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【忙しいお母さんのためのブックレビュー#1】「「遺伝が9割」そして、親にできること」ダニエル・ディック著
「子育て関連の興味ある本はあるのだけれど、なかなか忙しくて読書の時間が取れない」というお母さま方からの声を元に、ブックレビューをGROWNIQUEとして配信することにしました。
第一回は、「「遺伝が9割」そして、親にできること」ダニエル・ディック著です。最新の行動遺伝学と発達心理学に基づいた育児法を説いています。
子育てにはさまざまな悩みがつきものですよね。子どもの気質が自分と合わないと感じること、兄弟間で全然違う反応を見せること…それらのすべてが「親の育て方」だけで説明できるわけではないと知っていましたか?
今回ご紹介する本は、「遺伝子と環境の関係性」を鍵に、子ども一人ひとりに合った育児法を探る実践的な指南書です。本書を通して、子育てに役立つエッセンスをお届けします。
子どもの成長を支える「遺伝子」と「環境」の相互作用
親が子どもに与えるのは、単に「育て方」ではありません。私たちは遺伝子と環境の両方を子どもに提供します。たとえば、IQが高い親は、子どもに知的な遺伝子を渡す可能性が高く、同時に、より良い読書習慣や学習環境を提供する可能性が高いです。このように遺伝子と環境が連動することで、子どもの成長に大きな影響を与えます。
本書では、さらに重要なこととして、子どもの遺伝的な気質を理解し、それを生かした環境を整えることを挙げています。これが、親として子どもの成長を最大限にサポートする鍵となると著者は述べています。
子どもを知る「ビッグ・スリー」とは?
本書では、子どもの気質を理解するための3つの視点、「外向性」「情動性」「自制心」が紹介されています。
外向性
高い子ども: 知らない人とすぐに仲良くなり、冒険心が旺盛。新しい挑戦を楽しむ。
低い子ども: 静かな時間を好み、刺激が多い環境では圧倒されやすい。
情動性
高い子ども: 不安や恐怖心を抱きやすく、敏感。新しい状況への適応に時間がかかる。
低い子ども: 落ち着いており、感情の揺れが少ない。
自制心
強い子ども: 自分の感情や行動をコントロールしやすい。
弱い子ども: 衝動的な行動をとりがちで、計画的に動くのが苦手。
覚えておきたいのは、本質的にこれらの気質に「よい」「悪い」はない、ということです。確かに、ある種の特性を持つ子どもは親にとってより手ごわい存在となることもありますが、その特性を「よい」と見るか「悪い」と見るかは、時代や文化によっても変わってきます。
気質に合わせた育児のコツ
子どもの特性を理解すると、それぞれの気質に合った育児方法が見えてきます。例えば:
外向的な子どもには、多くの社会的刺激を与える一方で、内省する時間をつくる。
内向的な子どもには、静かな活動をサポートし、刺激をコントロールする。
自制心が弱い子どもには、明確なルールを示しつつ、達成感を感じられる目標を設定する。
子どもにとって苦手な状況を事前に予測し、環境を調整することで、親子のストレスを減らすことができます。
「育児の正解」は一つではない
親の育て方が子どもを決める、という考え方にプレッシャーを感じている方も多いかもしれません。しかし本書は、「子どもは白紙の状態で生まれてくるわけではない」と教えてくれます。親としての役割は、子どもの持つ遺伝子や気質を理解し、それを生かす環境を提供すること。
「自分の子どもが持つ唯一無二の特性を、どう生かせるか?」という視点で育児を考えると、プレッシャーから解放されるかもしれません。
気質を知ることが、親子関係を変える
親と子の気質が異なることは、ストレスの原因になり得ます。なぜなら、私たちはつい「自身が望むものを子どもに与え、自分が好きなものは子どもも好きだろうと自然に思い込んでしまう」からです。しかし、そうではないことを理解し、受け入れることで、良好な親子関係を築くことができます。本書では、「親が気質に合わせて育児法を調整する」ことが、科学的に正しいと説いています。
子育ての視点を広げる一冊
この本を読んで学べるのは、「親がすべてをコントロールする必要はない」という安心感と、科学的な視点から子どもの特性を見つめる新たな方法です。
本書内には、子どもの気質を調べる質問リスト、親の気質を調べる質問リストがあり、子育てスタイルについてやそれぞれの気質に対してどのように対処すべきかなど細かく書かれています。興味のある方は是非読んでみてください。
忙しい毎日の中で、少しだけ立ち止まって「この子に合った育児とは?」と考える時間をつくるきっかけになる一冊です。日々の子育てが少しだけ楽になるヒントがこの本には詰まっています。
GROWNIQUEは、子どもの健やかな成長を支えるためのブランドとして、日々の子育てに役立つ知識やヒントをお届けしたいと考えています。忙しい毎日の中でも、少しでも子育ての負担を軽くし、親子で笑顔の時間を増やすお手伝いができれば幸いです。