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No.7 グアテマラの先住民と民族衣装

このnoteは、中米グアテマラを愛する日本人がバトンをつなぐ、エピソード・リレーです。このリレーは「新型コロナウイルスの影響を受けたグアテマラの貧困層への食糧配布プロジェクト」を応援するために企画されました。

↓グアテマラってどこ?と思った方はこちらから↓

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こんにちは!ブログリレー第7回目を担当させていただきます、佐野友紀です。

私は、これまで、アパレルブランドILOITOO国際協力機構(JICA)のインターンとして数回グアテマラに渡航し、すっかりこの国に魅了されている日本人です。

この記事では、私がグアテマラに興味を持ったきっかけであり、また、渡航後より一層この国に惹かれることとなる理由の1つである、素敵な民族衣装、そしてそれを纏う先住民の人々を紹介します!

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少々マニアックなお話になるかもしれませんが、1人でも多くグアテマラファンを増やすべく、惜しみなく魅力を伝えていきますので、最後までお付き合いいただければ幸いです...!

この記事はこんな人にオススメです。(私は全部当てはまります...笑)
・刺繍や織物など手仕事が好きな人
・カラフルなものに目がない人
・先住民という言葉にビビっときた人
・少数言語に興味がある人
・グアテマラに行ったことがある人/ 行ってみたい人
・中南米が好きな人/ 中南米の他の国に詳しい人

1. グアテマラの先住民

皆さんはグアテマラと聞いて何を思い浮かべますか?

コーヒーがまず1番に出てくる方も多いのではないのでしょうか。

他には、遺跡やカラフルな布でこの国を知っていたり、それに惹かれてこの国を訪れたことのある人もいるかもしれません。

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グアテマラは、ラテンアメリカ地域の中でも先住民の割合が高く、国民の約半数をマヤ系先住民(かの有名なマヤ文明のマヤです)が占めています。

他に、スペインの植民地であったことから、ヨーロッパ系や先住民との混血、非マヤ系のシンカ、アフリカ系のガリフナの人々が暮らしていますが、特にグアテマラ西部の高原地域はマヤ系先住民の占める割合が非常に高くなっています。

もしかしたら「先住民」と聞くと、ジャングルの奥地で現代文明とは隔絶された独自の生活をしている、というようなイメージを持つ人もいるかもしれません。

現在のグアテマラの先住民は、こんな感じ。

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携帯電話だって持っている人も少なくありません。余談ですが、若い人に限らず自撮りをSNSにあげることが大好きな人が多いです(笑)

少しシャイだけど、他の中南米諸国と同様、ラテン・ミュージックに乗って踊るのが大好きな人もたくさんもいます。

「先住民」の定義は難しく、血統的には先住民でも都市へ出て混血の人と同じような暮らしをしている人もいます。このような人々は、欧州系や混血と同じ「ラディーノ(非先住民)」として分類されます。

反対に、血統的に完全な先住民でなくても先住民的な生活をしている人もいます。その血の濃さによって肌の色や顔立ちも少しずつ異なり、また、その程度にも地域差があるため、同じグアテマラのマヤ系先住民といっても様々な人がいます。

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そんなグアテマラの先住民。近年は若い世代を中心にラディーノ化が進んでいる場合もありますが、2つの大きな特徴を紹介します。

第一に、彼らの多くは、公用語のスペイン語のほか、カクチケル語、ツトゥヒル語、キチェ語、マム語、アチ語、ケクチ語など地域ごとに異なる言葉を話します。地理的に近い言葉(例:カクチケル語とツトゥヒル語)はある程度似ているようですが、遠い地域の言葉(例:ツトゥヒル語とマム語)は全く理解できないそうです。

第二の特徴としては、現在も特に女性は日常的に民族衣装を着用している人が多くいます。

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2. グアテマラの民族衣装

マヤ系先住民の女性は、主に、ウイピルという上衣とコルテという巻きスカート、それにファハという帯を締めています。デランタルと呼ばれるエプロンをつけていることもしばしば。

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手織物であることが多く、ウイピルは後帯機(こうたいばた。腰帯を備え、反対側を柱や木に掛けて織る手織機。)で女性が、コルテは高機(たかばた。足踏み式の木製の織機。鶴の恩返しのイメージです!)で男性が織ることが一般的です。刺繍も主に女性が行います。どれも高度な技術を要する手仕事です。

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こんな小さな女の子もウイピルとコルテを着用しています。

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この鮮やかな衣装。形・模様・色使い・織技法・素材など、町や地域ごとに特徴があります。

2.1 地域ごとに異なる衣装

例えば、これは、サン・フアン・ラ・ラグーナという同国有数の観光地アティトラン湖畔の町の衣装。ツトゥヒル語を話す人々が暮らすこの町は「アティトラン」という銘柄のコーヒーの産地でもあります。胸元の刺繍(6重の線と24個の四角)は、1年で1番大きな町のお祭りの日(6月24日)を表しています。

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こちらは、同じくツトゥヒルの町サンティアゴ・アティトランの衣装。縦縞や格子模様の生地に花や鳥の刺繍が特徴的です。この町の女性は特に刺繍の技術に長けていいます。また、現在日常的に使っている人は殆ど見られませんが、この町はぐるぐると帯を巻いた帽子のような頭飾りが有名で、グアテマラの25センターボ硬貨にも描かれています。

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次は、キチェ県のチチカステナンゴの衣装。こちらはキチェ語。大きな民芸品市が開かれることで有名な町です。あふれんばかりの刺繍が施されたウイピルは、日本円にしてお値段数万円にのぼることも。この町のコルテの丈は少し短めで、ウイピルと同色の太い刺繍が施されています。

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こちらは、ケツァルテナンゴ県のアルモロンガの衣装。こちらもキチェ語。温泉が出ることで有名な町です。この町のコルテは、人柄の絣模様(カゴを頭に載せていたり、2人が手を繋いでいたり...)が入っている遊び心のあるデザインが多く、右の人は頭にシンタと呼ばれるポンポン付きの紐を巻いています。

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男性の民族衣装が見られる地域もあります。こちらはウエウエテナンゴ県のトドス・サントス・クチュマタンの衣装。マム語の地域で、赤や紫を基調とした衣装が特徴的です。襟元に細かな模様の入ったお揃いの上着にお揃いのズボン、カンカン帽にも鮮やかな生地を巻いています。この町の生地は観光客向けのお土産にもよく使われています。

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最後は、ソロラ県の県都ソロラの衣装。こちらはカクチケル語。男性用のジャケットは中々いかつい...!この町の衣装は、黒や紺、こげ茶などの濃い色の生地にカラフルな糸が織り込まれています。チチカステナンゴ等と比べると、地域の衣装によって市場の色もガラリと変わってしまうのが分かります。

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2.2  民族衣装豆知識

このように地域によって異なる民族衣装。ここで少し豆知識をご紹介します!

かつては各地域に根付いた衣装を主に着用していたのですが、近年、地域ごとにその程度に差はあるものの、違う地域の衣装を着てお洒落を楽しむ人が増えてきました。

こちらは、全て、サン・フアン・ラ・ラグーナの女性ですが、左から、サン・ルーカス・トリマン、パツン、サン・ペドロ・ラ・ラグーナ、シェラ、ソロラ、サン・ペドロ・ネクタ、サン・フアン・サカテペケス、サン・マルコス・ラ・ラグーナの衣装を着用しています。

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また、特定の町に根ざしたものだけでなく、グアテマラ全土またはより広範な地域で着用されているコルテもあります。

さらに、民族衣装にも流行があるんです!

こちらは、ソロラ県のサンタ・カタリーナ・パロポの衣装。現在は美しい青を基調とする衣装で有名な町ですが、数十年前は赤色が主流だったそうです。

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一見「伝統」衣装のように見えるグアテマラ先住民の装い。先に紹介した地域に根付く衣装も、古くから受け継がれてきた完全な「伝統」ではありません。現在のウイピルやコルテのカラフルな糸には化学染料が使われていることが殆どですし、男性の帽子は西洋由来のもの、ビーズで飾り付けられたウイピルや、足元にはヒールの高いサンダルやパンプスを合わせていることもしばしば。スペインによる征服前の装いにルーツを持ちつつ、民族衣装も時代と共に変化しているようです。

そして、現在の民族衣装は、手織りのウイピルとコルテだけではありません。

近年、続々と人気を増しているブラウス。フリルやビーズもついて、とってもラブリー!おばあちゃん世代でもこのような可愛らしい装いを日常的にしています♡

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ブラウス流行の背景の1つには、手織り・手刺繍のウイピルよりも安価であることがあるようです。このため、近年は手ではなく機械によるコルテや刺繍、さらには柄がプリントされたウイピルやコルテも出てきています。

決して安くはないウイピル。こちらのおばあさんは、なんと20年間もこのウイピルを大切に着ているそうです!

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私は友人から借りたウイピルを洗濯してから返そうと思い、通常の衣料用洗剤を使ったところ、怒られてしまったことがあります... 特別な洗い方があるようです。それだけ大切にしているんですね。

3. 誇り高くお洒落な先住民

ここまで読んでくださった方はお気付きかと思いますが、グアテマラの先住民の人々、かなりの派手好きです。目の覚めるような鮮やかな布は「グアテマラ・レインボー」と呼ばれているくらい。

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そして、とってもお洒落の意識が高いんです!

ある町のウイピルは必ず同じ町のコルテとセットで!紫のブラウスには紫のコルテに紫の帯をしめて!冷え込む時は紫のカーディガンを!というように、かなりこだわりがあります。

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また、特別な日には家族でお揃いのコーディネートをすることも。

こちらは友人の結婚式の写真。花嫁はもちろん一張羅のウイピルとコルテですが、新郎新婦のお母さんたちもお揃いの衣装でキメています。

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先日の母の日には、祖母・母・孫3代、お揃いのブルー系のブラウスでお洒落を楽しんでいる人も見かけました。

地域差や個人差がありますが、部屋着やパジャマなんて持っていない人もいます。寝る時もウイピルとコルテだそうです。

私は毎日Tシャツで過ごしていたところ、現地の女の子に「部屋着みたいだよ。ウイピル着てもっとお洒落した方が良いよ!」と言われてしまいました(笑)

それほどお洒落への意識が高く、また、自分たちの衣装、先住民というアイデンティティの表現方法の1つとしての衣装に誇りを持っているように思います。

私はある村のコルテを使ったスカートを履いてその村を訪れたところ、普段はシャイな人々が「それこの村の布じゃん!どこで買ったの??」と満面の笑みで続々に声を掛けてくれました。

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これは言語面でもいえることで、学校教育が広く普及している地域では、スペイン語のみを話す子供が増えてきたことから、現地語のクラスを開講したり、家では必ず現地語で子供と話すようにしたりしているそうです。

私はそんな誇り高い彼らが大好きです。

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4. 最後に

このように鮮やかな衣装を纏い、アイデンティティの拠り所としてもお洒落を楽しむ彼ら。

しかし、ラディーノ(非先住民)との民族格差は大きく、グアテマラの先住民の約7割が貧困層、そのうち、約3割が極貧層に分類されると言われています。

植民地支配に由来する社会構造は、独立後も変わることなく一層強化され、コーヒー等の大農園での搾取や、内戦時には主に先住民を対象とした大規模な虐殺も行われました。和平協定締結後も根本的な社会構造は変わっていないように思います。

私は先住民の暮らす地域で半年ほど過ごした後、再びグアテマラに渡航し、首都での生活・オフィスビルでの勤務を経験しましたが、そこでの生活・働く人は、それまで私が知っていたグアテマラとは別の国のようでした。生活スタイルも人種も全く違ったのです。

このような社会で暮らしているからこそ、グアテマラの先住民には自らのアイデンティティを意識し大切にする人が多いのかもしれません。

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また、この先住民の間でも大きな格差があります。

先に紹介したアティトラン湖畔の町が、観光産業やコーヒーの生産により先住民地域の中では比較的経済的に豊かであるのに対し、このブログリレーが応援する「食糧配布プロジェクト」の実施地域は、観光客など絶対に訪れない山奥(私はこの地域にバスで行こうとしたところ、行き先は間違っていないか何度も周りの人に確認されました笑)にあり、地形や気候条件から農作物の栽培には適していない、グアテマラの中でも最も経済的に厳しい地域の1つです。

この地域の詳しい生活については、ブログリレーのNo.1とNo.5をぜひ読んでみてください!

因みに、この地域の衣装はこちら!首周りに刺繍の施された赤地のウイピルに、刺繍のラインが入ったデニムのような生地のコルテを着ています。

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いかがでしたか?グアテマラの鮮やかな民族衣装、そしてそれを装う人々の魅力が少しでも伝わったでしょうか?

お気に入りの民族衣装を探しに、また、少しシャイだけど誇り高くてお洒落な先住民の人々に会いに、ぜひグアテマラを訪れてみてください。素敵な出会いが待っているはず!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!Tiox(ツトゥヒル語でありがとう)!

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新型コロナウイルスの影響を受けたグアテマラの貧困層への食糧配布プロジェクト」の詳細はこちら↓

グアテマラを、そしてそこに暮らす人々を応援したい!という方は、ぜひクラウドファンディングページ(日本語の説明あり)をのぞいてみてください。US5ドルからご寄付いただけます。

このnoteでは、この国に関わる様々な日本人による、魅力いっぱいのグアテマラ情報を発信しています。ブログリレーの他のエピソードはこちら↓

次回は、食糧配布プロジェクト実施地域ウィタンでの滞在経験のある久保さんが、そこでのお風呂事情、現地人のパワースポットなど、一般的な観光ではなかなか知ることのできないディープな情報を伝えてくれます!

明日もお楽しみに!








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