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谷川俊太郎「あたしとあなた」
まず、装丁が好きだ。近年、電子書籍が普及し、私自身紙の本を買うことが少なくなった。しかし、本書のこだわりの詰まった装丁を見ると、紙の本ならではの魅力を実感する。カバーには布地が貼られていて、しっとりと手になじむ。デザインは茶色を基調に、濃い青色と白色の幾何学的な模様が入っている。金色のラインがアクセントになっていて、どこか不思議な魅力を感じる。
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中を開くと、ページは薄く青みがかかっている。その穏やかな色合いは、静謐な詩の内容を引き立てている。
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私が本書の中で最も好きなのは、「はにかむ」という詩である。その中の一節を、以下に記す。
他の人の前なら
平気
神の前でも
たぶん
平気
でも
あなたの
前で
あたしは
はにかむ
私はこの詩を読むと、初々しいカップルを想像する。他の人の前なら平気なことでも、大好きな「あなた」の前ではどこか照れくさく、恥ずかしい。だから「はにかむ」。相手のことを過剰に意識していしまう様子がなんとも可愛らしく、甘酸っぱい気持ちになる。
タイトルの「あたしとあなた」が指すように、本書では「あたし」と「あなた」という2人の人物が登場する詩が収録されている。しかし、特定の人物が描かれているわけではなく、読者は登場人物を自由に想像して楽しむことができる。筆者はあとがきで『IとYOUはあらゆる人間関係の基本』と述べている。「あたし」にとっての「あなた」のように、誰にとっても大切な「あなた」という存在がいると改めて思った。