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知ってる?正しい防災ヘルメットの選び方

地震、津波、火山噴火、水害、土砂災害、高潮など、国内外で大規模災害が頻発し、甚大な被害が生じています。ご存知の通り、ここ日本も災害大国で例外ではありません。いつ起きても大丈夫という気持ちで「備え」をしておきたいものです。

今回の山遊びと防災のテーマは
「ヘルメット」です。

なぜか「必ず備えなくてはならない」というわけではないという認識を持たれている、防災用品の代表格ヘルメット。備蓄や備品のプライオリティから軽視されがちな可愛そうなアイテムです。しかし大規模災害時、どんなことが起こるか想像したことはありますでしょうか。使う可能性が低いだろう防災用品は、備える必要はないということではありませんよね。

ヘルメットの重要性を理解し、正しい知識で選ぶ後押しができれば幸いです。

大規模災害時のヘルメットの役割とは?

当たり前ですがヘルメットは「頭を守る」ものです。もっと言うと「危険物から頭部を保護し、最悪の事態を回避する」ものです。

・地震による建物の倒壊や落ちてくるガレキから頭部を保護する
・強風による飛来物(ガラスや植木鉢など)から頭部を保護する
・火山活動による噴石から頭部を保護する

大袈裟のように感じる方もいるかと思いますが、大規模災害で「自宅が危険になった」「避難命令が出た」などの場合に、とても重要な役割を担ってくれますので備えておきましょう。


防災用ヘルメットってなに?

ヘルメット3

ヘルメットを備えるとなると「防災用ヘルメット」を探して購入している方も多いかと思います。しかし、厳密にいうと「防災用ヘルメット」というものはありません。防災用ヘルメットとは、厚生労働省が定める「保護帽の規格」という安全基準に基づいて製造されているヘルメットになります。つまり工事関係者などが使う「作業用ヘルメット」と同じものです。

この保護帽には「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」の2種類の規格があり、衝撃吸収性と耐貫通性を測る試験によって判断されています。これらの規格に試験を合格している製品かは必ず確認が必要です。可能であれば、上記の両規格に対応しているモデルを選びましょう。検定に合格している場合は、製品に「労検」のラベルが付いているかが目印です。

ヘルメット2

このような、作業用ヘルメットは帽体(ヘルメットの外殻)が硬いABS樹脂やFRP(強化プラスチック)などを使用した「ハードシェルタイプ」と呼ばれるものです。特徴としては頑丈ですが重たい。耐用年数が5年間とやや長い傾向があります。

防災用ヘルメット ハードシェルタイプ

防災用 折りたたみタイプ1

防災用 折りたたみタイプ2

このあたりのものが多く買われているようですね。万が一の備えですので十分だと思いますが、さらに保護力を高めるのであれば一番大切なのは、頭のフィット感です。

正しいヘルメット選び方?

作業用ヘルメットや折りたたみタイプのヘルメットはハードシェルタイプで1サイズであることが多いです。代わりに頭の大きさや形に合わせてフィット感を高めるアジャスターやストラップがついていますが、内側のフィット感が高くても帽体(ヘルメットの外殻)との隙間が生まれてしまうこともあるんです。頭にフィットしない、違和感のあるものは、もちろん保護効果を最大化できません。そのようなフィットしていないヘルメットを長時間かぶっていると動きにくいですし、頭痛がしてきて不快になったりしますのでフィット感を最優先してヘルメット選びすることをオススメします。

ヘルメット選びはデザインやブランドやデザイン、グレードよりも、まずは、被ってみて、しっくりくるものを選ばなければいけません。「ブランドが好き」「デザインや色がかわいい」「コンパクトに折り畳める利便性」などの動機からスペックを調べて、安全基準を満たしていることを確認し、ECサイトで購入する。これはやめましょう。最大の優先順位は自分の頭のサイズや形に適しているものを選ぶこと。フィット感めちゃくちゃ大事。店頭で必ずフィッティングをしてください。

登山用ヘルメット

フィット感と耐久性、軽量で動きやすいなど、あらゆる面でオススメしたいのは登山用のヘルメットです。
作業用ヘルメットは厚労省が定めた日本基準に対し、登山用ヘルメットの基準は世界基準です。ヨーロッパ規格の「EN12492」と国際山岳連盟の「UIAA106」があります。EN規格に合格したヘルメットには「CE」マーク、UIAA規格に合格したヘルメットには「UIAA」マークが付いています。

ヘルメット4

ヘルメット5

登山や沢登り、クライミングでの滑落、転落、転倒、落石などを想定してつくられている登山用ヘルメットの多くはこの両方を取得しています。言わずもがなですが、この2つの安全基準は厚生労働省が定める「保護帽の規格」よりも厳しい耐久テストをクリアしているものになります。
そして、最大の特徴としてアクティビティ時の動きやすさを考えられた軽量設計であること。作業用ハードシェルタイプと同じく登山用にもハードシェルタイプがあります。ハードシェルの内側に発泡スチロールのクッションがついてます。また発泡剤に衝撃耐性の高いシェルをかぶせたインモールドタイプと呼ばれるものがあります。自転車用のヘルメットと同じ構造で、ハードシェルに比べると内側の発泡剤の分厚さが増すため多少かさばりますが、とても軽量で通気性がよく、デザインも豊富なのがメリットです。

サイズやフィット感が自身の頭部にマッチしていることが絶対条件です。登山用ヘルメットは工事用ヘルメットと違い、XS、S、M、L、XLなど細かなサイズ分けがされています。大きさからフィット感まで多数ラインナップされていますので、必ず店頭で試着をして選んでください。店頭で見ていると、どうしてもブランドやデザインに気持ちが流されがちですが、安全性を優先した場合、一にも二にもフィット感です。数あるヘルメットの中から試着をしていくと、被った印象が全く違うことが良くわかると思います。その中からシンデレラフィットを見つけてください。あなたの頭にフィットするものが見つかれば、あとは、重量や通気性、価格、デザインなど、自分の好みのスタイルに合ったものを選んでいくといいでしょう。

お待たせしました、登山用ヘルメットのご紹介です。
あくまでフィッティングファーストですのでご参考まで。

登山用ハードシェルタイプ

外殻をABS樹脂というプラスチックで、内側を衝撃吸収の発泡スチロールで形成されている。頑丈なつくりですが、重量が350g〜400g程度とやや重く感じます。

登山用インモールドタイプ

発泡スチロールで成形された外殻を通常プラスチックの5倍の強度を誇るポリカーボネートでコーティング。とても軽く、重量が200g〜300g。中には200gを切る超軽量モデルもあります。

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登山用だけでもたくさんのヘルメットがありますね。これ以外にも自転車用など色々なカテゴリーから発売されていますが、防災という視点でみると飛来・落下物からの保護がメインになりますので上からの衝撃を想定している登山用が適正が高いと思います。もちろん小さなお子様には自転車用ヘルメットで良いと思います。お子様には動きやすいインモールドタイプを選んであげてください。

それでは、また次回!


過去の『山遊びと防災』連載はこちらから。


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