本日の読書 #042 「算数文章題が解けない子どもたち」
参考書籍:『算数文章題が解けない子どもたち』今井むつみ
第二章 誤答から見える算数学力 より
算数文章題が解けない子どもたち。
本書を読んで最も驚いたのは、小学5年生の誤答についてだ。
「5時間10分」と「2時間30分」を足す問題で、なんと「510+230」という計算をしてしまうというのだ。
計算結果は「740」で、解答は「7時間40分」。
厄介なのは、この解き方で「答えが合ってしまうこと」にある。
しかし当然、これではマズい。
「1時間40分」と「2時間50分」を足したとき、「3時間90分」と解答してしまうからだ。
この子たちは「1時間=60分」という概念が分かっていないか、分かっていても計算に応用できていないことが予想される。
他にも、
「30%増量」の意味がわからずに0.3を掛けてしまったり、
「6分の3」を6.3という数字に変えて計算に使ってしまったりする。
ここから導かれる結論は一つで、彼らは計算が出来ないのではなく、
「日本語を正しく習得していない」のだ。
より正確に言えば、
「言葉の定義が理解できていない」ことに問題がある。
「増量」も「分数」もその意味するところが分かっていない。
算数ではなく、国語の問題。
「言葉」には正しい「定義」というものがあり、
それを厳密に理解していないと問題を解くことはできない。
問題が解けないだけならまだいい。
時間や日付の計算ができないと、日常生活にも支障を来たすかもしれない。
低学年でカレンダーや時間割の「意味が分からない」子どもがいるのだという指摘も、本書には書かれていた。
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本書を読んでから、5歳の息子に対して「定義」を意識して言葉を教えるように心掛けている。
新しい言葉を子どもに説明するとき、子どもが既に知っている言葉を用いて説明を施したり、似た言葉との境界線をハッキリさせたりするようにしたい。
#014 ドネルケバブ・エピステモロジー で語った「一問一答にしないこと」と合わせて、家庭における子どもへの日本語教育の方針にしていく。