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経済産業省の公文書改ざん問題 - 新型コロナウイルス感染症の影で起きた事件

新型コロナウイルス感染症が社会的な関心を集め始めた頃、経済産業省が関西電力に対して経営陣の金品受領問題に対する業務改善命令を出していたことは、各所で報じられました。

しかしその後、経済産業省が以下のようなリリースを出しています。

上の方のリリースには、赤字で「※当該命令を発出する際の手続に瑕疵があることが判明したため、3月29日付けで、改めて同一の内容の業務改善命令を発出しました。」と書かれています。

これについて、経済産業省は以下のように説明しています。

経済産業大臣から関西電力株式会社に対して、電気事業法に基づく業務改善命令を発出する際に、あらかじめ電力・ガス取引監視等委員会の意見を聞かなければならないにもかかわらず、その意見聴取が事後的に行われるといった手続の瑕疵が判明しました。

しかし実態は、「瑕疵」などと言って終わりにできるような内容ではなく、意図的な公文書改ざんとその隠蔽でした。

その内容は、

・業務改善命令を出す前に電力・ガス取引監視等委員会の意見聴取が必要だった。(聴取せず命令を出した)

・そのため、命令を出した日付(3月16日)より前(3月15日)に意見聴取が行われたかのように改ざんした、公文書を作成した。

・これを課長級職員が指示し、その上司の部長級職員も承認していた。

というものでした。

そして、外部からの情報公開請求で不正を隠しきれなくなり(朝日新聞デジタル)、監察室による聞き取り調査を行った後、3月31日に関係者を処分したという経過です。

刑法第156条に「虚偽公文書作成罪」が定められており、本来であれば刑事事件にもなり得る事態のはずですが、関係者の処分は最も重い文書作成担当者も国家公務員法上「戒告」止まりでした。戒告は、懲戒処分の中で最も軽い措置です。

この問題は国会でも追及されていますが、どうにもコロナウイルス問題の影に隠れてしまい表だってメディアで報じられる量も少なくなっています。

しかし、政府から民間企業に発出される命令のプロセスでこのような問題が起きたこと、そしてその動機が対外的な批判を恐れてのものだとすれば、公務員倫理とは何なのかという話になってしまいますから、このまま闇に埋もれていい案件ではないと思います。

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