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「甘さ控えめでね」と言われなくなった
さて、
緊急事態宣言が出され、酒類の提供の取り止め要請がなされてから随分になる。
その間に、新しく開発した「ノンアルコールカクテル」の数も結構なものになった。
開発にあたって、つくづく思うのが、「お酒が使えないって、ハンデだなあ。」という事である。
味もそうだが、独特の「パンチ」というか、「コク」を出すには、やはりアルコールって重要な役割を担っていたんだ、とあらためて思わされる。
これに変わって、それらを表現しようとすると、思った以上に多用する事になるのが、
「砂糖」だ。
「パンチ」や「コク」を出そうとすると、結構な量のシロップや、上白糖、グラニュー糖などを使う事になる。
おかげで「太った」(笑。
まあ、お客さんは、そう何杯も飲むわけではないから、問題ないかと思うが、こちらは試作の段階で、相当な量を飲まなければいけない事になる。
店主の健康のためにも、早くこの事態が収束してくれることを願うばかりだ。
ところで、
お客さんの中に、初めていらっしゃったにも関わらず、
「〇〇カクテルを。甘さ控えめでね。」
と仰る方が、たまにいる。
初めて来たのに、どうしてうちのお店のカクテルの「甘さの度合い」が分かるのか、不思議でならないのだが、ご本人はいたって当然のリクエストをしたまでという顔をされている。
はて、この場合どうしたものか。
カクテルは、おおよそのレシピは昔から伝統的に伝えられてきているものがあるといえばあるのだが、細かい配分などは、もはやその店その店独自の解釈で作られるものが多い。
ジャズのスタンダードが演奏者によってそれぞれであるように、
スタンダードカクテルも製作者によってそれぞれである。
うちの店によく来られる方がそう言うなら話は分かるが、どうして初めて来られた方がそういう注文をされるのか、ちょっと判断に迷う。
考えられるのは、以前どこか他の店でそのカクテルを注文して、やけに甘い仕上がりのものを飲まされて、後悔した経験があるからだろう、ということだ。
たまに(こう言っては失礼だが)、お客さんの年齢層の若い、カジュアルな BAR などで、カラフルな彩りのカクテルをウリにしているようなお店だと、どうしてもその鮮やかな色合いを表現するために、色目の綺麗なリキュールやシロップなどを多用して、結果どうしても「甘さ」が強めになってしまうことはあるように思う。
こういった、いわゆる「若者向けの店」に行かれた経験から、「このカクテルは甘いもの」という認識がなされて、前述のような注文の仕方になったということは、充分考えられる。
うちの店も、「きっとそういう店に違いない」と、判断されたのだろう。
しかしながら、うちの店で、普通にカクテルをお作りして、「甘すぎる」と言われた経験は、ほとんどない。
むしろ、「甘さ控えめでね」と言われて、本当にそうして、なんとも味気ないものになってしまったことの方が多い。
したがって、そのようなリクエストがあっても、滅多なことでは、甘さを控えるような事はしない。
普通にお作りして、
「ほらね。俺のいった通り。このくらい、このくらい。」
と言われるのが、分かっているからである。
そういえば、
最近、「甘さ控えめでね。」って、あまり言われなくなった。
これって、
良い事なのか。
悪い事なのか。
判断に迷う。
まだまだ「若者向けの店」で行けると思うのですが・・・(笑。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄り下さい。
(52歳 店主談)です。
お待ちしております。
Nightwatch at Lake Tahoe / ALEX CORTIZ
Sunswept
2004
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)
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