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政治経済と価値観

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フリードリヒ・ハイエク「古くからの真実を人々の心に留めておきたいなら、世代ごとにその言語と概念で語り直さなければならない」。この精神で近代市民社会の原理をベースに記事を展開しよう…
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#nikkei

2025年も私の政治スタンスは「自由」

毎年更新している「私の政治スタンス」の2025年版。私の政治信条は大雑把にいえば「徹底した自由と透明性と現実的な安全保障政策」。 残念ながら、リベラルでも保守でもない、つまり既存の属性に当てはまらない私の政治信条は、特定の属性に当てはまらないがゆえに人気がないように思いますが、現役時代含めFIRE後もひたすら哲学・生物学はじめ様々な勉強をし各国・国内を渡り歩いた結果の信条であり、相当に自信のある考え方なので、賛同者が増えることを望みます。 なお今年は細かい部分の変更点のみ

「絶望を希望に変える経済学」A・V・バナジー著 書評

<概要>旧来の経済学の成果としての「理」のエコノ的考察に、行動経済学の成果としての「情」のヒューマン的考察を加味しつつ、世界中の社会的実験に基づくエヴィデンスをもとに、机上の空論ではない現実的な成果を得やすい具体的な経済政策について提言した開発経済学者の著作。 <コメント>2020年に日経新聞上で、エコノミストが進める本ナンバーワンに輝いた、ノーベル経済学賞受賞者(2019年)の著作読了。 #日経COMEMO #NIKKEI なお、ノーベル経済学賞は、本当のノーベル賞で

「習近平帝国の暗号2035」中澤克二著 書評

<概要>2012年の総書記就任以降、2035年をゴールとした習近平の思惑と、毛沢東時代から続く権力闘争が今もなお継続している中国共産党内部の実態を暴きつつ、対米国・北朝鮮・台湾・日本との関係に関しての2017年までの軌跡を紹介。 <コメント>日経新聞で「激震 習政権ウオッチ」を連載している記者(編集委員)、中澤克二による2018年出版の書。 最新の情報については、日経新聞の著者の以下連載をフォローすればよいと思いますが、一つの書籍として習政権の内情を通読して改めて痛感する

国の借金は、本当に次世代への先送りなのか?

コロナ禍もあって今は国や地方自治体が大量に借金してこの危機を乗り越えようとしているのですが、本当にこんなに借金してて大丈夫か?、特に若い方にとっては心配ではないかと思います。では、本当のところは、どうなんでしょうか? 結論的には 「日本は、政府の借金を上回る資産と信用があるので大丈夫です」というのが現段階の答え。 もちろん資産も有限なので、いつかは枯渇します。ただ現時点の1400兆円では、まだ大丈夫だということです。では具体的に国全体の金融資産と同債務がどのような状況に

なぜ金融政策でインフレにできなかったのか?

今日(2021年9月27日)の日経新聞の記事にインスパイヤされて、以下私の考えを書いてみました。 #日経COMEMO #NIKKEI 私の考えでは、金融政策でインフレにならなかったのは、いくら日銀がお金を供給してもお金が市中に出回らなかったからです。 ■日銀のインフレターゲット2%の失敗インフレターゲットを先導した元日銀副総裁の岩田規久男さんの書籍は分かりやすくて読みやすくておすすめです。内容も概ね納得することが多く、特に以下の書籍は日本経済の歴史を知るにはちょうど良い

「平和」と「人権」:究極の選択は「平和」

「#日経COMEMO #NIKKEI タリバンによるアフガニスタン制覇で、またもや民主主義勢力が後退。 とはいえ「平和が最優先」とするなら、タリバンのような実質支配者の体制を認める、つまり「人権を犠牲にせざる得ない」という現実は、本当にツラい状況です。 大半の国家が加盟する国連の国連憲章では、基本的人権の尊重を普遍的な価値観として、国家で採用されるべきとしています。 ・・・基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念を改めて確認・・・(国連憲章

格差是正の根拠とは?

今日の日経新聞「米、富裕層増税へ新計画」。とうとう民主党主導の富の再分配強化策がスタートしそうです。すでに米国株価も下落基調に潮目が変わりつつあります。 #日経COMEMO #NIKKEI 税金といえば最近、メルカリ初利用で何冊か書籍を売却したのですが、メルカリのプラットフォームを活用するための手数料をメルカリに売却の都度徴収されます。 よく考えてみると、メルカリの手数料、税金とよく似ています。 「税金は、自由で公正な社会を運営してくれている国家というプラットフォーム

経済的自由は、政治的自由に優先する

中国には政治的自由(※1)は、ありませんが、経済的自由(※2)はあります。そして経済的自由は、政治的自由に優先する。 ※1:政治的自由=人権、表現・信条の自由など ※2:経済的自由=衣食住の充実、自由に使えるお金の確保、お金を稼ぐ自由など 未だ世界に9億人規模のその日暮らしの人たちがいる状況下(ファクトフルネス)、特に発展途上国が優先するのは政治的自由よりも、経済的自由です。 むしろ経済的自由が拡大すれば、政治的自由には目を瞑っても良いと考える人たちが増えているかもしれ

「一党独裁国家」ベトナムと中国の違い

今日(2021年1月29日)の日経新聞の以下記事に深く納得しつつ、同じ一党独裁国家体制をとっている「ベトナム」と「中国」の違いについて考えてみました。 #日経COMEMO #NIKKEI ベトナムでも中国と同じように、反体制的な表現や現行秩序を覆すような「表現の自由」には違法行為として厳しく取り締まっているようですし、タテマエでは法治国家といいながら「共産党治国家」なので、法律は共産党の都合の良いようにコロコロ変わるようです。 しかしながらベトナムは、国際秩序を守って「

民主主義とは「国民が非暴力的に政権交代できること」

#日経COMEMO #NIKKEI 記事は、現職大統領の扇動により、一部の国民が暴力的に政権交代を阻止しようとする動きを紹介していますが、以下「21世紀の啓蒙(第12章)」によれば、 ◼️哲学者:カール・ポパー「開かれた社会とその敵」 民主主義とは誰が支配するか(=国民)という問いの答えとして理解されるべきではない。むしろ「どうすれば血を流さずに酷い指導者を追い出せるか?」という問題を解決するものとして理解すべき。 ◼️政治学者:ジョン・ミューラー 民主主義とは、暴

「アラブの春10年」民主化は進んだのか?

平日夜10時 BS NHK国際報道2020にて「アラブの春」特集。国際報道2020は、番組最後の締めとなる池畑キャスターのつぶやきが結構ポイントをついていて気に入ってます。でも今回はなし(残念!)。視聴料収入で桁違いのお金が使えるNHKは、全世界に特派員を派遣して独自の取材をしてくれますが、その成果がこの番組に反映されていて、良質なニュース番組としてオススメです。 さて、アラブの春から10年。エジプトやシリア、イエメン、リビアなどの失敗事例はともかく、成功したと言われるチュ

大阪都構想は、間接民主主義マター

#日経COMEMO #NIKKEI 今日読んで本当のその通りだなと深く納得する社説。 とはいえ、都構想のようなマターは直接投票すべき案件ではなかったのではないかと思っています。 私自身、維新の主導した大阪の都構想=統治機構改革は賛成です。 理屈で考えれば都構想によって役割分担を整理した組織にした方が意思決定も、より明確化しスピードアップし、予算の使い方も効率的になり、結果として人件費や各種経費の削減にもつながり(=減税)、企業的にいえば資本効率は間違いなく向上し企業価

フランスのナショナルアイデンティティ「表現の自由」

フランスの表現の自由は、我々日本人の感覚とだいぶ違うようです。 #日経COMEMO #NIKKEI イスラム教・キリスト教など宗教に関係なく、宗教への冒涜とも思える批判に関しても「積極的表現の自由」が保証されているのです。 我々日本人の場合(アメリカ式表現の自由)、信者への配慮から特定の宗教への冒涜的な表現は控える傾向にありますが、フランスではむしろ冒涜的表現に関してもあえて「表現の自由」を与えることが重要との認識。 フランスの政治学者ファブリス・イベルボワン教授によ

個人の虚構としてのナショナルアイデンティティ

#日経COMEMO #NIKKEI 三島由紀夫に関する社会学者宮台真司さんの記事。本当に考えさせられます。 「空っぽな日本」とはなるほどな、と思いますが、一方で全ての日本人が「個人のよるすべ=個人の虚構」に天皇などのナショナルアイデンティティをおくべきかどうか、は私自身疑念を感じます。 ナショナルアイデンティティの問題と近代市民社会の原理の整合性は、アイデンティティが教条主義に陥らない限り有効ではないかと考えていますが、かといってそれを日本人全員にそうあるべき、ともいえ