PRIを水泳に活かす
昨今の世界的な自粛の中で、隙間を探しながらPRIの学びにチャレンジし、今年2022年夏前までになんとか、基礎であるプライマリー3つとセカンダリーであるI&Iまで、受講することができました。このI&Iを学び終えた時点で、PRIは今まで水泳指導の悩み、例えばなぜ多くのクロール選手が右側で息継ぎすることを得意のするのか?なぜ右肩に炎症を起こしやすいのか?なぜ平泳ぎの得手不得手が極端なのか?といった疑問を明確に、このような呼吸をするからこうなるといったプロセスをしっかりと学ぶことが出来た。
今まで、海外に解剖にチャレンジし、筋膜の経路を追うことでより良い動き作りを模索してきましたが、ちょっと違うアプローチが出来ないかなと探していたところいくつかの候補セミナーからPRIを選択して、自分の中では大正解。もちろん、PRIもまだまだ上位プログラムがあり、受講し学び続けなければいけないレベルではあるが、フィジカル修正をするプログラムも効果的に結果を出すことが出来る。
PRIを理解している水泳コーチはおそらく日本にはまだまだ少ないはず。というよりそもそもほとんどいないのではないかと思うが、水泳コーチに限らず運動指導に関わる人は是非とも、プライマリーの3つだけでも受けるべきだと思う。
・上に記した、多くの選手が右に呼吸する理由とは?
当初多くのスイマーが右側で呼吸をする理由を、私はこう考えていた。
①左右の肺の大きさの違い(右 上葉、中葉、下葉のつ 左 上葉、下葉の2つ)のため右側で吸うのではないか
②そもそも反時計回りに泳ぎながら練習するため右に顔を上げたほうが、往来する他の選手の波の影響が少ない。
③単に右利きが多いため
ざっくりこのような感じで考えていた。しかし、PRIを学ぶとわかるがそもそも①右側への空気の流入を多くの人は苦手としている。②は習慣の問題としてあり得るとして、③右利きでも左側に呼吸を得意とする選手もいます。
とすれば、右側へ呼吸を容易とする選手が多い理由は他にある。PRIのポスチュラルリストレーションの教科書を読んでいてハッと気づきました。呼吸が左右対称ではないため、肋骨の動きが左右違う。そのため、肩甲骨の角度、高さ、中心からのポジションも違う。左肩甲骨は上位位置にあり、右肩甲骨は下位に位置する。この位置はまさにクロール右呼吸時のポジションである。つまり肩甲骨のナチュラルな位置がすでに右呼吸をしやすいポジションに定位している。この状態が、多くの人が陥る身体的特徴である以上、右に呼吸することが容易なのは理解に難しくない。それでも左側に呼吸をしている人を観察すると、側彎症の様子がある人、そもそも肩甲骨が両側硬く動きがかなり悪い人しかいない。
断っておきますが、PRIは右側が素晴らしいとか左側がダメだとは言っていません。多くの水泳コーチも左右で呼吸することを推奨していると思います。片側しか呼吸しな場合、レース時には背中側のレーンの他の選手の状況がわからないですし、両側で呼吸するメリットはその他もあります。しかし、身体的構造として右側が容易で左側が困難な人が多いという事実は理解しておくと指導する人も泳いでいる選手も修正することが見えてきます。なぜA選手とB選手では違いが出るのかという疑問を単に、『才能』や『遺伝』といった一言で結論づけるのではなく、このような身体的特徴を理解し、どこを修正するのかということを明確にすることが出来るともっともっと体を動かすことが楽しくなるはずです。
PRIはそういった意味で、多くの気づきを与えてくれます。興味がる方はぜひ受講してみてはいかがでしょうか?
https://www.prijapan.llc