友達の女神と再会する 〜 AYAKOさんのボイスヒーリング リトリートの後@屋久島
記念すべきお一人目として紹介させていただいた、アロマサンドリーズのAYAKOさん。今回はその6(番外編) です。
▼前回
ボイスヒーリングを終えた翌日、帰るだけなのだけれど、船は午後に出港予定だったので、遅まきながら観光してみることにした。
AYAKOさんと別れても、奇跡は続いていた。
わたしは、屋久島とつながっているのだと感じた1日だった。
屋久島には有名な海中温泉がある。
平内海中温泉といって、名前の通り海の中に温泉がある。
唯一行きたいと思っていたのだけれど、ここは干潮の前後2時間しか入れないこともあり、どうしても行けそうもなかった。
だけど、諦めきれなくて、近くで見るだけでもと思ってバスに乗った。
バスに結構揺られて、温泉に近づいてきたころに、なぜか「他に温泉ってないのかな」とふと閃いて、iPhoneを開く。
すると、似たような温泉がすぐ近くに見つかった。
平内海中温泉の次かその次くらいの停留所で降りて、向かった。
そこは混浴ではないものの、布一枚で仕切られているだけで、ほぼ混浴で、もともと気にしないつもりではあったのだけれど、結局誰も来なかった。
貸切状態で、温泉に入りながら目の前の海を独り占めした。
わたしは、わたしだけの屋久島の海を味わい尽くした。
どこまでも広がる、美しい愛しい青だった。
光が空から降り注いでいた。
「屋久島に愛されてるね」とAYAKOさんが何度も言ってくれたことを思い出す。わたしは、たしかに愛されているのだ。
温泉から出て、まだ時間があった。
途中下車して、お茶でもしてから港に向かおう。
ホテルだったらいいかな、と軽い気持ちで、JRホテルで降りたのだけれど、宿泊客しかレストランには入れないらしい。
しょうがないので少し歩いてみたら、パン屋さんがあったのでそこで甘いパンを買う。海を見ながら食べていたら、どうしても神社に行きたくなった。
屋久島を出る前に、神社でもう一度挨拶したい。
衝動につきうごかされるように。
またしても、頼みのiPhoneの出番だった。
彼が、近くに「保食神社」を見つけてくれる。
もう帰りのバスまでに時間がなかったので、急いで向かった。
神社に入ると、「待ってたんだから〜」と聞こえた。
昔の記憶の中で一緒に踊っていた女友達だった。
友達は女神になっていたけど、あいかわらずキャピキャピしている。
ああ、このひとと一緒だった、と思い出した。
楽しかったのに急に引き離された。
蘇ったそんな記憶に引きずられ、悲しみにつきおとされる。
「一人にしてごめんね。ずっと見てたよ。」と言われて余計に悲しくなる。「全然、気づいてくれないんだもん。」とその声は続けた。
そうだ、わたしは何も見ないようにしてきた。
目の前の現実だけに目を向けて、どこからか声が聞こえてきたときも気のせいだと思ってきた。
ふわりとあたたかい空気がわたしを包む。
「ごめんね。」と応えた。
「ううん、心配だっただけ。ひとりでよくがんばったね。ずっと見てた。ひとりで行っちゃうんだもん。」
そうだ、地上に行くことを選んだのは、わたしだった。
わたしが望んだのだ。
「さみしかったよ。会いたかったよ、ずっと。」
「ごめんね。ありがとう。」
バスの時間が迫ってきていた。
バス停までどのくらい時間がかかるのか、わからなかった。
そのバスを逃せば、出航には間に合わない。
「もう、行かないと。」
涙と鼻水でぐしょぐしょになった顔をどうにかしなくては、と頭が働き出す。
「もー、相変わらずせっかちなんだから。まだ、だいじょうぶなのに〜。」
たぶん、彼女が正しいことはわかっていたのだけれど、このときのわたしはまだ信じきれないでいた。
「また、会いに来るから。」というわたしに、
彼女が「もういつでもつながってるからだいじょうぶだよ。」と返す。
そうなんだろう、たぶん。
彼女と話しながら、バス停へ急いだ。
結局バスが来るまで10分以上あった。
やっぱり彼女のいう通りだったけれど、バス停の場所すらあやふやだったのだからしょうがない。
彼女に束の間の別れを告げて、バスに乗った。
涙は乾かないままだったけれど、それもしょうがないのだった。
最後の最後まで奇跡の連続だった、と思った。
港に着き出航までの時間、誰もいない場所を見つけて、わたしは歌った。
屋久島にさよならをいうには、やっぱり歌がふさわしいと思ったから、下手なりに、歌った。
ちらっと立ち寄ったパン屋のお姉さんがそういえば教えてくれた。
先週も先々週も雨だった。今週は久しぶりに晴れたのだと。
「屋久島に歓迎されてますね。」と言われた。
でも、わたしも屋久島を愛しているから、あたりまえかもしれない、そんな風に思った。
船はゆっくりと屋久島から離れていく。
でもまた来ることがわかっているから、悲しくはなかった。
「いってらっしゃい」
そう言ってくれたAYAKOさんの笑顔が蘇った。
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