マガジンのカバー画像

ラブコイン

11
愛はコインで買えるのか?友情、貨幣、そして愛が交差する、感動の物語。 この感動の物語では、主人公・百合子がラブコインアプリを使って恋愛感情をコントロールしようとする姿を描きます。…
運営しているクリエイター

#ラブコイン

【ラブコイン】第1話 愛の貨幣

私、北条百合子は、普通の女子高生だ。特に変わったことはないけれど、特別な存在に憧れていた。そして、ある日、私の人生が一変する出会いがあった。 「エル」彼は私の大好きなイケメンアイドルで、顔も歌もダンスも完璧だった。彼に対する私の想いは、日々強くなっていった。だが、そんな私に驚くべき運命が訪れることになる。 ある日、ネットサーフィンをしていると、ある記事に目が止まった。「ラブコインって何?」その言葉が気になってクリックしてみると、驚愕の内容が書かれていた。 ラブコインは、

【ラブコイン】第2話 初めてのラブコイン

私はまず、エルの本名を知ることが最優先だと思った。彼のSNSや公式ファンクラブを徹底的に調べ、彼の過去のインタビューや雑誌の記事を読み漁った。「どうしても本名が見つからない...」と思い悩んでいた時、私はエルが出演するライブイベントが近くで開催されることを知った。 これはチャンスだと思い、チケットを手に入れてイベントへと向かった。私はエルに近づくため、「イベント会場の周辺で働くアルバイトを始めたい」と考えた。 しかし、そのアルバイトは高校生が原則的に雇われないことになって

【ラブコイン】第3話 誤送信

私は美咲に接触することを決意し、彼女にメッセージを送ることにした。「美咲さん、はじめまして。エルくんの大ファンで、あなたとエルくんの幼馴染だと知って、ぜひお話ししたいと思いました。もしよろしければ、お会いしてお話しできると嬉しいです。」という内容のメッセージを送った。 数日後、私は美咲から返信が届いた。「こんにちは、お返事遅くなってごめんなさい。私もエルくんのことを応援してくれる人とお話ししたいと思っていたので、ぜひ会いましょう。」という嬉しい返事だった。 私は美咲との約

【ラブコイン】第4話 探偵

私はショックを受け、美咲に対する怒りと悲しみで胸がいっぱいになった。しかし、私は諦めず、改めてエルの本名を探す決意を固めた。エルのファンクラブやSNSを再度調べ、彼の家族や友人とコンタクトを取り始めた。 そしてついに、エルの幼い頃を知る別の友人から、彼の本名を教えてもらうことができた。彼の本名は「高木裕人」だった。私はその名前を確信を持ってアプリに入力し、迷わず10ラブコインを支払った。 しかし、この度もエルに何も変化が生じなかった。私は何度も失敗し、恋愛感情の残高がどん

【ラブコイン】第5話 エルの名前の秘密

数日後、探偵から調査結果が届いた。 探偵は言う。 「私はあなたに好感をもっているから、今回の調査は無料でいいですよ。でも、調査をしてみて、エルの本名を知るのは難しいようだ。」 探偵の調査によって、エルが幼いときにお父さんとお母さんを亡くしていて、施設で育ったことを知った。 私はその後も、エルの名前を知るために右往左往した。しかしわかったこととして、エルは7歳のときに親を失い、施設で生活していた。そのころエルはとてもショックしていて誰とも会話できない状態で、自分の名前を

【ラブコイン】第6話 絶交

私は、エルの名前を知るためにはやはり美咲から聞き出すよりほかにないことを悟った。 そこで私は、再びラブコインアプリを立ち上げ、今度は美咲の本名を入力し、29ラブコインを支払った。 「美咲に私を好きになってもらおう。好きになったら私に本名を教えてくれるはずだ」。 美咲は、自分が私を好きになっていることに気づいた。しかし、美咲はラブコインの存在を知っていた。名前を知り、顔も知っている相手の気持ちを買うことができるのだ。そして自分は今、百合子という人に自分の気持ちを買われてしま

【ラブコイン】第7話 手紙

数日後、私は美咲から手紙を受け取った。封を開けると、美咲の綺麗な字で書かれたメッセージが目に入った。 「百合子へ、 すごく迷ったけれど、結局この手紙を書くことにした。実は私、エルのことが好きだった。でも、癌が進行していて、もう長くないことを知っている。だから、エルに自分の気持ちを伝えることはできなかった。でも、私はエルに幸せになってほしい。だから、百合子、君にエルをよろしく頼む。 そして、これがエルの本名だよ。高橋蒼。私は君がラブコインを使うのを止められないけど、せめてエ

【ラブコイン】第8章 行方

決意を固めた私は、残りの30ラブコインを使うことにした。すべてのラブコインを「高橋蒼」に送信することで、エルに私の想いを伝える最後のチャンスだった。 送信ボタンを押した後、エルとの次の出会いで結果が分かるだろうと期待と不安が交差する気持ちで待ち続けた。 ある日、エルが私に向かって笑顔で話しかけてきた。「百合子、最近なんだか君が特別に見えるんだ。一緒に過ごしたいって思うようになったよ。」 私は驚いてエルを見つめた。まさか本当にラブコインが効いたのだろうか。しかし、幸せなは

【ラブコイン】第9話 最期の気持ち

エルは、私との別れを受け入れられず、心に深い傷を負ってしまう。その結果、彼は芸能活動の休止を決断する。彼は自分の気持ちに向き合い、私を追い求める決意を固めた。 休止期間中、エルは私の行方を捜し求め、都市から都市へと足を運ぶ。彼はSNSや友人たちとの連絡を通じて、私がどこにいるか、どうしているかを探っていた。しかし、私はどこにも姿を現さず、エルは私に会えずにいた。 ある晴れた日、エルは私の故郷へ足を運んだ。私が子供のころ過ごした家を訪ね、近所の人たちに話を聞いて回る。そんな

【ラブコイン】第10話 再会

私はエルとの別れからずっと彷徨っていた。友達に会ったり、趣味に没頭したりして時間を過ごしていたが、心の隙間を埋められなかった。それでも、ある日突然、故郷へ帰りたいという衝動に駆られ、列車に乗って故郷へ向かった。 電車を降りる。電車は走り出し、私は故郷の町の駅のプラットホームに立っていた。 そのとき、私の心に愛が猛烈に感じられることを実感した。そしてとてもエルに会いたいと思った。駅から飛び出したとき、そこにエルがいた。私は驚いて言った。 「エル、どうしてここに?」 エルは私

【ラブコイン】 エピローグ

数年が過ぎ、エルと私は結婚し、美しい子供に恵まれた。美咲の願い通り、私たちは幸せに暮らしていた。私たちの家には、美咲の写真が飾られており、彼女の思い出がいつも私たちと共にあった。 美咲から受けた教えや経験を胸に、私は友情、貨幣、そして愛について考えることが多かった。友情とは、互いの違いを尊重し、支え合う心のつながり。それは金銭や物では決して買えない、尊いものだと気づいた。また、貨幣はあくまで手段であり、それだけでは心の充足感を得られないことも痛感した。 そして愛について、