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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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2021年1月の記事一覧

「日本列島100万年史」 九州編

「日本列島100万年史」シリーズの最後は「九州」。といっても本書で扱っているのは南九州というか、ほぼシラス台地だけです。 ■南九州のシラス台地が「平ら」な理由 南九州で最も地形史に大きな影響を及ぼしたのは「シラス台地」。 シラスとは、 白い軽石やガラス質の砂で構成されたカルデラ形成を伴う巨大火砕流が流下して堆積した火山噴出物。 南九州、特に鹿児島県で有名なシラス台地は、約3万年前に姶良(あいら)カルデラ(=鹿児島湾)の大噴火で噴出した入戸(いと)火砕流で形成。3万年前

「日本列島100万年史」 近畿・中国・四国編

「日本列島100万年史」、遅ればせながら近畿・中国・四国地方の形成史を整理しました。ポイントはフィリピン海プレートの斜め沈み込みです。 近畿・中国・四国地方は、フィリピン海プレートが西北西に向かって斜めに沈み込むことで、太平洋側が西に移動し、日本海側が東に移動して、①右横ずれが起きて中央構造線が形成され、中央構造線につられて雁行状にシワが寄り、②近畿地方に山地&湖盆、中国・四国に瀬戸内海が作られ、③太平洋側に岬(潮岬・室戸岬・足摺岬)が形成されました。 ①中央構造線 四国

尊敬語の使い方でわかる日本の社会制度

尊敬語は敬意を表するだけでなく「よそよそしさの表現」として使われるとの理由から、社会制度によって尊敬語の使用方法が違うという仮説です。つまり尊敬語は「ウチ」と「ソト」を区別するための言語ツールなので、その使用方法をみれば社会制度がわかるというのです。 今回は、大人(20歳未満の子供ではない)が自分の父親に対して、尊敬語を使うかどうかで判別。日本全国地図でプロットすると主に父親に尊敬語を使うのは西日本。使わないのが東日本に多い。西日本の社会制度は「年齢階梯性社会」だから父親に

瀬戸内の人が運んだ甲府の方言

もともと日本は明治時代以降、昭和にかけ近代国家構築の一環として、東京山の手の言葉を基準に「話し言葉」が整備され、学校教育→ラジオ→テレビの普及に合わせて、順を追うように話し言葉の標準化が浸透。 それまでは地域ごとに個別の方言が利用されており、話し言葉の標準化=標準語が普及するまでは、方言が違えば意思疎通できなかったわけです。 私自身(千葉県出身・在住)、20年以上前に熊本や秋田に行った時、道をお伺いして地元の方の話し言葉が全く理解できなかったことがノーマルだったので、まし