ARにおけるメタバース
こんにちは、Graffityの森本です。普段私たちは「ARバトル」と呼んでいるARシューティングゲームを開発しています。今回は、ARにおけるメタバースについて書きたいと思います。
メタバースとは?
Tech Crunchの「フォートナイトの急成長、テックジャイアントが注目する「メタバース」とはなにか」によると、メタバース(Metaverse)とは、SF作家のニール・スティーヴンスンによる「スノウ・クラッシュ」の作中で登場するインターネット上の仮想世界のことを指します。そこから派生し、現在は「インターネット上に存在する2つ目の現実世界」の総称として使われていますが、正しい定義は存在していません。
しかし、メタバースの要素には以下の7つが必ず含まれることから、今回はこちらを基準にARにおけるメタバースを考えてみたいと思います。
1. 終わらない
2. 常にライブで同期されている
3. 誰でも参加でき、アクセス人数は無制限
4. 自社経済を持つこと
5. オフラインとオンライン、オープンとクローズドでの体験を提供
6. データ・デジタルアセット・コンテンツなどで過去にないレベルの相互運用
7. さまざまな人が作るコンテンツや体験
ARにおけるメタバースとは?
1. 終わらない
オフラインやインターネットの世界のように、「オフボタン」はなく常にあり続けるということですが、ARが日常に溶け込む世界では、ARグラスを毎日身につけ、常にオンラインにアクセスし、ARの環境が前提とされた生活になっていくと思います。
Image : HYPER-REALITY
2. 常にライブで同期されている
メタバース自体がすべての人にとってリアルタイムで体験できるものとなることについて、ARCloudがインフラとなる世界では、そもそもリアルタイムでの接続が鍵となってきます。しかし現在の4Gでは、3Dモデルのデータの大きさからARCloudのリアルタイムな接続は困難です。しかし、2023年に本格普及するとされている5Gの3つの特徴(通信速度の向上、遅延の低下、同時接続増加)を利用すれば、リアルタイムでのメタバース体験が可能になるだけでなく、ARグラスの普及も同時に加速されてゆくと考えます。
3. 誰でも参加でき、アクセス人数は無制限
誰でもメタバースに参加でき、一緒にイベントやアクティビティーに参加しながら、個性を表現する場所ができます。ARCloudがインフラとなる世界では、スポーツをより楽しく観戦できたり、ライブフェスで投げ銭や観客による追加のライブ演出が可能になるなどのインタラクションを取れるようになります。さらに、こちらの記事で考察したように、個性を表現する場所を作ることも可能になります。
Image : KDDI
一方で現実世界がベースにあるため、「そもそもコンテンツに興味がある」ことや「アクセスできる環境が整っている」といった条件が発生し、参加人数がオフラインのイベントと変わらない点は課題になるでしょう。
4. 自社経済を持つこと
個人や企業がメタバース上で物やサービスの開発、売買、投資、保有、そして作った物などについて報酬をもらえる経済ができるようになることで、ARが日常に溶け込む世界では、3Dモデルがサービス開発・売買・保有の対象になると考えます。さらに「空中」も不動産価値として認められ、投資環境も変化してゆくでしょう。
Image : HYPER-REALITY
例えば、店舗をより魅力的にするために、AR専門の3Dモデルデザイン会社が誕生する未来も近いでしょう。
5. オフラインとオンライン、オープンとクローズドでの体験を提供
ARCloudがインフラとなる社会では、レイヤー構想というものが存在します。
Image : Magic Leap
Magic Leapが掲げる「Magicverse」では、「Spatial Application Layers」という、現実世界にひとつひとつレイヤーを重ねたものがそれぞれアプリケーションになるという構想を掲げています。顧客は好きなレイヤーのアプリケーションをダウンロードし、生活する場所を選べます。
例えば、家族や友だちと楽しむクローズドなレイヤーがあれば、全世界の人がオープンに共通で使うレイヤーもあると思います。まさにこのレイヤー構想はARCloud時代の真髄となるでしょう。
6. データ・デジタルアセット・コンテンツなどで過去ないレベルの相互運用
他のゲームでのスキン(見た目)が別のゲームでも使えるようになったり、Facebookで共有できるようになります。例えば、あるゲームでフェイスフィルタースキンとして3Dモデルを購入し、そのフェイスフィルターを現実世界の日常でもつけて過ごすこともできるようになります。
Image : HYPER-REALITY
「HYPER-REALITY」では紫色のアイコンが人に追従していますが、この紫色のアイコンが全てフェイスフィルターやバーチャルコスチュームになるイメージです。
他にも、Facebookのシェア機能やTwitterのリツイートのような「共有」の手法に「情報を身につけること」が追加されたり、どこかの場所に共有情報の3Dモデルを置いたりと、3Dモデルがメディアの中心として展開されていくと考えます。
7. さまざまな人が作るコンテンツや体験
個人、小さいグループや会社がコンテンツや体験を作れて提供できるようになることで、3Dモデルを作る会社や個人が多く誕生してゆきます。例えばYouTubeというプラットフォームが誕生したことで、これまでプロフェッショナルしかできないと思われていた動画の作成・投稿や、芸能人に匹敵する影響力のあるインフルエンサーが誕生しました。このような変化がARのプラットフォームでも発生するでしょう。
最後に
メタバースの要素を軸に、ARではどのような世界になっていくかを考察しました。ARCloudが前提にある社会が作られた時、ARもメタバース化していくというのは自然な流れになりそうです。
現在Fortniteがメタバースに最も近いと言われていますが、これはVR(仮想現実)のメタバースにのみ当てはまると考えています。
ARにおけるメタバースに近いのは、どのような企業になるのでしょうか?
Fortniteを参考にすると、ゲームを通してARにおけるメタバースを作り上げていくことが良い戦略になると思います。
Graffityでは、ARバトルを通して新しいコミュニティ・コミュニケーションを作ることで、ARにおけるメタバースも実現したいと考えています。
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ARにおけるメタバースの実現も目指す、そんなGraffityについて
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