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電線交信 |短編・写真
「私、電信柱好きなんだ」
「どうして?」
「繋がりが可視化されてるみたいだから」
そう言ってきみは、電柱とハイタッチした。
それから向日葵の笑顔と口笛を吹くようなさよならを僕にくれて、
この町を去っていった。
あれから僕は
電柱を見るときみを思い出すようになったんだ。
電柱に触れたら、
言葉に変換できない僕の気持ちが電線を走って
五線譜にしるされた音楽になって
たまたま電柱に触れているきみに伝わってくれるんじゃないか。
なんて、そんな妄想をして、僕は今日も電柱には触れず生きている。
そっちでも元気にしてるかな。
全部伝えられなくても、せめて大事なことだけは伝えられるように、
歌をつくるよ。
どうかきみに届きますように。
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