スタートとやる気
長くランニングを続けていると、またランニング指導を行う上でもモチベーションの維持について聞かれることは少なくありません。
モチベーション、ここでは「やる気」と同じように考えてもらって大丈夫です。
私の場合、同じランニングでも気持ちをすっきりさせるため、友人や仲間と過ごす時間のため、そしてトレーニングとして取り組む時があり、目的はその時によって異なります。
いずれにしてもその日のランニングのスタートを切る時にモチベーションが高まっている状態、いわばやる気満々の状態というのはほとんどありません。学生時代など競技をやっていた時はチームメイトやライバルなど、誰かの刺激を受けて急に走りに行こうとする時もありましたが、それでも稀で今ではそのようなことはほとんどありません。
なのでモチベーションの維持と聞かれても常にモチベーション高くランニングを続けているわけではないです。かといってやる気がないかというとそうでもありません。
今朝も15km(近所の公園の周回約1.5kmを10周)を走りに出かけました。これはトレーニング目的です。
目を覚まして10分後くらいには家を出ます。ここでのモチベーションは低いです。
それでも着替えを済ませ、シューズを履き、家を出る。
起きたばかりの重い身体をゆっくり動かすのと同じように気持ちもスロースタートです。
公園までやく10分の道のり。少しずつ身体が馴染んでいきますが、まだまだ動きは良くなく気持ちもどちらかというと「10周かぁ」のような感じです。
「まずは3周」のように最初の指標に集中し、少しずつ走りのリズムも良くなり、自然と気持ちもついてきます。
中間点を過ぎる頃にはペースも軌道に乗り、楽ではないがどこか心地よさも感じるくらいに。
残り2,3周から疲れも出始めて心地よさは薄まり、苦しさへと変わり始めるような局面に入ります。この時くらいでしょうか、特にトレーニングとして走っている時、誰かに強制されるわけでもない時、この苦しさでも突き進む理由が必要になってくるのは。モチベーションの原動があるのとないのでは大きく違いが出てくる時は。
モチベーションが必要なときはスタートを切る時ではなく、一番苦しい局面なのかもしれません。モチベーションの維持というよりは、持ってくるべき時にモチベーションを、と考えた方がいいのかもしれません。
ウォーミングアップ、という言葉は運動を行う際に少なからず聞いたことがあると思います。
身体を温めて怪我の予防やパフォーマンスを発揮するための準備として考えられています。肉体的な面での効果やメリットを語られることが多く、「何をどのくらいやるのか」という部分が目立ちます。
もちろん身体の準備という面では間違いありませんが、心理面、メインの練習をするための心構えを作るという意味でもウォーミングアップは大切です。
10分くらいジョギングをすれば身体の準備ができる時はありますが、もう少し集中して心構えを作りたいと思う時は長く走る時もあります。
「持ってくるべき時にモチベーションを」そういった意味でもウォーミングアップの役割はあると思い、テレビなどでアスリートが行う、側から見たら「それ意味があるの?」と思えるような行動もその人にとっては心構えを作るルーティンとして大切なものだと思います。
練習会などで指導する人たちを見ているとメイン練習前のジョギング中の会話もまた自然とこれからくるメインへの気持ちの準備にもなっているように思えます。
維持ではなく、モチベーションを持ってくるタイミング、そしてそれを作る出す準備の仕方がわかっていることの方が大切なのかもしれません。