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フラコンに思いを馳せる

今週水曜日から待ちに待った香水の祭典『サロン・ド・パルファン(通称サロパ)』が開催される。サロパで何を購入するかまだ決めていないが、フランス語を本格的に始めようと思ったきっかけがサロパであることもあり、とても楽しみにしている。というわけで、今週は香りにまつわる記事が多くなりそうだ。


先日、香料メーカーが開催している香水瓶の展覧会『パリと香水展』を見てきたことはちらっとnoteに書いた。
『パリと香水』という名前ではあるが、実際に香水を嗅げるのは有名なパリ出身ブランドの香り、イヴサンローランの「パリ」、ディオールの「ディオリッシモ」、ゲランの「ミツコ」のみで、主な展示品はフラコンである。フラコンとはスプレーなどがついていないボトルを指し、同時に香水瓶そのものも指す言葉である。


私は今はフラコンよりも中身派である。全体的にフラコンがシンプルになってきたせいもあるが、フラコンにコストをかけるなら香水の開発にコストをかけてくれよと思う。
しかし以前はフラコンの美しさに惹かれ、数々のフラコンを紹介した本を何度も開いてはうっとりしたものだった。
今回展示されていた装飾的な多数のフラコン、特にルームランプで有名なガレのフラコンは本当に美しかった。
また、いくつかのフラコンの中には、使いかけの香水が入っており、色は恐ろしく変色してはいたが、それが妙にリアルに当時の様子を想像させた。フラコンは単なるお飾りではなく、”使うもの”であるのだ。

展覧会とは別の、おそらく通常展示と思われるが、日本の香炉なども置いてあった。香水砂漠と呼ばれる日本においても、かつては香炉を使って香を炊いていた時代があった。


源氏物語の主人公・光の君の”息子”薫は生まれつき身体が薫り、孫の匂の宮は香を炊いて得も言われぬ良い匂いがするという。陰陽道によって入浴の日が決められ、それを逃すと次の機会まで我慢せねばならなかった当時の人々にとって、良い匂いがする人は特別な存在・憧れの人だったに違いない。


17~18世紀頃のヨーロッパでは、入浴すると毛穴から病原体が入ってきて感染症を起こすと信じられ、入浴の機会を持たない人たちは多かった。ルイ14世は生涯に1度しか入浴をしなかったとも言われている。
ヨーロッパで香水は体臭を隠すためのものであったが、香りを纏うことができるのは身分の高い人たちであり、日本と同様に特別な存在・憧れの人だったのかもしれない。


ずらりと並べられたフラコンを前に、このフラコンの持ち主はどんな思いでこれを手にし、香りを纏っていたのだろうかと思いを馳せた。

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