大人の発達障害を考える
みなさんこんにちは。
新3年生、焦りも出てきました。
大学3年生の大杉です。
さて今日のテーマは、「大人の発達障害」です。
なぜこれに触れるのかは最後に話すかも知れませんが、まあまずはぜひご覧ください。
発達障害とは
そもそも発達障害とは、幼少期から現れる発達のアンバランスさにより、生活に困難をきたす障害のことです。
発達していく中で、誰にでも発達度合いの波はあります。
ですが、発達障害がある人はその差が通常よりも飛び抜けて大きく、生活に支障をきたしてしまうのです。
簡単に、いくつか発達障害の種類を見ていきましょう。
大きくこの3つに分かれています。
自閉スペクトラム症(ASD)
いわゆる「自閉症」とも呼ばれるものです。
現在では、傾向の強い人からほとんどない人まで、一つの連続体「スペクトラム」として捉えていることから、ASD(Autism Spectrum Disorder)とも呼ばれています。
主な症状としては、
社会性の難しさ(周囲の人と関わる難しさ)
コミュニケーションの難しさ
想像力の難しさ(想定外のことを想像、納得する難しさ)
が大まかなものとしては挙げられます。
この3つは、「ウィングの3つ組」として1979年にイギリスの精神科医ローナ・ウイングが提唱したASDの人の持つ特徴でもあります。
具体的な例を挙げると、
グループ活動、集団行動でうまく馴染むことができず、空気を読むことや足並みを揃えることが難しい
言われたことの解釈や、相手の気持ちの汲み取りにズレが生じることがある
こだわりがあり、マニュアルや指示通りに物事を進められない時がある
などがあります。
注意欠陥・多動症(ADHD)
診断される子どもの割合は学童期で3~7%で、男子の方が多いとされています。
また、ADHDと診断された人の中には、うつ病や双極性障害などの精神疾患、チック症などの神経発達症を合わせて持つ人もいます。
主な症状としては、
不注意(忘れ物が多い、すぐ集中が切れる、他のものに気を取られやすいなど)
多動・衝動性(感情や欲求のコントロールが苦手、じっとしていられない、仕事を過剰に引き受けてしまうなど)
などが挙げられます。この二つはどちらもが共存している場合と、どちらか一方が極端に強い場合とがあり、人によって症状は様々です。
実際に社会の中で起こりうる例を出すと、
人の名前や数字など、単純なものを間違えてしまったり、些細なところでも忘れ物を頻発したりしてしまう
何か嫌なことがあった時に、感情がすぐ表に出てしまう
相手と話しているときに話したいことを次々に思いついて、自分の話ばかりになってしまう
などがあります。
学習障害/局性学習症(LD/SLD)
これは、知的発達に遅れがあるわけではなく、「認知能力」や「聴いたものや見たものを処理する能力」に差異があり、それが学力や読み書きなどに表れてくる障害です。
幼少期には分かりづらく、年齢を増すごとにだんだんと症状が目立ち始めることが多いです。
LD/SLDの中には、大きく3つの分類があります。
ディスレクシア(読むことが難しい)
ディスグラフィア(書くことが難しい)
ディスカリキュリア(数字や計算が難しい)
他にも結果の予測、結果からの推論が難しいという症状もあります。
また、この障害は知的障害とは異なるのですが、前述したように幼少期には気づかないことが多く、単に勉強不足、努力不足と捉えられることが多いのです。
「大人の」発達障害とは?
最初に述べたように、誰にでも発達の波はあります。
大人の発達障害とは、
大人になってから、改めてその波の大きさに苦しむ
ということです。
元々そういった症状があり、大人になっても変わらず苦しんでいる
幼少期にもある程度特性として持っていたが、大人になって社会に出ると症状が目立つところで出てくるようになり、苦しくなった
これまでは個性があるくらいで済んでいたものが、人との交流や責任を持つことが増えて、より大きな困難を抱えるようになった
大人になって症状が緩和する、というケースもあるそうですが、逆に生きづらさがより顕著になる、ということが社会に出たときに起こってしまうのです。
二次障害の併発
ADHDのところでお話ししましたが、発達障害をきっかけに、二次障害が起こってしまうケースもあります。
その原因としては、特性によりネガティブな出来事(失敗やそれによる叱責、いじめなど)が起こってしまうことが挙げられます。
主な種類としては、
うつ病
不安障害
依存症
などがあります。
治す、というより生きづらさを減らす
では、障害を持っている、またはそういった特性の強い人はどうすればいいのか。
最初に言ってしまうと、
その特性自体をなくすことはできないと言われています。
ですが、なす術がないというわけではありません。
その方法としては、
周囲の理解と適切な対応
自分自身の理解と対処法を身につけること
的確な診断を受ける
環境の整備
薬物療法
が挙げられます。
周囲の理解と適切な対応
後ほど述べますが、もちろん本人の理解や工夫は必要です。
ですが、それでもどうにもできないこと、不得意なところは全てなくなるわけではありません。
そこで見るポイント、関わるポイントの一つとしては、
「良いところを見つける」という方法があります。
初めは、どうしても悪いところや不得意なところに目が行きがちですが、それとは逆に長所もたくさんあります。
その長所が個人によって違うことはもちろんですが、例えば、
・ADHDの人は、明るく楽しく積極的に話せる
・ASDの人は、関心のあることに集中力を発揮できる
など、得意なこと、できることもあります。
そう言ったところを見つけて認めること、周囲でも話し合うことなどが対応としてあると、障害を持った方の居心地も良くなります。
自分自身の理解と対処法を身につけること
より生きづらさをなくしたい、困難を減らしたいとき、まず必要なのは自己理解です。
自分がどういった時にどんな失敗をしてしまうのか、どんな環境だと生きづらいのかなどを理解する必要があります。
そして、そういった時にどういう行動を取れば良いのか、どんな環境にいれば良いのかなどを考えます。
例えば、忘れ物がなかなかなくならない時には、生活の動線の中に物の置き場を全て設定し、ルーティーン化したり、そもそもそういった配置が難しいくらい掃除ができない時には、ある程度の場所だけは決めておいてそこに行けばきっとある、という場所を作り出したりします。
また、伝えられる人を作り、打ち明けることも一つの手です。
当然ハードルは高いし、伝える相手によっては偏見が広まってしまうなどのデメリットもあります。
ですが、信頼できる人にそれを伝えられたなら、サポートしてもらえたり、それから頼ることができたりと、自分の気持ちがとても楽になります。
伝え方、伝える相手を考えたり、要求ばかりではなく自分のできることを伝えたりすることも大切になってきますが、職場や学校など、普段いる場所でそれができたなら、きっと今までより安心して過ごすことができるのではないかと思います。
適切な診断を受ける
医療機関で受けられる治療法には、生活療法と薬物療法があります。
薬物療法については後ほどお話しします。
生活療法の目的としては、
特性の理解
認知の偏りの修正
社会生活技能の習得
などがあります。
よく聞くものとして、
「認知行動療法」というものがあります。
これは、物の受け取り方や考え方の偏りを修正、気持ちや行動に変化を持たせていく、という生活療法の一つです。
他にも、生活療法にはいくつか種類がありますので、気になる方は調べてみてください。
また、いくつかのプログラムを組み込んだ「デイケア」というものもあります。
そしてこれらは、医師とのコミュニケーション、適切な診断によって選ばれる療法です。
自分に合うものが何なのか、寄り添ってくれる医師と共に決めていくべきものです。
環境の整備
これは、前述しているような
周囲の人の理解
適切な療法
自身の身の回りの環境の工夫
などのことです。
薬物療法
特にADHDの場合、脳内の神経伝達物質の不足が起きており、その働きの活性化、症状の緩和を目的としての薬物療法があります。
ですがこれは、症状を完璧に消しさるわけではありません。
症状が緩和することで自信の回復にもつながることがあります。
ただ、これも副作用がゼロではなく、多少の依存性があるものもあるため、医師と相談して、適切な摂取を心がける必要があります。
最後に
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
この投稿が、誰か関心を持っている方の目に留まれば幸いです。
ここまでにも書いていますが、これらの障害は波の度合いが他の人より大きい、というところから起きています。
程度が大きくとも小さくとも、生きづらさを感じる度合いは人それぞれです。
その生きづらさを減らす社会を作ることが必要だと私は感じます。
それでは次回の投稿もぜひご覧ください。
参考文献
・大人の発達障害 仕事・生活の困ったによりそう本
発行:株式会社西東社 監修:太田晴久 発行日:2021年3月10日
・NHKハートネット 福祉情報総合サイト 発達障害
https://heart-net.nhk.or.jp/heart/theme/4/index.html
最終閲覧:2024,4,9 1:06
・大人の発達障害ナビ
https://www.otona-hattatsu-navi.jp
最終閲覧:2024,4,9 1:08
・医療法人 和楽会
https://fuanclinic.com/#
最終閲覧:2024,4,9 1:09
・株式会社Kaien 発達障害の方のための就労移行支援・自立訓練
https://www.kaien-lab.com
最終閲覧:2024,4,9 1:11
・NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease07.html
最終閲覧:2024,4,9 1:13