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猫白血病(FelV)の治療中に起きた不愉快な話

SNSで助けてもらった猫

2020年に拾った愛猫が2022年、2歳で猫白血病FelVウィルスを発症しウィルスが骨髄を破壊、骨髄から血液が作れなくなり重度の貧血を起こした。
通っていた病院に輸血用の猫がおらず、SNSの力を借りて供血猫を募集して助けて貰った。

いろんな考えがあるから「人様の家の猫をアテにするなんて」っていう非難の気持ちで見ている人もいるだろうことは承知の上だし、それでも猫助かるなら何でもよかった。

藁にもすがる思いで発信して、数日で旅立つはずだったうちの子は一命をとりとめることができて心から感謝している。
そのことへの御礼というか義務のような気持ちで、毎日経過報告をInstagramに公開した。

だけど治療の成果は出ず、経過は思わしくないし、いつ見送るかのカウントダウンにも入り、SNSで報告しすぎるのもどこかで変化をつけないとなと考えていたところ、投稿を読んで1つの不穏が紛れ込んできた。

「お久しぶりです、猫ちゃん大変ですね」

薬機法違反、秘密の情報らしい

「お久しぶりです、猫ちゃん大変ですね」の続きはこう。

「わたしの持っている情報で猫ちゃん助かるかも知れません、試しませんか」

もうこの時点のこの言い方で、わたしの眉間には深い溝ができた。
でもまぁ顔見知りの方だし…返事をする。

すると、「どこの病院でどんな治療してますか?私が持っている情報は再生医療です。」と返ってきた。

別の病気で再生医療やってる猫さんの飼い主さんから、ダメなのかなぁ?という連絡は貰ったことがある。
ダメなことを確認していて、でももしかしたら可能性あるかもだからもう一度調査してダメなことを確認済み。

造血ホルモンを使っていること、輸血をしていること、再生医療も視野にいれたが白血病猫の貧血には適応外であることを簡単に説明すると、

「そんな治療法知らないです!私の持っている情報とは違いますね」
「どうせダメかもしれないなら、試してみませんか」
「薬機法に触れるのでSNSでは見せられないんですが」

この時点でもう、ハァ?
もう一回言ってみろ。薬機法に触れる???
わたしは親族トラブルのおかげで、根拠のない民間療法が大嫌いなんだ!もう一回言ってみろ!!(もう怒ってる)

その後も続けて来るのは情報とも言えないクソみたいな話の断片。

「体内で幹細胞を活性するものを発明した世界特許で、その商材を使った飼い主さんが、動物を抱っこするだけでその動物にも効果があったって言う症例もあるんです!」

ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア????????????????????????????????????

この日は猫が膀胱炎を起こして、血液検査では白血球と血小板が異常に下がり、非常に危険な状態だと言われ、最後にイチかバチかの免疫療法を入れてダメだったらもう見送ろうと心に決めかけて戻ってきたところだった。

本当を言えばなんとしても助けたい、側に置いておきたいけど、無理なものを捻じ曲げて生かすことは違うよねって自分に言い聞かせていたところ。

わたしは肩こりと緊張型の頭痛を持病のように持っていて、定期的に接骨院に通わないと維持できないほどで、猫が発病した日からすべてをキャンセルして自分のことは後回しにして、そろそろ限界で頭痛もピークで、こめかみを押さえながら仕事終わりに動物病院へ走ったところ。

頭に来たんですよ。
この断片的で不確かな”情報”に。

ありがた迷惑とはこのこと

でも、善意じゃないですか。
不確かで法に触れるクローズドな民間療法で、抱っこするだけで効果があるとかいうトンデモ話でも。
「試してみませんか」で絶対効果があるとも言ってはいない。
だから、あまり噛みつかず断ろう。

だけど今日は頭痛いし、食事も摂れてないし、他のペットたちのお世話も、猫の看護も全部終わってないから「明日ちゃんと返事する」って返事した。

翌日、返事なぁどうしようなぁ。
とりあえず無下にしすぎるも何だし、断片的な話だからちゃんと聞けばまともな話かもしれないから、聞きたいことまとめて夜にでも連絡しようかなと思っていた所に、「今話せますか?」と催促の連絡が。

わたし、仕事中。朝は忙しい、仕事はしないとで返事してる余裕なくて。
「すみません、バタバタしてて連絡できませんでした。商品名、メーカー名、メーカーの出す資料及び製品のエビデンス資料、統計情報、論文などありますか?」って返信。
末尾に、エビデンスのない体験談ベースの話だったらごめんなさいも付け加えた。

すると、「エビデンスありますよ!英語です!でも薬機法がありSNSはだめです。会社のHPとYou Tubeはお知らせしますね」という。

はい、じゃぁそれを教えてください、会社のHPとYou Tubeって言っても送られてこない。会わなきゃ教えられない情報って何。
公開されてるサイトさえ貼れない?意味がわからない。
会って首を縦に降って契約書にサインするまで喋るつもり?

「色々たくさんの情報出して混乱されてますよね・・」

いいえ!!!!!!

ここでもう、我慢ならなかった。

いいえ!色々とたくさんの情報どころか、根拠のない断片的な話ばかりで、この忙しさの中、正直迷惑ですわそれ。
本当に効果がありエビデンスもあるなら、SNSで読んで知っての通り時間もない相手にもっと的確な情報を先に示してほしい!ダラダラよくわからん話に付き合ってる暇ないです!
薬機法の何に触れるのか説明してください!論文、エビデンス、根拠のある数字、話はそれから!!

って言ってしまったよね。
世界特許ならiPS細胞くらい話題になってるわ!!
で、結局薬機法のことも何も説明無し。英語でもドイツ語でも論文読めるから送って欲しい。存在するなら!!!

そうしたら、説明会で2時間半お話して理解してもらう話なので…だそうだ。出た、説明会。
薬機法(薬事法)は、医薬品の品質や有効性、安全性の確保について定めた法律だよ。それに違反するからSNSで詳しく言えない?

再生医療と謳いながら再生医療等製品として認可も降りてないってことは容易に想像がついた。だけど安全なものです。効果はあります、クローズドで広めましょう?何の詐欺だよ。

エビデンス資料ありますと言いながら、エビデンスとも言えないちゃちな英語のデータだろう。出回れば根拠の無いものだと誰かが判定する。
だからデータを渡したくない、そんなところかと思った。

疲れる。。。

トンデモ話は身近に溢れている

「弱っている時に善意の顔してやってくる迷惑」は誰にでもありえる。寄ってくる方は善意だと信じてるからやり辛い。

これを読んで「いやトンデモ話じゃないし、この人信じないから大切な情報に行き着かず、猫殺した」って思う人もいるに違いない。
そういう人たちにNOといえば手のひら返され、「死んでも知らないからな!」なんて捨て台詞吐かれることだって経験してきた。

ガンを治す岩盤浴、抗がん剤治療をした人は一切受け入れませんっていうものも見た。民間療法は時に「これをやるなら医学を切り捨てろ」とか言ってくることも知ってる。

だ・か・ら、エビデンスのないふわっとした聞き心地のよい言葉に「他人には公開できない。法に引っかかる」の類が付いてたら、公に認められないモノであることは明確だと考える。

そんなものに確かな効果を期待する?
わたしは無理よ。

だいたいSNSはダメってなんだよ。
その製品受け取ったわたしがSNSで事細かにオープンに説明する可能性考えたら、SNSでやり取りしないことでどんなリスクが回避できるんだよ。
実際製品の名前こそなくてもこうやって公開されてるよ。
絶対外で喋りませんって言う契約書にサインさせるの?
それこそ一体何の団体だよ。洗脳かよ。

きちんとエビデンスのあるものは、公にされ、広まり、浸透する。そして多くの研究者や被検体の実績を持ってデータ化される。そういうものが医療として薬として命を助けるんだ。

「この情報を信じて私達の仲間になった者だけ享受できる恩恵」、あちこちにある。家族をなんとか助けたい、この苦しみから開放されたい!そういう気持ちの時にやってきて惑わせるから、お気を確かに!!!

最後まで愛した自信があるなら、どの選択も間違っていない

わたしは愛猫のために勉強した。
インターネットに公開されている動物病院の症例もたくさん読み、一番は獣医師の論文だと思って読める論文は片っ端から読んだ。
大型の本屋に行って獣医師の教科書みたいなものがないかも探した。

病理データが出るまでの間、ただただ待つだけでは時間の無駄になるから、獣医師の経験値だけに任せて後悔したくないから、ありとあらゆる症例を探して、助けるヒントが見つかればって必死だった。

獣医師だけが読める論文データベースがあって、獣医師のライセンス持った知人が欲しい!どうにかお近づきになれないものかって考えた。(だからといって借りれるわけではないだろうが)

どこかに助かった猫はいないのか、この目で見て確かめたい。
本当に何もできることがないのか必死よ。

論文以外の情報でいくつか民間療法のようなものもあったけど、裏付けるものがあるか確認して慎重に評価した結果、一つも残らなかった。
多くのケースで机上の空論、どこの誰だかわからない人の体験談ベースでしかない。

猫が持続感染決定する前は、免疫力をあげると噂のサプリメントはいくつか試したこともある。
まぁサプリメントって使ったところでマイナスもないから。ただ、奇跡のような話を過信する心が危ないってことを言いたい。

大切なペットはあなたのどんな判断にも信頼を置いているし、その判断が間違っていて命を落としてもあなたを恨まない。疑いもしない。
金銭的な事情で中断することだって、気づくのが遅く手遅れになることだってある。でもそれは罪じゃない。
別れは悲しいけど手を尽くしたのなら、最後まで愛した自信があるなら、どの選択も間違っていない。

だからまぁ。。。薬機法に触れる民間療法過信して、スピリチュアルを信じ毎日ご祈祷して病院に行かない選択をしても、それが最善と信じる人にとっては罪じゃないんだけどね。

だけどわたしは思う。
一生それを正しいと信じていられる人がどれだけいるだろう。

人は変わる、世の中も変わる。
いつか冷静になる日が来る。
夢から醒める日が来てしまったら、「とんでもない情報を鵜呑みにして大切な猫を死なせてしまったかもしれない」という自責を背負うかもしれないよ。

世の中には効果のない高額な商品やまじないを売りつける詐欺がたくさんあるから、ピンチのときこそ冷静でいて欲しい。
それらは結果的になんの効果がなくても「不運だった」ってあっさり切り捨ててくるよ。

実はこの記事、当時書きなぐって公開したあと非公開にしていた。
再度公開するに至ったのは、わたしが絶縁してるスピ系民間療法啓蒙親族のおかげで、母親の法事に娘であるわたしが出席できないという修羅みたいな事が起こったから。
その詳しい話はまた今度。





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