メトロに乗って
もしもし、運命の人ですか?どこまでも平坦に見える毎日ですね。好きな色は何色かと聞かれてもすぐに返事なんて出来なくて、普通の人ならすぐに答えられるんかなあと思うと自分の、自分を知っている濃度が薄すぎてたまらんくなるんです。自我ってどこにあるんですかね。脳みそなんてただただぐちゃぐちゃで信用できたもんではないです。アイデンティティだとか自己同一性だとか小難しい言葉で塗り固めても一度手を離してしまえばコロンコロンと谷底まで転がっていくよう。メトロに乗ってどこまでも連れて行って欲しい。遠くまで、メトロが到達できるいちばん遠くまで、どこまでも行ってしまいたい。床屋のぐるぐるみたいに、どんどん上に進んでいるように見えて、実はその場で回っているだけみたいな日常。自転車の乗り方みたいに、一度乗れさえしていれば、どれだけ期間が空いてもすぐに思い出せるみたいなことを、全ての事象で願ってる。一度身体に染み付いたもの、それはきっと薄くなって薄くなってもゼロになるなんてことはないと思っていたい。思って痛いだけだから、許してね。
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