20年目に入って、神保町について思うことつらつら
2月15日をもちまして、当店20年目に入りました。
これもひとえに、皆様の日頃のご愛顧・・・と、お礼はまた別の機会に。
ここでは、20年目を迎えて、これまで神保町で店をやってきたこの街の印象を、とりとめもなく、脈絡もなく、つらつらと書こうと思います。
これから神保町へ越して来ようとする方、ビジネスをしようとする方、遊びに行ってみようかなという方、などなど、参考になれば幸いです。
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「神保町」というと、とかく「本の街」「出版の街」「学生の街」「スポーツ店の街」などと言われることが多いが、20年近くやってきて思うのは、
案外、そうでもないかな。
「本の街」と言っても、もう今やネットで注文する時代だし、「出版の街」と言っても、もう出版関係の人が夜遅くまで飲む時代でもないし、「学生の街」と言っても、学生はうちでは飲まないし、「スポーツ用品の街」と言っても・・、「ロンドンスポーツ」にはよく行きます(笑。
どれをとっても、これが「街の色」だと、ことさら主張する向きはないし、僕のような商売も受け入れてくれて、案外「何でもあり」という懐の深さを感じる。
では、「何の色もないか?」と言われると、
「色があるようでいて、ない。ようでいて、実はある。」
ということになろうか。
何だかどこかの BAR みたいだ。
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「この辺、変わりましたね。」なんて言われることも多いが、20年近くやってきて思うのは、
案外、そうでもないかな。
確かに、最近お店の変わる頻度は増えてきたような気はする。お店のある錦華通りだけみても7〜8回変わったところもあって、早いところだと、2ヶ月経たずに撤退するところもあったりする。どんどん変化のサイクルは早くなっているのは事実である。
では、「変わったか?」と言われると、
「変わらないようでいて、変わっている。ようでいて、実は変わらない。」
ということになろうか。
なんかどこかの BAR みたいだ。
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この街の人たちが、神保町を語るときに特徴的だなと思うのが、
「だって、ここ神保町だよ?」
というものだ。
この街で、何かお洒落なもの、華やかなもの、高価なものを目の前にすると、やや自嘲気味にいう台詞である。
「だって、ここ神保町だよ。」
けっして蔑んでいるわけでもなく、かといって褒めちぎることもない。
なんとなく思うのは、「本当は好きな街なんだけども、あんまり知られ過ぎるのも嫌。」というのが本心なんじゃないか、ということだ。これも、愛情のひとつなのかもしれない、と最近思うようになった。
なんかどこかの BARのお客さん みたいだ。
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最近引っ越して来られた方が来店されると、口々に言う。
「いいところへ越して来たわ。だいたい夜が静かなのが良いわね。」
ほんとは良くない。
ただ、この街に来て良かったなとは思う。
少しだけ。
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何だか本当にとりとめなくなってきてしまったので、最後に一言。
民主主義を語るときに、
「民主主義の評価は、万歳二唱でよい。」という言葉があるが、
神保町を語るときに、
いつも思い出す言葉だ。
諸手を挙げて三唱は大げさだが、一唱では寂しすぎる。
二唱がちょうどよいそうだ。
神保町、バンザーイ、バンザーイ。
「マスター、ウイスキーダブルで。」
はい。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
だんだん店が街と「同化」し始めている気がします(笑。
お待ちしております。
Faded Memories / bcalm
Bcalm
2020
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)