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【CLE】2件のトレード+αの振り返り
お疲れ様です。いつも読んでいただきありがとうございます。Windiansです。
今年はトレードデッドライン前日から激しい動きが見られ、MLBファンの皆さんも楽しめたのではないでしょうか。その中で、ガーディアンズは2件のトレードを成立させました。今回はそれと別件で結んだメジャー契約についてです。
1. トレード
1-1 Lane Thomas ↔ Alex Clemmey ら3人
We have acquired OF Lane Thomas from the Nationals in a trade.
— Cleveland Guardians (@CleGuardians) July 29, 2024
Welcome to Cleveland, Lane!#ForTheLand pic.twitter.com/nGfkYWw0Ea
デッドライン前日に、ガーディアンズはナショナルズの外野手Lane Thomasを、傘下のプロスペクト3人とトレードで獲得しました。
Thomasは2021年のトレードデッドラインにJon Lesterとの1-on-1トレードでナショナルズに加入し、去年は28ホームランを放ってfWAR+3.1、rWAR+3.3とキャリアハイの成績を残しました。今年は左投手を相手にOPS+が+154と無類の強さを発揮していますが、右投手には平均以下と奮わず、ライトの守備も去年、今年と指標が悪化していました。
ただ、右膝靭帯の負傷から復帰して以降は、右投手を相手にしても平均以上に打っています(以下の写真)。なので、左投手相手に長打率は高いものの、打率が悪いJhonkensy Noelとプラトーン起用にするか、調子によって相手投手の左右関係なく他の外野手とも使い分けるか見物ですね。
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記事を投稿する際に、Baseball SavantのSearchでソートまで反映させたリンクが引用できないので、確かめたい方はご自身で打ち込んで下さい。
相手方からの感想は、ナショナルズファンのハーパーさんやCJ laterさんがnoteにされています。私は他球団の事情についてちっとも知らないので、是非そちらをご覧ください!
↓↓↓ハーパーさんの記事↓↓↓
↓↓↓CJ laterさんの記事↓↓↓
対価としてナショナルズに移籍したのは以下の3人です。
Alex Clemmey (LHSP)
Rafael Ramírez jr. (SS)
José Tena (SS)
MLB公式のプロスペクトランキングでは、移籍時点でそれぞれ8位(移籍後6位)、22位(移籍後23位)、圏外(昨年末23位)です。現在はClemmeyとRamírez jr.がLow-Aで、TenaがAAAでプレーしています。
トレードの感想をガーディアンズ目線から一言で言うと、「Clemmeyまで出す必要はなかった」です。
先に他2人について言及すると、Tenaは今メジャーにいる二遊間プロスペクトに枠を埋められ、出場機会を与えられそうにありませんでした。なので、このトレードに含ませて人員整理できたのは上手くやったと思います。Ramírez jr.は19歳になりたてで既にLow-Aでプレーしており、そこは賞賛に値します。ただ、アンタッチャブルというほどではないことと、ショートのプロスペクトは最近様々な手段で狂ったようにかき集めているので、トレードチップとなったことはしょうがなかったですね。
#Guardians 18yr old INF prospect Rafael Ramirez Jr. launches his 4th HR of the season a 2-run shot in the 5th inning to pull Lynchburg to within one run of Delmarva!#ForTheLand pic.twitter.com/OBaMkOtujH
— Guardians Prospective (@CleGuardPro) July 11, 2024
ただし、Clemmeyは他のプロスペクトでもよかったはずです。
ガーディアンズ傘下の先発左腕のプロスペクトは、先日メジャーデビューしたJoey Cantillo以外、揃いも揃って4シームの平均球速が90mph前半でした。その中でClemmeyは94~96mphを安定して出していたので、傘下では貴重なエースポテンシャルを秘めるサウスポーでした。これだけでも今トレードに出す必要性は低かったはずです。
また、制球がかなり怪しいという前評判で、確かにデビュー直後は四球まみれになっていました。しかし、6月以降の9先発で、毎登板ほぼ4.0~4.2イニングながら3四球以上だった試合が僅か2回と確かな成長が見られ、奪三振率も13近くを記録するなど、持ち味を発揮し始めていました。こちらもRamírez jr.同様まだ19歳になりたてであり、昨年のドラフトで2巡目にオーバースロットで契約したこともあって、尚のこと不満が残ります。
#Guardians 19yr old LHP prospect Alex Clemmey struckout seven Columbia batters today allowing just one earned run over 4.2 innings of work for Lynchburg.
— Guardians Prospective (@CleGuardPro) July 27, 2024
Line - 4.2(IP) 3H 2R 1ER 2BB 7SO (70 Pitches 47 Strikes)
Last 11 starts:
- 43.1(IP) 28H 12R 11ER 23BB 63SO 2.29 ERA… pic.twitter.com/SD3xOSUnDf
先述の2人だけではさすがに残り1.5年保有できるThomasに対して出し渋りすぎなので、Clemmeyを他のTop30内で下位のプロスペクトに変えることは出来なかったのでしょうか。
1-2 Alex Cobb ↔ Jacob Bresnahan + 後日指名選手
We have acquired RHP Alex Cobb from the Giants in a trade.
— Cleveland Guardians (@CleGuardians) July 30, 2024
Welcome to Cleveland, Alex!#ForTheLand pic.twitter.com/kLdwEAKwTO
トレードデッドライン当日、ガーディアンズはジャイアンツの先発右腕Alex Cobbを、Low-Aでプレーしている先発左腕Jacob Bresnahanに後日指名選手1人を加えたトレードで獲得しました。
Cobbは現在36歳のベテラン右腕で、2011年のデビュー以降4チームを渡り歩き、ガーディアンズが5チーム目となりました。昨年の9月下旬に股関節を怪我してオフに手術をしており、その後右肩の炎症も見つかったことで、6月末にようやくリハビリ登板を始めたところでした。リハビリ契約は最長1ヶ月なので、加入後はシームレスにローテーションに加われそうです。
対価のBresnahanは、昨年のドラフト13巡目指名で獲得した先発です。MLB公式のプロスペクトランキングでは、移籍時点で傘下トップ30圏外でした(移籍後も同様)。最近まで行われていたルーキーリーグの1つであるアリゾナ・コンプレックス・リーグで、6月の月間最優秀投手を受賞するなど好成績を残し、Low-Aで初先発を果たしたところでのトレードでした。
後日指名選手は執筆時点で選ばれておらず、決まっていないものは考えようがないので、トレード評価から除外します。
相手方からの感想は、ジャイアンツファンのあかさんがnoteにされています。私は他球団の事情についてちっとも知らないので、是非そちらをご覧ください!
↓↓↓あかさんの記事↓↓↓
このトレードをガーディアンズ目線から一言で言うと、「Cobbが稼働しきれば、良いトレード」です。
Cobbの保有期間はトレード成立時点で残り0.5年であり、かつ今シーズンまだメジャーで投げていないませんでした。なので、売り出し始めとはいえ、まだLow-Aに到達したばかりのBresnahanだけで対価が済んだのは、フロントがうまくやったと言っていいでしょう。まだ19歳であり、既に身長が6フィート4あるのでここから化ける可能性もありますが、現時点では前章後半で述べた「4シームが平均90mph前半の先発左腕」で括れてしまうため、今のところ痛手ではありません。
また、レイズでのデビュー時にバッテリーを組み、ジャイアンツでは選手とコーチの関係となった現ガーディアンズコーチのCraig Albernazと、再びタッグを組むことになります。守備指標の良いキャッチャー陣も揃えているので、一定以上のクオリティは期待してよさそうです。
懸念材料は、腰と肩のケガ明けでどこまでローテーションを回せるか、という点です。詳細は次章の選手とまとめて3章で綴るので、ここでは割愛します。
2024.9.12追記
8/26に選ばれた後日指名選手は、A+で今シーズン一皮むけたNate Furmanとなりました。
Furmanは2022年の4巡目指名を受けた内野手で、セカンドをメインに守っていました。昨年は開幕をAでスタートし、.500近い高出塁率を残してシーズン中頃にA+へ昇格していました。ただ、長打力はAの頃から全く無く、A+で早くも打撃で壁にぶつかります。バッティングフォームも角度がつきそうにないように見えましたし、身体も小柄なため大幅なパワーアップは見込みづらく、個人的にはこの先どう生き残っていくのか心配な存在でした。
ところが、今年A+で開幕を迎えるとパワー面が一気に開花します。昨年1本も打てなかったホームランが37試合で7本を記録し、長打率も.500と、昨年までとは別人のような成績を残しています。完全に自分のレーダー外となっていて、OPSが.900に乗っていたことすら知りませんでしたが、トレードされる1ヶ月ほど前にはAAに昇格も果たしていました。
トレード後はトランザクションを見る限りAAリッチモンドに配属されたようですが、ステータスに「Not Yet Reported」と書かれていて、試合にも出ていません。何が起こったのかわかりませんが、新天地でさらなる成長を見せてほしいですね。
2. Matthew Boydとメジャー契約
We have signed LHP Matthew Boyd.
— Cleveland Guardians (@CleGuardians) June 29, 2024
Welcome to Cleveland, Matthew!#ForTheLand pic.twitter.com/wOFiGNlLPJ
トレードデッドラインから1ヶ月前になりますが、現地6/30に、昨オフタイガースからFAとなったMatthew Boydとメジャー契約を結びました。
Boydは昨年6月末に左肘を痛め、トミー・ジョン手術を受けていました。手術から1年は復帰できないため、33歳とベテランの域に入っていることもあり、ガーディアンズと契約するまでは所属先が決まっていませんでした。2020年までは毎年怪我なくイニングを消化できる優秀な投手でしたが、2021年以降は毎年怪我に悩まされ、期待されたほど投げられずにいます。
手術から1年以上経ったことで投球を再開でき、7/16にリハビリ登板を開始しています。順調にいけば、8月上旬から中旬にメジャー復帰が叶いそうです。
3. 総評
確かに先発と打線のアップグレードはしてるけど、お茶を濁された感が半端じゃない。
— Windians (@GuardiWindians) July 30, 2024
トレードデッドラインが過ぎた直後の筆者の感想ですが、投稿した今も変わっていません。
「お茶を濁された」と感じたのは、先発2人の補強についてです。
ガーディアンズは先発事情が火の車となっており、Tanner Bibee以外で安定して6回まで任せられる投手がいません。それどころか、リードしていても5回を投げきるか、それ以前に交代する試合がローテーションが1周する間に平気で2,3回発生するので、リリーフ陣にかなり負荷がかかっています。彼ら2人の補強はローテーションの後ろをアップグレードし、イニングイーターとしての役割を期待していると思われます。ただ、それを「手術明け」で「今シーズン登板していない」2人に賭けるのはいささかリスクが大きくないでしょうか。特にCobbはエンゼルス時代に細かい怪我で離脱を繰り返しており、所属期間は2,3ヶ月しかないとしても、その間投げ続けられるのか疑問が残ります。
ここまでの先発ローテーションがあまりにも酷いので、見た目では確実に「補強」になっています。ただ、それは復帰後にちゃんと稼働し続けて初めてそう言えることを念頭に置いたほうが良いでしょう。
Thomasは対価を出しすぎただけで、彼をチョイスしたこと自体は素晴らしいと思います。ガーディアンズ打線が最近不調に陥ったのは、ほぼ全員が打てなくなったせいなので、無理に大物野手に手を出さず、ピンポイントで補強になる動きは理想的でした。
4. おわりに
個人的な感想をもう一つ述べるならば、このトレードデッドラインでは、ポストシーズンで確実に先発を任せられる投手を1人獲りたかったです。
2022年に地区優勝した際は、レギュラーシーズンでエース級の活躍を見せたShane BieberとTriston McKenzieがいました。3番手として試合を作れるCal Quantrillも控えていましたが、プレーオフでは役目を果たせませんでした。それを踏まえると、今年はBibeeとGavin Williamsに次ぐ存在をQuantrill以上にしておきたかったのが本音です。
ただ、レギュラーシーズンに目を向けたら、3人ともチームの弱点を埋められる存在です。残り2,3ヶ月ですが(Thomasは来年も)、若手の多いガーディアンズに力を貸してもらいましょう。