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なんで私にぴったりのアパレルショップが家の近くにできるの?~エリマ裏話 アパレル業界編~

こんにちは!
ソリューションセールス課 和泉と申します。

これまで執筆を担当した記事では色々な業界のエリマ(エリアマーケティング)裏話をご案内してきましたが、本日はアパレル業界についてお話ししたいと思います。

アパレルショップって、ブランドごとに取り扱いのデザインやターゲットが異なるとはいえ、オンラインショップを含めると身の回りにたくさんあると感じませんか?

当然、特定のブランドを見たいときは都心へ出たりアウトレットやショッピングモールで買いまわることもありつつ、家の近くに新しくできたお店は自分の年代や街の様子にぴったりだというケースが多く、「緻密な戦略で出店しているのだろう」と感じます。

※ちなみに、私の家の近くのショッピングモールも最近テナント入れ替えがありましたが、「ファストファッション!」「キッズもあるよ」といった自分がほしいものズバリなテナントで、「緻密な出店戦略…!」と思いながらついつい買い回りすぎてしまいます…。やむをえません。

本日はそのアパレルブランドでの緻密なエリアマーケティングの中身を少しお伝えできればと思います!


●アパレルショップでのエリアマーケティングの特徴

まず触れておきたいのがアパレルショップにおけるエリアマーケティングの前提条件。

それは、他の業態と比較して比較的ターゲット像が明確ということです。

洋服もそのターゲットに向けて作っているので、当然と言えば当然ですが、これはエリアマーケティングにおいて大きな武器です。
特に複数ブランドを展開しているようなチェーン企業の場合は、出したいエリアに対してエリアの特性に見合った出店をすればよいので、出店可能エリアが広いというのも特徴です。

特に複数ブランドを展開している場合、出したい場所に対して商圏分析→出店コンセプトの検討のフローで戦略的な出店が可能なのが特徴。

●次のお店、どこに出す??出店戦略の作り方

大きく分けると路面店かショッピングモールへの出店で戦略が異なります。
このあたりは飲食などの他の業態と同じですね。

-路面店の出店

幹線道路沿いでよく見かけるタイプの、路面店の出店についてです。
ターゲットがはっきり決まっているので、まずはざっくりターゲット層の多いエリアを絞りこむところから始まります。

試しに、ハイティーン(15~19歳)向けのアパレルショップを出店する想定で、商圏分析ツール MarketAnalyzer®5でエリアを絞り込んでみました。

千葉県内で15~19歳人口の多いエリアを検索。赤い網掛け部分が該当エリアです。
黄色い線が大きな道路になるので結構出店余地がありそう!

ざっくりしたエリアが見えてきたら、出せる物件を探します

その物件を精査していく段階では、今回の物件と既存店で周辺の商圏ポテンシャルを比較して、商圏構造が似ている既存店の売上から売上予測を行うなど、しっかり調査を行っていきます。
周辺の競合店舗の影響も無視できないので、競合店の影響を加味した出店シュミレーション(グラビティモデル分析)を行い、調査していくケースもあります。

周辺の競合店を加味して出店シュミレーションを行ったイメージ。
赤色が今回の候補地に出店した際に取れる想定範囲。しっかり取れそうなことが確認できました。

-SC(ショッピングセンター)への出店

では、路面店ではなくSCへのテナントインとして出店する場合はどうでしょうか?

路面店と大きく違うのは既に存在している「箱(商業施設)」のコンセプトや集客力に大きく影響されるということ。
なので、ターゲットに合わせた候補地を探す方向ではなく、箱に合わせた出店を検討していく必要があります。

当然SC自身がその開業時に十分な商圏分析、精査をしているものですが、「本当に自社のブランドが出店した際に売上を獲得できるのか?」ということは、出店側のアパレルブランド側でも確認をしています。

●顧客データの活用、顧客分析

アパレルショップさんで買い物をした際、「会員カードはお持ちですか?」と聞かれた経験のある方も多いはず。最近はアプリで登録できるお店も増えてきて、「便利だしお得だし、とりあえず登録しておくか」と登録する方も多いのではないでしょうか。

他の業種と同じく、そこで入力した郵便番号や住所などの情報を顧客データとして活用しています。
加えて、ECサイトの購入者ボリュームが多いのもアパレル業界の特徴。
店舗の顧客情報+ECサイトの購入者データを顧客データとして活用し、エリアマーケティングに活用しています。

アプリ会員は「郵便番号のみ」などざっくりした粒度のケースも多いですが、
ECサイトの場合は細かく住所を取得できます。

-販促

顧客データの活用目的で一番多いのが来店集客のための販促分野での分析です。

先述のようにアパレル業界ではお店のターゲットが明確なので、ターゲットの多いエリアと顧客データを重ねることで、販促優先エリアが見えてきます。

最近では、細かいエリア単位でインターネット広告を出し分けることができるジオターゲティング広告もあります。販促優先エリアが見えていれば、エリア狙い撃ちでジオターゲティング広告を実施するのも一つの手段です。

MarketAnalyzer®5で顧客データとターゲット人口のデータを重ねたイメージ。
濃い緑色が販促優先エリアです。

-開発計画への活用

アパレル業界での顧客データ活用で面白いのは、ECサイトの購入者情報を使って出店計画を検討する場面。
アパレル業界では実店舗同士の商圏がカニバリが許容できるケースがあります。それが、ECサイトでの購入者が多いエリア

ECサイトで服を買う際、「店舗での受け取りでお得!」とか「店舗ならすぐ受け取れます!」のような文言を見たことがあるのではないでしょうか。
近くにお店があってお得になるのであれば買う側としても嬉しいですし、売る側(=アパレルショップ)も来店機会を作りたいという意図があります。

…ということをふまえ、EC顧客が多く存在するエリアについては
・EC顧客が取りに行ける範囲にお店があるか
というのが大事なポイントになってきます。
その際、多少の店舗商圏カニバリは許容されます。

MarketAnalyzer®で店舗同士のカニバリとEC顧客のプロットを可視化したイメージ。
赤い点がEC顧客のイメージです。

●まとめ

今回のまとめです。

「なんで私にぴったりのアパレルショップが近くにできるんだろう?」の
疑問へのひとつの解答となりましたら幸いです!

記事執筆に使用したツールのご紹介

■商圏分析ツール MarketAnalyzer®5

※執筆者プロフィール※
技研商事インターナショナル 
マーケティングソリューション営業部 ソリューションセールス課 
和泉典子

飲食業界・出版業界を経て2023年に技研商事インターナショナルに入社。
アパレルショップのエリアマーケティングにぴったり囲ってもらい、近所にできるのは自分にぴったりなお店ばかり!快適な日常を過ごしています。