
『お看取り』はまだ先のことかも知れませんよ
有料老人ホームでの【歌声広場】
最寄駅から施設まで歩くのに少し距離がある。
道すがらいろんな植物に出会うけれど、ランタナにもたくさんの実が。
季節は確実に秋へと変わっているんだな。
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車椅子の方が多い。職員が一人一人、会場へと連れてきてくださる。
できるだけ、私も一人一人とご挨拶するようにしているのだが、
なかなか反応の無い人も多い。
(あっ、ずいぶんひさしぶりだ!)
何ヶ月ぶりかでお顔を見れた入居者の女性。
やはり挨拶は返ってこない。
(元気がないな、そしてずいぶんまた瘦せられた)
たぶん100歳近いご年齢だと思う。
少しずつお話もまじえながら、歌う曲がどんどん進む。
皆さん、お気に入りの歌のときは声が大きくなる。
歌えない人も、それなりに楽しんでいらっしゃるのが伝わってくる。
その100歳近い女性。
歌うことはできないけれど、手を叩き、ノリノリで楽しんでくださった。
気に入った歌があったかな?
いろんな思い出が浮かんでいるかな?
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『嘘でしょ!!」』
まわりで見守ってくださっている数人の職員さんたちがびっくりした表情で、顔を見合わせている!
皆さんと一緒に手拍子していた手が止まり、静かに動揺が走ったのが見えた。
(どうした? 何かみんな驚いているね)
その理由を後で聞いて私もびっくり!
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その方、入院されていたけれど、
「施設の方で『お看取り』はしてあげてください」と医師に言われ戻ってこられたとか。
全く元気が無く、その日が今日なのか?明日か?と思っていたところに、このハシャギ様。
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懐かしい歌は、遠い昔の自分を思い起こさせてくれる。
どの歌かが、元気な頃の自分に戻らせてくれたのかも知れない。
珍しいことではない、よくあるケース。