削れた靴底が語る、息子が駆け抜けた日々の物語
息子の靴を整理していて、サイズアウトした小さなスニーカーが目に留まった。
ついこの間買ったばかりの気がしていたけれど、子どもの足は想像以上に早く大きくなる。新しい靴を手に取った息子が嬉しそうに足を通す姿を見て、微笑ましい気持ちになりつつ、ふとサイズアウトした靴底に目をやった。
そこには、驚くほど削れた跡が残っていた。左右の靴底が均等ではなく、片方の外側だけが少し多めに擦れている。「こんなに走り回っていたんだな」と、その削れた靴底が息子の毎日の軌跡を物語っているようで、何とも言えない気持ちが込み上げてきた。
思い返せば、この靴を履いていた数カ月の間、息子は何度も公園で走り回り、家の近所を散歩し、坂道を駆け上がったり転げ落ちたりしていた。お気に入りの青いスニーカーは、彼の「冒険」を支え続けていたんだ。
靴を捨てる前に思わず触れてみると、固くなった靴底の感触がリアルに伝わってきた。それは、彼が毎日どれだけ元気に過ごしていたかの証でもあり、同時に私自身もその時間を一緒に共有してきたという実感でもあった。
子どもはいつも少しずつ成長している。その成長は、目に見える変化だけではない。身長や体重だけではなく、こうした日常の小さな物にも確かに刻まれているのだと感じた。この靴底の削れは、彼がどれだけ地面を踏みしめ、どれだけ世界を感じていたのかの記録そのもの。
ただの靴。そう思えばそれまでだ。でも、親にとっては単なる物以上の意味を持つ瞬間がある。これは、まさにそんな一瞬だった。
サイズアウトした靴はもう使うことはないけれど、彼の成長の記録としてしばらく取っておこうかな。そんな気持ちにさせてくれる、思い出深い一足だった。
子どもの成長は日々少しずつ、でも確かに積み重なっていく。目に見えない変化も、こうした靴底の削れや服のサイズアウトといった日常の一コマに刻まれているのかもしれない。その瞬間に気づける親でいられることは、何よりも大きな幸せだ。