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「薬剤師の目線」と「父親の体験」から語る、手足口病のこと。
いま、手足口病が爆発的に流行っています。
例年夏になると全国的に流行するので、薬剤師としては「今年も来たか」という印象ではあります。
ただ今年は私にとって、ちょっと違う年になりました。
それは、「我が家の子どもたちも手足口病にかかった」こと。
いやー、壮絶でした。
今回は、薬剤師と父親、両方の立場を通じて、
「親の目線では気付けない手足口病のこと」と、
「薬剤師の目線では気付けない手足口病のこと」について書いていきます。
それでは最後までよろしくお願いします。
手足口病について
手足口病について簡単に説明しておきます。
手足口病とは、毎年この時期になると、主に乳幼児の間で流行する感染症です。
名前の通り、手、足、そして口の中に水疱(ブツブツ)が出ます。
軽い発熱や、のどの痛み、食欲不振などで気が付くことが多いですが、気付いた頃にはすでに接触感染などで他の子どもにうつしているため、園や学校で爆発的に流行します。
薬剤師目線の手足口病
まずは薬剤師の目線での手足口病を語ります。
これまで、私が薬に関する説明をするときによく使っていたのは、こんな一言でした。
「口の中の水疱が多くなってくると食事をするのが大変になるので、そのときは薬だけで飲んでも良いですよ」
これは例えば、咳や鼻水などの風邪症状を併発している患者さんで、それらの薬が出ている場合に伝えていました。
でも、いざ自分の子どもが発症してみると、
これが机上の空論に過ぎないことを思い知らされるのです。
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父親目線の手足口病
手足口病にかかった我が子を見て感じたのは、
「薬だけで飲むのも無理じゃん!」
という事実です。
「食事をするのが大変」どころの話ではなく、一口食べたら大号泣。
水も飲めない。薬どころじゃありません。
お腹すいた。
でも飲み込めない。痛いから。
食べたいのに。飲みたいのに。
特に2才児の娘は手の施しようが無かったです。
知識では分かっていました。
この水疱が2〜3日で収まって、軽快に向かっていくことを。
でも、もはや、その2〜3日が無理という感じでした。
一日中泣いている、夜も痛くて泣いている。
食事も摂れない、水も飲めない。
そんな我が子と並んで、同じくグッタリする親。
これが、「父親目線の手足口病」でした。
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薬剤師として伝えたいこと
さて次に、薬剤師として皆さんに知っておいてほしいことも書いておきます。
私が何が何でも伝えたいこと、それは、
「手足口病に効く薬は無いです」
ということ。
原因となるウイルスを殺傷する薬はありません。
ブツブツを消す塗り薬も存在しません。
高熱も稀なので解熱剤も基本的には使わず、
口の中が痛いからといって痛み止めを飲んでも、ほぼ意味がありません。
だから病院に行ってもせいぜい(念のための)解熱剤と、場合によっては咳や鼻の薬が出るぐらい。
なんなら、薬が処方されずに帰るケースの方が多いのです。
でも、辛そうな子どもを見て、多くの親御さんは「なにか有効な薬があるだろう」と思って病院に来ています。
親としてその気持ち、痛いほどよく分かります。
しかしその「薬がある」という誤った認識のせいで、様々な誤解が生じているのです。
誤解を解いておきたい
その誤解とは、たとえば、
「なるべく早く薬を貰わなきゃ」とか、
「貰った薬は絶対に飲ませなきゃ」とか、
「熱が出たら解熱剤を使わなきゃ」とか。
中には、
「病院で薬をもらえなかったから代わりに市販薬を買おうと思うのですが、何を買えばいいですか?」
という質問さえもありました。
でも「手足口病に有効な薬はない」ので、これらは全て誤解です。
お子さんが手足口病になってしまったときは、
1.子どもが食べられるもの、飲めるものだけを与えて、安静に。
2.水分不足に気を付けて。何も飲めないなら口元を濡らしてあげる。
3.子どもの大好きなプリンやアニメの力を借りて、何とか耐え忍ぶ。
とりあえず、この三か条だけを考えておきましょう。
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まとめ
今回は、我が子が手足口病にかかった経験を通して、薬剤師の目線、親の目線でそれぞれ抜け落ちるものを補完してみました。
この経験をしてからというもの、薬の説明をするときに「薬だけでも飲んでくださいね」と言っていたのを「無理に飲まなくてもいいですよ」に変えています。
薬剤師という仕事は、自分がその病気ではないために、本質とはズレたことを喋ってしまうケースもあります。
今後も精進していきたいところです。
普段は読書によって得られた知見をもとに、記事を書いています。
薬剤師に関するマガジンもありますので、ぜひフォローしてくださいね。
それでは、また。
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