見出し画像

「らしさ」とは、特性か個性か。

「亜人ちゃんは語りたい」という漫画をご存じですか?
私はアニメで知ってとても大好きになりました。最初はなんとなく見ていたアニメでしたが、想像以上に内容が深く、タイトルにあるようなテーマが散りばめられています。

ペトス・講談社/「亜人ちゃんは語りたい」

3人の可愛い女の子たちが出てくる学園コメディです。
彼女たちは「亜人」と呼ばれる、普通の人間とは違う、特殊な性質を持って生まれたという共通点があります。
可愛らしいタッチの絵ですが、萌え系アニメではありません。けっこうデリケートな内容を盛り込んでいます。

その3人娘がこちら。

画像1

(え、嘘だろ…??)

私も思いました。でも右の子もちゃんと生きてます。
最初は衝撃でしたが、あまりにも自然に日常が描かれるので、2分で慣れました。笑
自分でもびっくりです。

※以下一部ネタバレを含みます。

登場人物をざっくりと紹介。
▶左の子は『雪女』のゆき。(周囲に冷気を発生させたり、凍った冷や汗をかく。)

▶真ん中は『ヴァンパイア』のひかり。(日差しが苦手。人に噛みつきたい欲求がある。貧血で国から支給される血液パックを飲んでいる。)

▶右の子は『デュラハン』のマチ。(世界に3人しかいないとされるアイルランド由来の妖精。頭と胴体が分離している亜人。)

この世界では「あじん」という言葉が可愛くないという理由から、若い子の間では「デミ」と呼ばれています。

そして彼女たちには良き相談相手がいます。
高橋鉄男という生物教師です。

画像2

この先生は、デミたちの相談を聞きつつ、違いを理解し、温かく見守ってくれる存在です。
周りとの関係を育んでいく方法を、一緒に模索していく姿が描かれます。

この先生の言葉でとても印象的なものがあります。
デミたちと向き合う中で、先生が大切にしていることを話してくれるシーンです。

「らしさは生まれ持った性質ではない。性質を踏まえてどう生きるかだ。」

なるほど…私たちも生まれ持った性質ありますね。先天性のものであったり、容易には変えられない部分。。 

それ自体が「らしさ」でなく、それを受け入れてどう生きていくか。が先生の言う「らしさ」であると。。

「だからと言って、デミ(亜人)の性質の理解を怠っていいわけじゃない。デミ特有の悩みは、必ず性質に起因するからだ。
「モノの見方は一方向ではだめだ。双方向で然るべき。デミの特性だけ見ていると個性を見失う。人間性だけ見ていると悩みの原因にたどり着けない。どちらも大切だ。バランスが大事なんだ。俺は、そう考えている。」

字面ではちょっと説教臭く感じますが、声が乗ると先生の優しいニュアンスが伝わってきます。

性質に個性(価値観・考え方)が加わり「らしさ」となる。
問題と向き合うには、その時々で何を見るのか。が大事だということでしょうね。

実際のエピソードの中でもわかりやすい事例があります。

『雪女』のゆきは冷気を発してしまう性質から、周りとの距離を作っていました。 自分でもその性質をしっかりと把握できていないため、いつ誰にどんな危害を加えてしまうかが予測できず、人を避けてしまいます。

画像3

デミであることへの折り合いがつかず、人から陰口を言われるのもデミのせいだと自分を追い込みます。
流れた涙は氷の雫となり、床へと落ちていくのでした。。

あくる日、ゆきは高橋先生から呼び出されます。
先生は雪女の伝承を調べながら、どんなシチュエーションで氷が発生するのかをゆきに協力してもらい、その性質を突き止めます。

結果、ゆきはネガティブな感情を発したときに、足を中心に冷や汗(冷気)をかく。ということがわかりました。
人に危害を加える程の威力もないため、気に病むことはないと先生から伝えられます。

ゆきは安堵から涙を流すのですが、その涙は凍っていませんでした。

「温かい涙は凍らない。これからは、そんな涙がたくさん流せるといいな。」 (先生の心の声)

先生は精神論に向かうのではなく、根本的な原因を探り、丁寧に問題解決にあたります。
そして彼女たちの個性(人間性)もしっかりと理解しています。

この物語は「差別」「マイノリティ」など一見重いテーマを含みながらも、一方でその表現が浮いてしまうほどの、日常ほのぼの青春アニメです。(けっこう皆ふざけてます。)

押しつけがましくなく、これが正義だと主張するでもなく、さりげない言葉の中から、見る者に気づきを与えてくれます。

私自身、とても考えさせられるエピソードがたくさんありました!
Amazonプライムで観れますので興味のある方はぜひ。。

読んでいただき、ありがとうございます!

この記事が参加している募集

ここまで読んでいただいたこと、とても嬉しく思います。