竜舌蘭の「狂い咲き」と、店の散り際
おもての「シマトネリコ」が花を咲かせそうである。
枯らしては買い替え、枯らしては買い替え、を続けて、もう何代目になるだろう。
「店を育てるには、まず植物から」、などと言っておきながら、
花を咲かせるのは、初めてである。どうも今回のは「雌」だったようだ。
買い入れ先の花屋の女店主さんに聞くと、「ああ、たまに咲きますよ。鉢植えの根がいっぱいいっぱいになったんじゃないかな。そのサインかも。」とのこと。
そういえば、ここのところ、あまり剪定をしてやっていなかった。
手入れを忘れられて、伸び放題。「もう限界。」という合図なのだろうか。
こんなことがあった。
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以前住んでいた、お隣文京区の白山で、近所の高校の校庭に「竜舌蘭(リュウゼツラン)」があった(ようだ。全然知らなかった。)。
竜舌蘭は、メキシコを中心に中南米でよく見られ、主にテキーラの原料に使われている。サボテンが原料と思われている方も多いが、正確には竜舌蘭で、見た目はサボテンというより、アロエのお化けみたいな感じだ。
ある日その高校の前を歩いていると、
「竜舌蘭の花が「狂い咲き」しています。どうぞご自由にご覧ください。」
との張り紙が。
そこに竜舌蘭があることを初めて知ったのだが、BARを営む者、これは是非とも見ておかなければと、校門を潜り中庭へ向かった。
竜舌蘭は種類によっては、その葉の部分だけでも軽く成人男子くらいの大きさがある。その花の「狂い咲き」となると、一体どれくらいになるのだろうか。
早速花のある中庭へ向かおうとするが、皆なぜか校舎の階段を登っていく。3〜4階あたりまで来ると、歓声に近い声が。窓の外を見ると、見事に立ち上がった竜舌蘭の花が目の前にあった。そう、この高さからしか見えないのだった。
まさに「狂い咲き」。
職員の方曰く、その学校は間も無く再統合され、校舎も建て替えが始まるとのことだった。この竜舌蘭も伐採されることが決まっていたそうだ。
◆
お店の閉店、特にオーナー経営のお店の廃業は、とてもわかりやすい。
その間際になると、静かだった店の周りが、異様に活気づく。
普段見かけないような、自称「知り合い」達が、大挙して押し寄せ、夜な夜なパーティーのような状態になる。
「あれ?復活したのかな?」
なんて、思っていると、数日後に「閉店いたしました」の張り紙が貼られる。
「The end」。おしまい、である。
◆
前述の「シマトネリコ」の花。女店主さん曰く、「咲かせると養分を吸い取られる」ことがあるそうだ。
今、この蕾の段階で、剪定してしまおうか、どうしようか悩んでいる。
でも、最後でもいいから、少し「花」を見てみたい気もする。
20年やって、初めてのことだし。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
咲くとしたら、夏頃だそうです。
お待ちしております。
Signal / BLØTH((feat. WYS)
1667118 Records DK
2020
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)
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