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【CLE】Myles Strawが売れてしまいました

 お疲れ様です。いつも読んでいただきありがとうございます。Windiansです。
 今朝8時頃、様々な方面に波紋を広げていたRokiロウキ Sasakiササキが遂にドジャースと契約しましたね。ただその7時間ほど前に、ガーディアンズがまたも一枚噛む形で、獲得競争に最後まで残っていたブルージェイズとトレードを仕掛けてきました。

※日付は日本時間に統一


1. トレード内容

ガーディアンズ→ブルージェイズ

  • Mylesマイルズ Strawストロー (外野手, 残り2年保有)

  • Strawの契約の年俸補償 $2M ($1M/年 × 2年)

  • Strawの契約のバイアウト分 $1.75M

  • 国際FAの契約用のボーナスプール $2M

ブルージェイズ→ガーディアンズ

  • 後日指名選手 or 金銭

 Sasakiを何としてでも獲得したいブルージェイズが、ガーディアンズが余らせていた国際FA用のボーナスプールを貰う代わりに、不良債権と化していたStrawとその契約の大半を引き取るという形になりました。
 Strawの契約は、ガーディアンズがリーク通りの負担分$3.75Mと契約ボーナス$800K($400K/年 × 2年)を合わせた計$4.55M、ブルージェイズが年俸の残り分である$11Mを支払うことになります。

2. 所感

2-1 Strawは飼い殺すと思っていた

 まず、前回のnoteで今後の方針について書いた箇所を読んでいただきます。

↓↓↓以下のnoteより引用(読んでね)↓↓↓

 「トレードしておきたい選手はいない」「40人枠から金を捻出できない」とありますが、40人枠の外にいたStrawについてはそもそもトレードできないだろうと諦めていました。

 彼の契約は、残り2年で$15.55Mの支払いが保証されています。しかし、メジャーレベルにあるのはかつてゴールドグラブ賞を受賞したセンター守備のみで、その守備も劣化が始まっていました。まだメジャー平均以上にはセンターを守れますが、その代償としてのしかかるメジャー失格レベルの打撃を我慢できるわけがないからこそ、契約延長をしたのにも関わらず、2023年のシーズン終了間際に40人枠から外されていたのです。
 これにより、ガーディアンズがStrawをメジャーで使い続けることは諦めたことがわかります。では放出しようとしても、彼は40人枠外で余計に年俸がかかる守備専門の外野手です。需要はどこにもありません。ですので、1週間前の筆者は「トレードしたいけどできるわけがない」と、noteに記述するまでもなくトレード候補から外していました。

2-2 Sasaki獲得に本気だったブルージェイズ

 トレードが成立する2日前、MLB.COMのMarkマーク Feinsandフェインサンド記者から、ドジャースとパドレスがトレードでボーナスプールの拡大を狙っているという情報が出てきました。
 各球団への細かいボーナスプールの割り当ての説明は省きますが、より多くの契約金が必要な場合、割り当てられたボーナスプールの60%に当たる金額までなら他球団からトレードで受け取ることができます。下馬評でドジャースとの一騎打ちには不利と見られているブルージェイズとしては、金銭面では優位に立っておくために、ボーナスプールの拡大は必要事項でした。

 そしてガーディアンズは、予定されていた26人の国際FAの選手と契約し終えた段階で、ボーナスプールを$2M程度余していました。
 $10K未満での契約はボーナスプールにカウントされないため、残りの$2Mを使い切るにはそれなりに有望な選手と契約することになります。しかし、そのような選手は何年も前から球団に囲い込まれているため、もう市場にはボーナスプールから捻出する額に見合っていない選手しか残っていません。
 この時点で残りの$2Mは、Sasakiと契約しようとしていたチームが口約束を交わしている有力な選手を横取りするくらいしか、無駄にならない使い道がなくなってしまいました。

2-3 大きく足元を見られたブルージェイズ

 ブルージェイズはSasaki獲得のために、ボーナスプールの拡大が必要でした。一方のガーディアンズは余ったボーナスプールを使い切らなくてもいいですし、Strawはこのまま飼い殺すことを受け入れていたと思います。昨年のStrawがシーズンのほとんどをAAAで過ごしていたけれど、リリースもされていなかったところにフロントの思考が窺えます。
 このような両者のトレードの必要性から、交渉の立場としては、ガーディアンズの方が優位に立っていたわけです。

 本来サラリーダンプをする場合、引き取ってもらう側がプロスペクトを付けるか、残りの年俸からある程度引いた分をアセットに組み込むことになります。しかし、今回ガーディアンズがブルージェイズに送ったのは、1/3以下の残り年俸と要らなくなったボーナスプールのみです。ブルージェイズからそれだけSasakiと契約できる自信があったんだと言われたとしても、ブルージェイズがマイナー選手を出してバリューを釣り合わせる方法もあったのではないでしょうか。トレード交渉が下手すぎると言わざるをえません。

3. 今後の方針

 まさかのサラリー押し付けに成功したことで、ガーディアンズの来シーズンのペイロールは更に圧縮されて約$91Mになりました。収入減によって直近数年の$100Mからペイロールを増やせないことを考えると、今オフ使える金額はあと$10Mほどとなりそうです。前回のnoteでは残り$4Mほどしか余裕がなかったので、「端金で小さなメジャー契約が起きるかどうか」と述べましたが、$10Mあれば先発1人くらいは獲れそうです。
 候補は以下のとおりでしょうか。

 スプリングトレーニングまであと1ヶ月を切り、メインの候補はほとんどが移籍先を決めています。先発ローテーションに不安があるとはいえ、まだ残っている選手たちから無理に補強する必要のない陣容を組めているので、今は誰か取ってくれたらありがたいくらいの心持ちですね。
 昨シーズンはシーズン中に、トレードでLaneレーン ThomasトーマスAlex Cobbアレックス カッブを、FA契約でMatthewマシュー Boydボイドを獲得しました。彼ら3人の給与が上乗せされたことにより、シーズン終了時のペイロールが開幕前より$6Mほど増えたので、あと$10Mはシーズン中の補強のために残しておいたほうがいいでしょう。

4. 最後に

 ブルージェイズには今オフ大変お世話になりました。Andrésアンドレス GiménezヒメネスStrawを引き取ってもらったことで総額$110M弱の長期契約分を、来季ペイロールでみるとNickニック Sandlinサンドリンを加えて約$16M削減することができました。スモールマーケットチームにとって、これだけペイロール削減に協力してくれたのはとてもありがたかったです。

↓↓↓Giménezのトレード話はこちら!↓↓↓

 本来であれば感謝して終わるはずですが、あまりにも他球団のファンとしてブルージェイズの意図が不可解だったので、ガーディアンズに関連するものだけを以下に羅列させてもらいます。

  • なぜGiménezの残りの年俸$96.5Mを全額引き取ってしまったのか

  • なぜパイレーツからSpencerスペンサー HorwitzホーヴィッツLuis Ortízルイス  オルティスを貰わなかったのか

  • なぜStrawの引き取りを受けてしまったのか

  • なぜStrawの契約をそんなに請け負ってしまったのか

  • なぜ前年の自チームの打撃成績が平均程度だったのに、平均以下の打力の選手を2人も獲ってしまったのか

  • なぜ贅沢税ラインのオーバーが確定するようなトランザクションにしてしまったのか

 他球団ファンなので、内部事情までは分かりません。ただ結果的にSasakiを取れなかったことで、ブルージェイズには上記に加え、使い道に困る国際FA用のボーナスプールが自前のものを含めて$8M以上残ってしまいました。これはブルージェイズフロントの完全な失策と言っていいでしょう。
 かつてガーディアンズフロントに在籍していたブルージェイズ編成トップのMarkマーク Shapiroシャパイロを、

「古巣にいいように使われて、自ら首を絞めたカモ」

であると強い言葉をもって評価したいと思います。ここから逆転の一手を打つことはできるのでしょうか。

 ブルージェイズ批判で終わりそうなので、ガーディアンズフロントが今オフこれ以上ない動きを見せたことに感謝しながらこのnoteを締めようと思います。


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