Dazed dream

‥‥‥！
　
誰かがどこかから呼んでいる
　　
誰だ？　
　
声だけは聴こえる
　
そもそもここはどこなんだ？
　
暗闇の中声だけが響く
　
わたしも誰だ？
　
自分の手を見てみる
　
目を落とした視界が揺らぐ
　
おーいと叫んでみる
　
どこまでも響き渡る声
　
‥‥‥！！
　
まだ声がする
　
何なんだ？一体？
　
わたしは‥
　
‥俺は‥確か‥あいつと‥‥
　
そうだ‥確か俺はあいつと夢を語っていた
　
いや‥！これはまだ幼い時の記憶だ
　
俺は‥その後幾つもの年を経ている
　
そして‥その夢のことすらも忘れていた
　
‥‥お前はまだその夢の事を覚えているのか
　
そう呟くと聴こえていた声が鮮明になる
　
‥そうだ‥よ！思い出した？と笑顔を向ける
　
ああ、思い出したよ全部
　
そうか、よかった！
　
俺は全てを忘れて生きてきた‥
　
そうだ、君は私との約束を夢を捨てていた
　
そんなつもりはないんだ！
　
でも、君はあの時の記憶をぼんやりと消していた
　
‥‥そうだな、悪かったよ‥
　
いいよ、ずっと待っていた
　
あの時からずっとか？
　
そうだよ、ずっとずっと思い出してくれるのを待ってた
　
そう言うと君は一筋の涙を頬に流した
　
何でだ？ずっとここにいたと言うのか‥！
　
そうだよ、君が他人の夢に溶けていった頃から
　
‥他人の夢？
　
そう、今、目が覚めるまで見ていたのは他人の夢さ
　
そうだったのか‥

でも、よかったよ、遂に君の夢が叶い始める！
　
俺の夢って‥‥あの夢か？
　
そうだよ！あの誰も思い付かないような夢！
　
そうか、ようやく叶うのか
　
そうなんだ、ようやく‥君の夢が叶う‥これで‥
　
おい！大丈夫か？
　
‥ああ、大丈夫だよ、ちょっとした反作用さ
　
反作用？
　
私の夢が叶ったからね
　
君の夢が叶った？
　
そう、私の夢は君の夢を叶えること！
　
そうか、ありがとう
　
いやいや、まだお礼は早いよ、夢はこれからさ！
　
そうだな、俺の夢が叶っていくところ見届けてくれよ！
　
ああ、そのつもりさ！
　
こうして、俺のぼんやりとしていた夢はスタートを切った
　
　
　
- 完 -