいし、好きなものやればいいんじゃないかなと思う。
その中で、読書はちょっと負荷がかかるから、余暇の過ごし方として手を出しずらいというのも理解できる。

本が好きな人は、好きで勝手に読めばいい。
私もけっこう本が好きだ。
ただ、「本が読みたくて、でも読めないんだ」っていう人には、「いや読みたいなら読めばいいのでは?」って思ってたんだけど、そうもいかない世の中なのかもね。くらいのことを本書を読んで思いました。

最近現代の労働観に一石を投じる別の本も読みました。
よかったら見てね。


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