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【第1話】白天狗ちゃん再起動(リブート)!【オリジナル絵物語】【新シリーズ】



「ここは…?」
ふと目を覚ますと。
そこは、今まで暮らしていた、薄暗く狭い部屋とは明らかに違う部屋。そこのベッドにアタイは横たわっていた。

それよりもまず、自分の体に違和感を感じた。
「…股の間にぶら下がってるモノがない?」
すぐベッドを降り、鏡の前に向かった。



「えっ、これが…
アタイ?」
鏡に映っていたのは、白いショートヘアーに赤い目を持った美少女。まるで絵からそのまま飛び出してきたかのような雰囲気であった。
胸に手を当てると、僅かな膨らみがあることがわかる。(しかしその小ささに若干がっかり)

え?これが自分だっての!?
「ど…どーなってんのぉ!?」
こうして、自分が生まれ変わったことを確信した。

アタイは慌てて部屋を出る。

「目覚めたみたいですね。」
すると、誰かに声をかけられた。
近くに立っていたのは、何かの漫画やアニメか何かで見たようなとんがった耳を持った女性だった。

「ここって一体…」
「はい。あなたは一度死んで、この世界に生まれ変わりました。」
えぇっ、いやいやマジかよ!?
アタイ、マジで異世界に転生しちゃったってこと?

「な、なんでそれがわかるの!?」
「先日、村の外れの草原であなたが裸で倒れているのを拾いました。
遺伝子鑑定の結果、あなたは転生者であることがわかりました。」
と、エルフ耳の女性は語る。
イマイチ話の内容があまり飲み込めないが、異世界に転生するってネット小説だけの話じゃなかったようだ。

「あんまり信じられないけど、つまりアタイって、一回死んだってことだよね?」

「はい」
「これって…夢じゃない?」
「わざわざ確認する必要がありますか?」
「じゃあここは、どこなの?」
「ここは、この世界に転生してきた人物を一時的に預かり、旅に出るまでの手助けをする施設です。」
「なるほど…
って納得してる場合じゃないよ!早く元の世界に戻してよ!」
「そんなことは不可能です。
あなたはもう前の世界にはいませんので。
それよりあなた、前の世界は嫌じゃなかったんですか?」
「それはそうだけど…こんなよくわからない場所にいるよりはマシだよ!」
「そのよくわからない場所のことを教えるのが、私達の仕事ですので。」

アタイは、いかにもザ・異世界の住民って感じなエルフ耳の女性に言いくるめられる。
前世での相手の話に受け身になってしまう負の特性がここにも生きてきてしまう。

こんなアタイの死に方も、どうしようもなく惨めなものであった。
前世での死因をエルフ耳の女性に尋ねたところ、アタイは毒性物質の入った鳥のフンを被って死んだという。

「はぁ…
思い返せば思い返すたび、前のアタイはつくづく惨めだったなって感じる…」
「そんな惨めな生き方を覆すために、あなたは生まれ変わったと思いますけど。」
「簡単に言うけどさぁ。
そんなこと言われて何をしたらいいのって話よ。」
「同じようなことを言う人、今まで何人も見てきましたよ。
確かに最初は何をすればいいか分からないかもしれませんけど、そういう人たちはだんだんこの世界での生活に慣れてきて、毎日を楽しく生きるようになるものですよ。
だからあなたにも、これから素晴らしい毎日が待っているかもしれません。」
「そうかなぁ…?」
「まずは外に出てみましょう。服は用意してあります。」

一旦部屋に戻り、クローゼットを開けると、変わった模様の和服が入っていた。
先程の女性に手伝ってもらいながら、なんとかその服を着終えた。



「どう?この服?」
「結構似合ってますよ。」
「それはどうも。」
こんな会話を交わしながら、エルフ耳の女性と一緒に施設の外に出る。
施設の外は、一面に森が広がっていて、その景色を見ただけで今までいた現実の世界とは異なる体感をもたらした。

「こんなところ、今まで来たことがない。」
「それで、この先どうしますか?」
「いやこっちが聞きたいんだけど。この景色に関しての話はないんか。」
「まぁ…大体の人達は冒険に出て、それで勝ちまくりモテまくりな人生を送るようになったって話をよく聞きますね。」
正直関わりたくないようなヤツらばっかだ。元はアタイみたいな根暗タイプな人間だったなら尚更のこと。
とはいえ、他にやることないし、何もしないでダラダラ生きているよりはいいだろう。折角生まれ変わったわけだし。

「そういう人たちってさ、なんか特別な力とか持ったりするよね。」
と、アタイは訊いた。
「というと?」
「ほら。アタイにもそういう能力…」
「ありますよ。
こういう時のために、しっかりとあなたに特殊な能力を授けておきました。」

こういうのって、正直あんまいい気はしないけど、アタイなんかにどんな能力が与えられるっていうんだろう?

「それってどういうの?」
「あなたに与えた能力。
それは…
触れたものを絵にする能力です!」






「……………え?」


次回!
ある転生者の旅の始まり!彼女(彼?)に立ち塞がる最初の試練とは!?

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