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天眞
飾り気の多い日常で純粋なそれに出逢った
日々の中に感じていた違和感が漸く解けた
現代に生きる者にとって逆にそれは違和感だった
純粋無垢なる少女はまるで未来には居ない過去
凛と咲く一輪の花の如く静かに立っていた
生を受けたばかりの様な気配は樹々に寄り添う
日差しを避けるように視線は斜め下を見つめる
憂いに帯びた瞳が揺らぐ時夕刻の鐘が鳴る
爛漫に咲く事も散る事も許されないそれは
思う通りに振る舞う事も縛られている
空に立つ月の如く輝く
彼女が此方を返り見る事は無い
色めく事なくただ沈んでは浮いてを繰り返す
泡沫が胸の奥で弾けた事で見える景色
哀しくもそれが彼女の生きる道だったのだ
私はそれに空の中心を見た気がした