本日の読書 #039 「日本人の美意識」
参考書籍:『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口周
第二章 巨大な「自己実現欲求の市場」の登場
日本人の美意識。
日本人は、世界的に見ても「美意識」に優れていると著者は主張する。
そしてその世界最高水準の美意識は、これから世界に訪れる「巨大な自己実現欲求の市場」において極めて大きな武器となるというのだ。
ここでの「美意識」とは、「物質的な美しさ」と「精神的な美しさ」の両方だ。
「物質的な美しさ」の例としては、昨今ではアニメやマンガなどのサブカルチャーの完成度の高さが挙げられる。
また過去には、浮世絵が陶磁器の包装紙として海を渡り、ヨーロッパでゴッホなどの芸術家に見初められた話が有名だ。
ただ、それよりも高く評価されるべきは「精神的な美しさ」の方だろう。
日本はよく「落とし物が盗まれず警察に届く国」だとして驚かれる。
また、自動販売機というビジネスが成立するのも実はスゴいことだ。
普通は設置してもすぐに破壊され、中の飲み物は窃盗に遭うものらしい。
東日本大震災の時だって、こんな大災害に見舞われながらも、暴動を起こさずスーパーに行列をなす日本人の姿に、世界が衝撃を受け、称賛を贈った。
こうした「日本人からすれば当たり前」の振る舞いすべてが、世界標準を大きく超えていることを、私たちは普段意識していない。
その「意識していない」こと自体が日本人の奥ゆかしさそのものなのかもしれないが、私は今後の世界において、その「美意識の高さ」を自覚して、活かすことが重要だと思う。
国粋主義に傾倒する必要は全くないが、自分たちを過度に卑下する必要も同様にない。
生活必需品が行き渡り、世界中で「モノ」がもはや不要となったとき、注目されるのはこういった「美意識」になっていく、というのは著者の主張だ。
昨今は日本も「他国に追いつけ追いこせ」という方針で、義務教育にプログラミングを取り入れるなどしている。
でもそんなレッドオーシャンでアメリカやインドに戦いを挑むくらいなら、日本人が苦労せず悠々と身に付けられる美意識をこそ高める方向に舵をきっても良いのでは?と私は感じる。
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