「その研修、意味があるの?」問題の捉え方が解決策を決める
こんにちは。梅雨は何となく気分も晴れないですが、登園・通勤時に見る紫陽花に気持ちが癒されております。小さな楽しみを見つけて、憂鬱になりがちな季節を上手に乗り越えたいですね。
さて、管理職研修は私たちが最も多く受ける依頼なのですが、効果的な打ち手を考える際に大切となる、問題分析について書いてみたいと思います。
というのも、相談を受ける際に、問題分析が一面的だと感じることが多いのです。問題の捉え方によって打ち手は決まるので、捉え方が偏っていると問題解決につながりにくいというのは、皆さんも賛同していただけるのではないでしょうか。
また、あるあるですが「その研修、本当に意味あるの?」と、経営陣や現場から反発があるという悩みは、問題分析不足に伴う打ち手の偏りを、経営陣や現場が直観的に感じている事が一つの理由かもしれません。
そこで今日は、問題の捉え方のフレームワークを紹介します。そうすることで、効果的な施策検討の一助になれば嬉しく思います。
AMO理論とは
ご紹介するのは、AMO理論です。効果ある人事施策のために、着眼点として提唱された考え方で、「社員の能力(Ability)、モチベーション(Motivation)、機会(Opportunity)」の3要素の向上が、人のパフォーマンスを高め、組織の競合優位性を高めるとする理論です。
研修をはじめとした人事施策は、人と組織のパフォーマンス向上を目指して行なうものですから、この理論をフレームワークとして問題を整理することが出来るのです。
ある管理職の問題についてAMO理論を使って整理してみます。
【問題】
上司が自らのプレイングに注力し、部下へは進捗確認と業務指示のみ。その結果、部下が育たず離職も増えている…
【問題の整理と打ち手の方向性】
A(Ability)
部下に合わせた仕事配分、育成スキルが無い
→ スキルを補う研修
M(Motivation)
上司自ら仕事を進める方が、課の業績達成に効果がある
→ 評価基準を変える
O(Opportunity)
部下の人数が多すぎて面倒を見られない
→ 配置人数の変更
いかがでしょうか。この一例でも、フレームに沿って考えてみると、問題と打ち手のアイデアをもっと出せると感じられた方も多いのではないでしょうか。また、上司側だけではなく、部下側の問題の整理をしてみると、更に他の打ち手も考えられそうです。
フレームをうまく活用して整合性のとれた施策の検討を!
不確実な中で業績責任を負い、個別化・多様化が進む人材マネジメントも求められる管理職の難易度は、ますます高まっています。
そのような中で、「なんとかするのが管理職」という期待のもと、管理職の能力向上に関するアプローチが中心となっていないでしょうか。彼らが置かれた状況を変えていこうとするアプローチが検討されていない、あるいは、時間も手間もかかるから後回しにされていないでしょうか。
それぞれの施策の整合性がとれて作用しあうからこそ、効果的な問題解決につながります。今回ご紹介したAMO理論はじめ、フレームワークを用いて複数の着眼点から問題を捉える事で、効果的な施策の検討につながれば嬉しいです。
それが、「本当にこの研修、意味あるの?」という問いに応える事にもつながるのではないでしょうか。
(執筆者:三木)