なぜインフレを目指すのか?
「なぜインフレを目指すのか?」一言で答えれば、
「お金を使った方が得な世界が生まれるから」
となります。
インフレになるということはお金の価値がどんどん目減りしていくことです。そうすると一見、よくないように感じるのですが、決してそんなことはありません。私もインフレになった方がいいと思います。
⒈インフレは、経済成長誘発
インフレが定着すると、どんどんお金の価値が下がっていくので、どうせ買うのなら「できるだけはやく買った方が勝ち」の世界になります。この感覚、30年以上デフレが続く日本では想像もできませんが、ほとんどの国では今もこの状態です(欧州も中国も米国も)。
そうすると消費は増え、売上は増えて労働者の給料も上がります。つまり、経済活動に正のスパイラルが生まれ、どんどん経済成長していきます。
⒉インフレは、預金から投資に向かう
インフレでは、銀行に普通預金していると大変なことになります。ちなみにインフレターゲット2%が10年続くと、今日の100万円は、10年後83万円の価値に目減りしてしまうのです。すると普通の人だったら、100万円を投資して少しでも価値を目減りしないようにします。投資が増えて企業活動も活発になるというわけです。
⒊インフレは、借金した方が特になる
一方で借金している人はどうでしょう。そうです。預金の逆なわけだから、インフレになると得するんです。借金はどんどん目減りしていきます。100万円の借金は、10年後83万円相当に目減りするわけです。貪欲な実業家が、どんどん動きやすい状況が生まれるのでイノベーションも起こりやすくなります。
⒋インフレは、国の借金がどんどん減っていく
実は、国がなぜインフレを起こしたいかというと、ホンネはここです。現在日本には 1400兆円の公的債務がありますが、これが勝手に目減りしてくれるんです。2%のインフレが10年続けば、200兆円以上削減できちゃいます。
トマ・ピケティの21世紀の資本を読むと、
歴史上ほとんどの公的債務は、インフレによって解消しています。増税でも節税でもないのです。
⒌あとはインフレになって金利がどうなるか
金利がそこそこに落ち着いていれば、インフレ効果が発揮できます。そしてインフレになれば日銀の金融政策も自由度が上がるという利点もあります(金利があるんで金利政策が機能する)。
いかがでしょうか?ハイパーインフレと呼ばれる毎月50%を超える危機的状況にさえならなければ、そこまで極端でなくても給料の値上げ以上に物価高になってしまうような高いインフレ率にならなければ、つまり日銀がいう2%程度のインフレであれば、メリットの方が多いということは理解できると思います。
*日本のインフレ率の推移(世界経済のネタ帳より)
*写真:2021年9月 六本木 サントリーホール