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「性格とは何か」小塩真司著 書評

<概要>
性格とは何か?性格の分類方法と、分類項目別の特徴とその傾向について、年齢・地域・性差・一生の変化などについての相関の有無の研究成果と性格の生かし方について紹介した最新(2020年8月25日出版)の心理学者の新書。

<コメント>
「人間の本性を考える(下)スティーブン・ピンカー著」で、

性格は、半分は遺伝、残りはあらゆる外的環境の組み合わせの結果として形成されるので、全く法則性はないというのが結論。つまり性格の半分はどうなるかは誰にもわからないという仮説。

一方で最新の研究成果に基づく本書では「年齢」「住む場所」「時代性」「性差」などによっても、本人自身の訓練によっても大きく変わっていくということで、やはり

「性格はファジー」というのがおおよその結論

性格は主に以下の5つに分類(ビッグファイブという)され、個別にその傾向値の強さ弱さの量で判断(あれかこれかではない)。これに迷惑な性格特性=ダーク・トライアドの性格3つを加えます。

<ビッグファイブ>
◼️外向性⇄内向性

活発さや明るさ、一人よりもみんなと一緒にいたいという気持ちを反映。外向性が強い人ほど海を好み、歩ける街を好む(=交流を好む)

◼️神経症傾向⇄情緒安定傾向
落ち込みや不安、怒りといったネガティブな感情を抱きやすい傾向。歳を取ればとるほど情緒安定傾向になる。日本の高度成長期は情緒安定志向になり、バブル崩壊後は神経症傾向になっている。

◼️開放性⇄閉鎖性
好奇心が強い、関心の範囲が広い、相応力を巡らすなど。ただし対人関係上オープンという意味ではない。歳を取れば取るほど開放性が上昇。引っ越し大好き

◼️協調性⇄非協調性
優しさや寛大さ、思いやりや面倒見の良さを反映。歳を取れば取るほど数値は上昇(=やさしくなる)

◼️勤勉性⇄怠惰性
真面目で計画的、熱心に活動に取り組む傾向を反映。勤勉性が高いと成績優秀で仕事の能力も高い傾向にある。歳を取れば取るほど数値は上昇(真面目になる)。

<ダーク・トライアド>
◼️マキャベリアニズム:自分自身のためには手段を選ばない傾向
◼️サイコパシー   :冷淡な感情と反社会性を反映
◼️ナルシシズム   :自己愛を反映

時代性・国民性・県民性などそれぞれの領域で大雑把な傾向値はあるものの、ステレオタイプ的に判断できるほどの傾向値ではない感じがします。それでも面白かったのはアメリカ合衆国の地図に反映されたビッグファイブの強弱の地図。

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トランプ大統領を支持する州は、協調性(≒共同体の絆が強い)、勤勉性(≒信仰心が強い)が高く、バイデン元副大統領を支持する州は、開放性(≒既存の価値観に縛られない)、神経症傾向(≒都会の孤独性・孤立性)が高いという、興味深い現象が起きていました。

日本の場合は、ここまで地域差があるようには感じませんので、アメリカ合衆国の分断問題は性格にも反映されているということでしょうか?どうでしょう。

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