「感覚統合」ってなに?〜子どもに必要な「発達」を考える〜
みなさんこんにちは。
最近就活で色々な企業を探したり、やることがまた段々と増えてきたなか、何を言語化しようか迷っています。大学3年生の大杉です。
さて今日も何を書こうかと迷ったんですが。ふと大学の図書館に立ち寄って本を読み漁っていた時、見たことのあるワードが目に留まりました。
それが、「感覚統合」です。
聞いたことのない方もたくさんいらっしゃるかと思います。
私自身も、知ったきっかけは本当にたまたまでした。
ということで、今日はこの「感覚統合」をテーマにお話しさせていただきます。
感覚統合とは?
さて、まず本題の感覚統合とは何か??というお話です。
スパッというと、
複数の感覚を整理したりまとめたりする脳の機能
のことです。
感覚
感覚、と言われてわかりやすいのはまず五感ですね。
視覚
嗅覚
触覚
味覚
聴覚
そしてこれに加えて、感覚には「固有受容覚」「前庭覚」もあります。つまり計7つの感覚があるのです。
統合
これらの感覚は、脳の発達に重要な役割を担っています。
そしてこの感覚をちゃんと分類し、整理することができる能力を統合と言います。
わかりやすい例としてよく出されるのは、交通整理です。
自分の身体に入ってきた「感覚」という車をいかにスムーズに脳に送り届けることができるか、つまり取り入れることができるかということです。
感覚統合
感覚は積み木の土台です。
土台となる感覚が綺麗に作られていないと、その先の運動、例えばスポーツを行うとき、読み書きを行うときに土台の凸凹によってうまくできないことがあります。
感覚統合理論というものをエアーズ博士というアメリカの作業療法士が提唱しており、それによると手先の不器用さなどの目に見える問題は積み木の上の方の問題であり、本当にアプローチすべきはその土台の感覚なのだ、と述べられています。
ここからは、その感覚をいくつか見ていくと同時に、感覚統合を通した運動療法などについて見ていきたいと思います。
固有受容覚
固有受容覚は、筋肉や関節が主に感じる感覚で、力の入れ具合などを感じるものです。
働き
主な働きとしては、
力を加減する働き
運動をコントロール(ゆっくり、速くなど)する働き
運動イメージの発達
抗重力姿勢
バランスを取る働き
情緒を安定させる働き
があります。
トラブル
固有受容覚の統合に問題がある場合に起こるトラブルの例としては、以下のようなものがあります。
力加減が難しく、暴力とみなされたり乱雑に物を扱っていると思われたりする
身体や手先を動かすのが不器用で、スキップが苦手、ダンスが苦手、シールがうまく貼れないなど行動が不正確になってしまう
ただの不器用、で終わるのではなく、実は固有受容覚の統合が不足しているという場合もあります。
前庭覚
前庭覚は加速度を感じる感覚であり、耳の奥にある耳石器というところと三半規管を通して働きます。
主な働きは以下の通りです。
働き
覚醒(目覚め)を調整する働き
┗覚醒がぼんやりしているときに前庭覚で加速度を感じ、目が覚める(頭を振るなど)抗重力姿勢
バランスを取る働き
眼球運動をサポートする働き
運動イメージの発達
トラブル
前庭覚は脳の中で複数の神経連絡を持っており、そのため統合のトラブルが起こると複数の箇所に影響が出てきます。
姿勢保持の問題
┗空間の中での自分の身体の状況を把握できず、転びそうになった時や姿勢が傾いたときにどの方向に力を入れれば良いかわからなくなる覚醒の不安定さ
眼球運動の拙劣さ
┗ボールを使う運動や鬼ごっこなど、物の動きや場所を見続ける運動が苦手となりやすい自律神経の問題
運動療法による感覚統合
特に上記した2つの感覚と触覚は、土台の中でも基礎感覚と呼ばれる重要な感覚です。
こういった基礎感覚を育てる、つまり感覚統合の能力を向上させるために、運動療法が一つの手段として存在します。
ここで私がこの言葉に出会ったきっかけをお話しします。
大学1年生の時のとある授業の際に、大学OB・OGの方がキャリアのお話をしてくれることがありました。
そのときにお話を伺った方に、近くに大学のOBで放課後デイサービスを行なっている人とお繋ぎいただき、その施設に訪問させていただくことが出来ました。
私自身子どもと学校以外の場所で関わる場所、という意味で放課後デイサービスに興味があっただけだったのですが、そこでお話を伺っている中で、「感覚統合」をベースとした運動療育があることを知ったのです。
実はこれが私が色々なところにお話を聞きにいくようになった第一歩だったりします。
さてお話が逸れましたが、運動療育を通して感覚統合を高めることができ、実際にそれを行なっている場所もあるのです。
ここからはその運動の例をいくつか挙げてみます。
まずトランポリンは感覚統合遊びとして有効です。
通常のジャンプより力を使わず、しかもより高く飛べるので、運動イメージやバランスの感覚を向上させることができます。
他にも、バランスボールは固有受容覚の刺激に有効です。
座る、四つ這いになるなど、簡単な動作からでも体幹を鍛え、刺激を得ることができます。
また、身近にある遊具も十分に感覚統合に対して有効な遊びといえます。特にブランコなどは前庭覚が過敏だと怖がってしまったり、逆に鈍感だとはしゃぎすぎて危険になることもあります。
過干渉するなというわけではないですが、最初は少しずつのステップから遊具に慣れ、一人でも遊べる気持ち、環境にしてあげることも重要かもしれません。
さいごに
感覚統合を考えていく中で、発達障害の理解も深まっていきます。特に実際の感覚統合療法などは、発達障害を持っている子に対してもよく利用されるそうです。
子どもの時の発達の凸凹は、目に見えるものもあればわかりにくいもの、ただの性格で済まされてしまうものの本人はかなり悩んでいるものなど、非常に判断の難しいものも多いです。
ただこれは、発達の凸凹をスペクトラムという波の大小で捉えるという意味では仕方のないものであるという捉え方もあります。
逆に少しでも悩む子を取り残さないようにするため、0,100で判断しないことも必要なのです。
「運動」も「感覚」もスキャモンの発育曲線でいうところの「神経型」に関係する部分です。
ここに関しては、3~10歳くらいで大きく発達し、ほぼ大人と同程度になります。
この短い期間にたくさんの動きを経験し、感覚も高めていくことが非常に重要であり、それは環境を変えていくことはもちろん、私たちが誰でも楽しめるような仕掛け、場の設定を行なっていくことが求められます
誰もが参加でき、成長できる運動や場づくりをこれからも考えていきたいと思います。
それではまた!!!
参考文献
SGS総合栄養学院 スキャモンの発育曲線
最終閲覧日:2024.6.29 更新日:2016.9.21
テテトコ 感覚統合につながるトレーニングと室内でもできる遊びの例
最終閲覧日:2024.6.29 更新日:2024.3.28
リタリコ発達ナビ 「感覚統合とは?」子どもの気になる行動の理解につながる感覚統合の視点【専門家監修】
最終閲覧日:2024.6.29 更新日:2024.2.8
子ども理解からはじめる感覚統合遊び 保育者と作業療法士のコラボレーション
加藤寿宏/監修 高畑脩平・萩原広道・田中佳子・大久保めぐみ/編著
クリエイツかもがわ
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