映画『フレンチアルプスで起きたこと』
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『フレンチアルプスで起きたこと』
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監督 : リューベン・オストルンド
出演 : ヨハネス・バー・クンケ、リーサ・ローヴェン・コングスリ、ヴィンセント・ヴェッテルグレン、ファンニ・メテーリウス
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2014年公開のスウェーデン映画で、カンヌ国際映画祭をはじめ各国でも評価の高い作品との事。
ウォッチリストから選び鑑賞しました。
凄く面白かったです。
小さな出来事や感情の積み重ねの描写が巧みで、
淀みや生の空気感や憎めなさとでも言うのか、
人間のいい所もイヤな所もわざとらしくなく感じる作品でした。
かと言って、印象の薄い作品かといえば、
強烈に印象に残る場面もいくつかあり、
けれど、そのどれもが日常に溶け込むように
突出しない印象を受けるのです。
雪崩や遭難、危険なドライブ、痴話喧嘩で大号泣の場面をホテルの従業員にまじまじと見られる場面などどれも印象深いのに、スクリーン越しに遠ざかるというよりは、私たちの等身大に寄り添うような映画なのです。
山頂で叫ぶシーンから続くHOME返し(不意打ちで褒めたと思わせておいて落とす)の場面も好きだし、危険なドライブの場面は「あ、これで終わらせないのね」と思ったし『ワイルド・スピード』よりもスリルあるドライブだと思いました。
家族饅頭みたいなシーンも「何が解決したのかわからないけどわかる!」と思ったし、なんかいいなと思いました。
最後まで収まりの良いフィクションには絶対にしたくないという制作側の志を感じられ、
それもいいなと思いました。
良き父かどうかは、思うところがあるけれど、
当人たちがいいのならいいと思います。
良き父でなくとも、
父でありたいと願う父なのですから。
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