名取芳彦「気にしない練習」

 本書は、小さなことを気にしないメンタルをつくるためのトレーニング法を、仏教的な視点から紹介している。宗教が絡むと、独自の論理に知らぬ間に巻き込まれるのが怖いというイメージがあったが、本書で示されている仏教の教えは日常生活向けに噛み砕かれたもので、納得できる部分や参考になる部分が多くあった。
 私が特に印象に残ったのは、「目標があれば我慢は我慢できる」という話だ。我慢には2つの場合がある。1つ目は、やりたいことがあっても我慢してやってはいけない場合。2つ目は、やりたくなくても我慢してやらなければならない場合だ。
 私は常日頃、我慢することにとてつもないストレスを感じていた。我慢している時に脳内を駆け巡るのは、「どうして私ばっかり…」「もう投げ出してしまいたい」といった暗雲たる思いだ。しかし、本書を読んで考えが変わった。
 私は我慢しているその瞬間の苦しみに囚われすぎていたのだと思う。何のために我慢しているかを考えることなく、苦行を重ねていた。しかし、我慢をしている時は何か大きな目的があるはずだ。ダイエットのために食事を我慢する、試験に合格するために我慢して勉強をするというように、叶えたい目標が必ずあるので、前提となる目標を思い出すことができれば納得感を持って我慢できると思った。
 仏教の、「心の平穏を保って生きる」ことをゴールとする教えは、私の想い描いている理想像に近いような気がした。これからも、仏教の教えを生活に取り入れていきたいと思う。



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